INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

尖閣衝突映像、流出者の捜査が進む。この流出を「情報クーデター」と鳩山前首相。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010110600245

映像流出「情報クーデター」=鳩山前首相
 
 民主党鳩山由紀夫前首相は6日午後、佐賀市で開かれた同党議員の会合で講演し、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を撮影したとみられるビデオ映像の流出について、「情報によるクーデターのようなものを、政府の中にいる人間が行うことは、政権にとって厳しい話だと思わなければならない」と述べ、菅政権の情報管理の現状に懸念を示した。
 同時に鳩山氏は「大変深刻な事態だ。海上保安庁か検察のどちらかが流出させたのはほぼ明らかだ」と語った。 (2010/11/06-16:58)

もうひとつ、典型例として面白かったのは
http://togetter.com/li/67243
の意見でありました。
■久間知毅氏の( @HisamaTomoki )語った「尖閣ビデオ流出への賛美は法治主義と民主主義の自殺である」


ちょっと時間が無いので展開させにくいけど、今まで沖縄密約や、検察問題でも関連して書いた話であります…つまり
 
・「暴かれた国家・政府機密が事実か。その事実が公開されたことは有益だったか。」
という話と
・「その機密が暴かれた手段が合法か違法か。流出させた人は何かの義務に違反しているか」
という話は並列で存在するということなんですよね。


そして、政府関係で暴露された機密はかなりの確率でそのまま「情報クーデター」になる。というのは、政府はプラスになる材料はふつー、自分からカネとタイコで宣伝・公開しているのだから、非公開情報はたいてい政府に不利なものに決まっている。

だから「尖閣流出映像」も含め、その活動が「情報クーデターである」(結果的になっていく)という鳩山前首相の認識はいちおう正しい。
と同時に、
ウォーターゲート事件
から
「検察官証拠改ざん事件」
にいたるまでの数々のスクープ…民主国家、自由なジャーナリズムの根幹を守ると評価された多くの報道は、端緒や最終段階での裏を取るときにこれもほぼ例外なく「機密流出」を受けている。
鳩山前首相の定義で言うと「ウォーターゲート事件」は情報クーデターであったし、しかも成功したクーデターだったのだす。
 
実際にそういう視点で書かれた本もある

静かなるクーデター―「ウォーターゲート事件」20年後の真実

静かなるクーデター―「ウォーターゲート事件」20年後の真実

  • 作者: レンコロドニー,ロバートゲトリン,Len Colodny,Robert Gettlin,斎藤元一,柴田寛二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/09
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 1回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
もっとも、ここで前提としていた「ディープスロート」の推測はそもそも事実と違っていたし、そうすると取材した記者たちが本当に政治的意図があったかもまた怪しげだ。
ただ「官僚が政権に不利な機密を、自分の義務に反してリーク(公開)する。その結果、選挙で選ばれた指導者・政府が倒れた。これは正義に反するか?」という設定は考慮の余地がある。

ディープ・スロート 大統領を葬った男

ディープ・スロート 大統領を葬った男

という、当事者が証言した決定版では、この官僚がニクソンに個人的な憤りと政権打倒の意思があったことは明白になったのだからね。

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/11/post-7d92.html

うっすら見えてくるのだが、もしこの流出先がユーチューブではなく、朝日新聞で公開されたらどうだっただろうか。米国の有名なリーク事件などは、ワシントン・ポストニューヨークタイムズで公開されてきた。そしてその場合、報道の自由の問題が関わり、情報源の秘匿は前提とされた。
 
 現状のNHK報道などからうかがい知る印象では、ユーチューブつまりその親会社グーグルは報道機関ではないからというのが前提になっているし、暗黙のうちに投稿者はジャーナリストではないことになっている。
 
 しかし、そんな前提を暗黙に立てちゃっていいものだろうか。なるほどユーチューブでは報道に対する編集はしていない(広告は付けているけど)。だが、独自の判断で掲載の認可を行っている。つまり、ある情報が世界に報道されることについての責任の一端をグーグルは明確に担っているのはたしかだ。これは広義に報道であり、投稿者は広義にジャーナリストだろう。特定の個人の名誉毀損を狙った情報拡散ではなく、国家機密とされる情報の是非を国民に問うことにもなったのだから。

秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)

秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)

には、こういう事例が非常に豊富に出てきて、今の事象を考えるとおすすめ