「七瀬ふたたび」が映画化。10月公開。
この前、渋谷に単館上映されている洋画を見に行ったら、その途中にこういうポスターが張ってあって驚いた。
映画情報をふつうに雑誌などで事前チェックしている人なら、既におなじみなのでしょうけど、私はけっこう公開直前になって知って驚くことが多いのだ。単館上映ではなく、それなりにロードショーもするらしいし。
あたくしの上司(筒井康隆ファン)にこのことを報告して、と同時に「家族八景は映画化されてないのに、なんでいきなり『七瀬ふたたび』なんですかね?」
- 作者: 筒井康隆
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- 発売日: 1978/12/01
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- 作者: 筒井康隆
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しかし、あらためて考えてみると、「七瀬ふたたび」は七色の変化球を持つ筒井康隆の、豪速球の160kmストレートだったと思う。
超能力を持った人間がそれをどう隠すか、
逆にそれをどう小出しにして、社会の中で生かしていくか。
その力で人助けをするのか、自分のエゴに使うのか
心を読める人と「相手は自分の心を読める」ということを知っている人の葛藤(特に若い男女間で(笑))、
一般の人間の「反エスパー」意識、迫害、テロ団体・・・・
ある意味、「エスパーもの」の一類型、一パターンを作ったものであるからこそ、今回ふつうにリメイクされるのかなぁ、とあらためて感じた。この作品は前作の「家族八景」をふくめ複数回漫画化もされている。
ん?今回の映画化に合わせて新装再版されたらしいね
- 作者: 山崎紗也夏,筒井康隆
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家族八景 上巻 (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-1)
- 作者: 清原なつの,筒井康隆
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ん?最近もドラマ化されていたの?
えーっと、だとすると今回の映画って、最近つくられた新作ドラマがあって、その流れで制作された映画ってこと?テレビに疎いので、わかんないですこのへん。
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最近、自分は「ライトノベルにしても売れそうな内容」というのを褒め言葉として使うことが多いのだが(笑)、これなんかまさにそうだよね。
漫画で言えば、例の椎名高志「絶対可憐チルドレン」は、読書家の椎名だけあってアンチエスパー団体「普通の人々」など、きわめて大きな影響を受けているということは間違いない。
- 作者: 椎名高志
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- 発売日: 2010/10/18
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エスパーものの、元祖を知りたい
こういう系譜をたどると、やっぱり元祖や「日本に広く知らしめた人」が知りたくなるのだけど、だれなのだろうね。
スタージョンの「人間以上」でいいのかな?
日本だと「バビル二世」は、超能力を知らしめたけど、主人公は全然苦悩せずに家族と別れて一人地球のために闘うものな(笑)。日常の中にまぎれた超能力者というと・・・ひょっとして筒井もかなり初期に書いたのだろうかしら。
もっとも、「エスパーものは忍者ものの変形進化である」というこをと既に武熊健太郎氏が指摘している。氏はエスパーについては「イヤボーンの法則」の発見者としても名高い。
サルまん サルでも描けるまんが教室 21世紀愛蔵版 上巻 (BIG SPIRITS COMICS)
- 作者: 相原コージ,竹熊健太郎
- 出版社/メーカー: 小学館
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「イヤボーン」
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%E4%A5%DC%A1%BC%A5%F3
今週の少年ジャンプ「SKET DANCE」は必読。”テレパシー”を別の描き方をして読ませる。
そもそも、この話をまとめて書こうと思ったのは、篠原健太「スケットダンス」の今週号を読んだから。
1年か2年前はこの作品の存在すら知らずに、ここでコマを貼って「この漫画なんだっけ?」と訊くような失礼なことをしてたわけだが(しかも「カイジ」をコソクに潰そうとするやつ、という扱いだった(笑))、最近まとめて読む機会があり、その「ジャンプらしさ」と「ジャンプらしからなさ」の混合や、銀魂でもすっかり定着した、お笑いの影響を受けての過剰ツッコミなど面白いところはたくさんあるなぁと感じましたですよ。
いま、ジャンプの中でいうと6番打者とか、クラスA昇格とか、DEEPとDREAMを行ったり来たりというポジションなのかね。
ま、全体の話はいつか書くとして、今回です今回。
この作品は基本、いちおう常識の範囲の「学園変人もの」であるはずだが、顧問の理科教師チョーさんと、クールなインテリ部員のスイッチが「大発明」をしたときは都合よくSFに持っていけるというヒキョーな作風(笑)。今回の作品内でも「とりあえずノーベル賞をもらってこい!」と突っ込まれてるしな。まあ、世界征服をたくらまないだけ成原博士のスケールには及ばないし、部員にもアンドロイドはいないようだ。
あー、本題に戻る。
今回、そのスイッチ君は「動物の声を知る機械」を発明したつもりが、偶然「人間・動物含めて内心の声を知ることが出来る」機械を発明したのだ。
んで、その機械で部員同士のホンネがばれてしまい珍騒動に…となるわけです。「十分に発達した科学は魔法と見分けがつかない」という有名なテーゼ通りで、そして魔法は「超能力」にそのまま置き換えられる。この場合は「テレパシー」とそのまま読み替えてもいいわけですね。
さて、思いもかけずテレパシーが使えるようになったとき、人間全てが持つ「タテマエ」と「ホンネ」の差が問題になる。
この話をがっと突き詰めたのが、藤子・F・不二雄先生の「耳太郎」や「テレパ椎」。
http://www.ffgallery.com/fujimoto/sftanpen/esp/index.html
耳太郎(みみたろう)
「耳太郎」と友達3人は、将来まんが家を目指していた。耳太郎はアイディアが浮かばずに1人屋根に寝そべっていたのだが、その時、次々にアイディアがひらめいたのだ。しかし、それは彼自信が考えたものでは無かった。彼が突然身につけてしまったテレパスの能力によるものだった。そしてその他人の心を読める能力により、耳太郎はみんなから避けられていった。テレパ椎(てれぱしい)
今まで周りの色んな人に迷惑をかけて来た。でもみんな嫌な顔一つせず助けてくれる良い人ばかりだ。そう思っていた。テレパ椎を拾うまでは。そう、その日から世界が変わってしまったんだ。ある日ふと見つけた椎の実をポケットに入れた。それからというもの人の心を読む事が出来る様になった。そしてみんなの本音を知る事となり、嫌な世界へと変わってしまったのだ。
今回のスケットダンスは、これに通底するようなお話を進めてはいるが、ページ数やギャグ漫画としてのテイストなど、外部の制約もきっちり織り込んで、オチも含めていい感じに仕上げてくれました。
ここで僕は、勝手な認定として作者さんに「貴方は、藤子・F・不二雄遺伝子を受け継いでいるよ!(ドンッ)」と勝手に認定。井上編集長の「○○には”殺し”があるよっ(ドンッ)」には負けるけどな。
そういえば篠原氏は単行本で、ひとつひとつのエピソードに関して「この作品は苦労した」とか「○○がきっかけで考えた」と解題を書いているんだよね。一番のメジャー誌の中堅というのは、逆に言うと他の雑誌ではどこでもメーンを取れる、日本屈指の漫画家とも言えるのだろうけど、それでも若い挑戦者としてあれこれ試行錯誤しているところには好感を持ちました。まだ彼らも、トキワ荘を生きている。
その藤子・F・不二雄のSF短編、全集でも刊行開始
http://d.hatena.ne.jp/koikesan/20100925
第1巻は「少年サンデー編」。週刊少年サンデー本誌あるいは増刊で発表されたSF短編作品を全部で9編収録しています。どれも秀作ばかりで読み応えたっぷりです。これらの作品を初めて読んだときの驚きや心の響き、面白かった〜!という満足感が歳月を経た今もまだ胸の残っている感じです。そして、この1冊を眺めていると、1983年にてんとう虫コミックスから『藤子不二雄少年SF短編集』が発売されたときの言い知れぬ興奮を思い出します。
(略)
・・・SFアイデアが利いていて、ストーリーテリングが絶妙で、思春期的心理が浮かび上がり、センス・オブ・ワンダーを堪能できるものばかり。
そう、私はてんとう虫コミックス版を刊行して数年後に読んだのだが、一読して当時の自分はひたすら驚愕、感動するばかりだった。
ただ、自分はその前にSFの世界自体には踏み込んでいて、予備知識があったことはあった。そのせいでより楽しめたのかもしれないが、逆に予備知識の無いまま、最初のSF体験がこれだったらものすごい衝撃だっただろうね。
超能力関係は、人生の苦味を味合わせる大人向け作品に良作が多いが、少年向けにも上で紹介した「耳太郎」や、「ポストの中の明日」という大傑作がある。
リンク先によると『未来ドロボウ』『宇宙船製造法』『山寺グラフィティ』
『未来ドロボウ』を初めて読んだとき私は年齢的に完全に主人公の少年の立場(未来がたくさん残されている立場)だったんですが、現在の私の年齢は少年と老人の中間にあります。少年と老人どちらの年齢からも外れているけれど、どちらの思いも自分にとって結構切実に感じられる、という複雑な心境です。
『宇宙船製造法』は、子どもたちの社会のなかで発生する軋轢や権力闘争を描いているという点で、A先生の『少年時代』と通ずる作品だと思います。F先生は未来の宇宙を舞台に、A先生は過去の日本の田舎を舞台に、それぞれの作風を活かしながら『十五少年漂流記』や『蝿の王』的世界を描き出しているのです。
そう、「未来ドロボウ」は僕がプロデューサーだったら映画化したい漫画のナンバーワン。「宇宙船製造法」は「自殺島」の連載が始まったとき、紹介したことがある。
■森恒二「自殺島」の系譜を適当にたどってみる。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081201#p8
僕は利便性も合わせて、文庫版で集めている。だが、文庫はまだ発行されているかどうかも分からないし、今回の全集ではカラーなど工夫も多いそうなので、こっちの「短編集」を買っていただくのもいいと思う。
特に読んだことは無い人は、このブログの信用度をすべて担保に入れていい(あるのかそれ?)から、古本や図書館、どんな形でもいいので目に触れてほしいものだ。
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/24
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あさのあつこが原作のテレパシーものがNHKでアニメ化されてて、その再放送もあるらしいよ
これは下で「バクマン。」のことを紹介され、その情報を探す中で見つけた。
http://www.nhk.or.jp/anime-blog/
あさのあつこ原作、アニメ「テレパシー少女 蘭」の再放送が決定しました!
教育テレビ 9月27日より、毎週月曜 午後7:25〜 の予定です。
友情、信頼、そして初恋。蘭たちのピュアな青春を描き出します!
どうぞお楽しみに!
あら?昨日からでしたね、間に合わずすいません。9月末からってめずらしい編成だな。
私はこれがいい作品かどうか知らない。あさのあつこの「バッテリー」は確かに素晴らしい作品だったが、ひょっとしたらあさこ氏、この作品の一発屋根かもしれないし、水島某氏のように野球ものだけはうまい特化型作家なのかもしれない。
ただ青春、思春期の悩みや成長を描くという地に足の着いた作品なら面白いかもしれない。検討材料無いので、投げっぱなしで紹介のみ。
ねらわれた街―テレパシー少女「蘭」事件ノート〈1〉 (講談社青い鳥文庫)
- 作者: あさのあつこ,塚越文雄
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テレパシー少女「蘭」(1) ねらわれた街 前編 (シリウスKC)
- 作者: いーだ俊嗣,あさのあつこ
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そのNHKは10月、今敏氏追悼で「パブリカ」を放送とのこと
上と一緒に、紹介されていた
http://www.nhk.or.jp/anime-blog/0010/60717.html
今敏監督 追悼企画8月24日に急逝された今敏監督に哀悼の意を表し、10月5日(火)0時45分より追悼企画として「パプリカ」を放送します。
また、10月3日(日)23時50分からBS2「MAG・ネット」でも今敏追悼特集を放送いたします。詳しくは下記ホームページをご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/magnet/index.html
といったところで、偶然に「エスパー」「超能力」についてまとめることができました。時間がないのでこんなところで。
【メモ】エスパーものの年表をつくると面白いかもしれない。その受容をふくめて