この前、木村敬蔵という硬骨の官僚を描くみなもと太郎「風雲児たち」を紹介し、たくさんの反響を頂きました。読者の方には、その号を購入された人もいるでしょうか。
実は同じ号にとみ新蔵という作者の時代劇漫画「孤高の虎」連載第二回が収録されています。コメント欄ででも、以前触れた方がいました。
id:suzume002 2010/07/30 21:05 (一部略)孤高の虎とかも読んでほしいのに。
この作品……これがけっこう、設定が格闘技系というか。そっちのジャンルと考えてもいいものなのです。
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明国からの使節が日本を訪れた(※ひょっとして秀吉唐入りの和平交渉使節?)際に、生け捕りにした虎を一頭持参した。
そしてどういう経緯かは分からないけど「日本の侍よ、もしこの虎に勝てるというなら決闘してみたまえ」と挑発し、それに応じた武芸自慢たちが次々とこの虎に挑戦する・・・というお話のようです。
人vs獣、を扱った物語はいろいろある。だけど、ゾーン無制限の大自然の中で、銃を持った狩人たちと熊などの猛獣が攻防…という
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第一回を読み逃したため、設定の細部を推測するしかないのが隔靴掻痒だが、どうもこの対決には両国のメンツも懸かっているようです。だから明国が運んできた虎はその勝負に勝つための調教が実はしてある。ただ凶暴性に任せてやみくもに暴れるのではなく、経験によって人間の持つ刃物の危険性や、その対処法を十分にわきまえ、また「夜目がきかない」など、人間の弱点を十分に知り尽くした、知恵ある獣のようなのですわ。
そして、それに挑む武芸者たちは第2回までで、最低2人は敗れている。あるものは自分が長年身につけた武芸への誇りのため。あるものは藩のメンツや、低い身分である自らの未来への突破口とするため。
収めた武術も剣あり骨法あり(たぶんあの骨法とは違う)槍あり。
この後、何回この物語が続くか分からないが、そういう各武芸の一長一短などが虎を相手に薀蓄として披露されるのも楽しいです。槍は脇差と一体となって遠距離、近距離を相互に補うとか。
掲載紙「コミック乱」は既に上で紹介した回の次号(2010年10月号)が発売済みだけど、幸いなことにこの号では休載、次回発売の号に第三話が載る。
上のコマにあるように、槍使いと互角の攻防をする虎だが、夕暮れがじわじわと迫っている。あたりが闇に沈んだとき、夜行性の虎に人間が勝つすべはあるのか・・・
9月27号発売の号に載るという。
作者のブログ
作者・とみ新蔵氏はブログでも活発に発言しているが、自作の紹介とか連載についてとかの文章はごく少ない。むしろ文明論や時事問題など、作品とは直接関係ないようでいて、しかしやはり関係するような文章が多い。
http://hiratomi.exblog.jp/