もうすぐ新学期ですね。中学校・高校にそれぞれ入学した人もいるでしょう。
あたらしい教科を学ぶ人もいると思います。
ところで、私事にわたる話ですが、やや自慢をしますと、わたくし中学、高校と歴史の成績は非常によろしかった。のちの大学受験ですが、わたしは某全国テストで、自己採点すると誤答は2問のみだった。1問は社会主義思想の進展、もう1問はイラクの歴史で、今から見ると得意というかよくブログに書く話題ですけどね(笑)。その高得点は、だいぶ実力以上の底上げをしてくれた。
大学受験に限らず、世界史の知識は折に触れ、私を助けてくれました。危なくなるとタックルでテイクダウンして休む某選手のように、やはり頼れる手段がひとつあると違ってきます。
しかしその知識が、なんで身についたかというと、ぜんぶ「世界史に必要なことはすべて小説と漫画で学んだ」のである。
もちろん、その多くは別に啓蒙を目的とはしない、エンターテインメントとしての作品でありますが、それとは別に啓蒙・学習を目的とした<学習漫画>もたっくさん読んでいて、これがバックグラウンドにあるからこそエンターテインメントとしての歴史ものも楽しく読むことができ、まともな学校の授業も頭に入り、そしてそれが・・・と好循環をもたらしてくれたのである。
ただ「学習漫画」といっても十把ひとからげにできるわけではない。
読んでいる当時はあまり気にならなかったし、書かれているテーマを重視しがちだったが、今この地点から思い出してみると、やっぱり作者やコンセプトによる出来・不出来というのははっきり存在していた。
さてイントロが長すぎなので本題に入ると、そういう「今の目」で、たまたま最近・・・でもないな、元本は2002年に発売され、昨年文庫となった「集英社版・世界の歴史」(※最初、「小学館版」とかいていましたがミスです)シリーズを見る機会があった。そしたら・・・そのクオリティが、おれの時代の歴史学習漫画にくらべるとやっぱりすごく進化していて、腰を抜かしたのである。
いやーさすがゼロ年代の作品だ。 監修は近藤和彦・河原温。
(補足:あとで分かったのですが、ムロタニ・ツネ象の漫画などは学研版の「世界の歴史」でした!このへんは画像に混同が有ります)
各地域の人物をたくさん紹介
実は私、中学から高校に上がったときに、世界史でちょっとばかり苦労したのも事実。というのは中学のときは、・・・自慢でなくて事実としていうけど、上に書いたような理由で、ほぼ100点でした。で、瀧本誠や石井慧のように「このバックボーンがあればそのまま通用するぜ!」となめきって挑んだのだが、いきなりアッシリアやらアメントホテプとか出てきてな、面食らったのだよ。そこから適応するのは多少の時間を要した。
私のころは、中学の世界史レベルに合わせた学習漫画しかなくて(私の知る範囲では)、予備知識なしに入っていたのだが、「高校世界史の基礎知識を学習漫画で学べたらなあ」とつねづね思っていた。
そしたらこのシリーズ、まさに高校世界史で初めて知った各国の英雄豪傑たちが、漫画のキャラクターとしていきいきと登場しているのだ。
ロシアの皇帝でありながら、身分を隠して外国の造船所に紛れ込み技術を学んだ「暴れん坊皇帝」ことピョートル大帝。
あるときは非情な侵略者、あるときは誠実な仲介者として、しかも結果的に自国の最大の利益を分捕った鉄血宰相ビスマルク。
アラブ1000年の誇りとなったサラディンと、そのライバル十字軍の諸王(※これは学研版)。
モンゴル帝国亡き後、その栄光を復活させることを目指した中央アジアの雷鳴・チムール(※これは学研版)。
清帝国を確立し、西洋キリスト教文化を受け入れながら思想的にもその上を行った康煕帝。
インド大反乱に立ち上がった無名の戦士たち。
エジプトの梟雄ムハンマド・アリー。
これら、高校世界史であらためて知ったり、名前から初めて知った人物が、教科書以上にいきいきと登場しているのだ。作品としてはまちがいなく中学生でも読める読みやすさがあり、知識は高校水準。これを中学生が一通り読むと、技術レベルの話だが(もし世界史を高校で専攻するなら)大いに役立つことになろう。
すごいのは複数の人たちが絵を描いているのだが、それぞれ志があること。
たとえばルイ14世は「鉄仮面」伝説を下敷きにして、仮面をかぶった別の人格のルイと国王ルイとの対話−−などという小芝居をはさんでいるし、モンゴルでは、草原時代のチンギス=ハーンと覇権を争ったジャムカのことについて詳しく書いている。アラブのアッバース朝?を磐石のものにしたマンスールなんて人物は正直、高校でも習った覚えが無い人だが意外な傑物で、このひとの事跡についても詳しく・・・・作者たち、このへんは高校の授業に役立つとかそういうのを放棄している(笑)。趣味だ趣味。
張るコマの数は、この際気にしないっ。
(ここで書いているマンスール、ジャムカなどは学研版)
ジャムカにハーンが「貴人としての死」を与えたことや、マンスールが「わしが不正をしたら、わしがわしを牢屋にぶちこむ」という名言を残したこと、ついでに息子に「おまえにおべっかを使った詩人にあんな大金を払うとは!ばかもん!」としかったなんてことは受験にはたぶん役に立たない(笑)。だが、某半島の某民主主義人民共和国のことを考えるときに、これ以上に示唆に富む歴史知識は無いだろう。
そういうところまで目が届いているから、あるいは暴走しているから、この本は数種類ほど今でも出ている学習漫画の中でも、特に私が推薦しているのだ。
漫画版 世界の歴史 1 ペルシア帝国とローマ帝国 (集英社文庫)
- 作者: 本村凌二,茶留たかふみ,井上大助
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その後、紹介動画を作ってみました。
ひさびさに構成ミス。「欧州の川中島」フリードリヒとマリア・テレジアの戦争は後日!!
上の序説部分も語り足りないのだが、本題にしようと思っていた18世紀半ば、ふたりの個性的にして対照的な賢王同士の戦争・・・すなわちオーストリア継承戦争、七年戦争とその主役フリードリッヒ大王・女帝マリア・テレジアの抗争については書く時間が無くなってしまった。
これは後日回しにしたいが、調べれば調べるほど面白い。
先に、ウィキペディア見ておきますか?
ウィキペディアの「フリードリヒ」(プロイセン王)
ウィキペディアの「マリア・テレジア」
これが載っているのは5巻。
漫画版 世界の歴史 5 ルネサンスと絶対主義 (集英社文庫)
- 作者: 近藤和彦,河原温,岩井渓,長谷川幸恵
- 出版社/メーカー: 集英社
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セット
漫画版 世界の歴史 全10巻セット (漫画版 世界の歴史) (集英社文庫)
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/05/25
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漫画版 日本の歴史 全10巻セット (漫画版 日本の歴史) (集英社文庫)
- 出版社/メーカー: 集英社
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