【トンガ噴火お見舞】INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

”科学的”(を自認する)調査結果と、良識・慣習・人権思想の距離・・・性愛編(「レイプ遺伝子」なる奇説)

以前から、「医学的・科学的な事実(仮説含む)が、良識や人権思想からかけ離れた場合のあれこれ」、というのについて興味を持っているという話をここではさせていただいている。
その例として、スポーツに向いた遺伝子とか、特定の人種間の、スポーツ的才能に優劣はあるか?などについていろいろと書いてきた。


実はもっとこれに関する問題が続々と出てくるのは結婚や家族、そして「性愛」に関しての研究。
なぜなら、もともと家族や性というのはどう考えても人間が社会を作る前から存在していたものであり、そしてとにかく、あまりにも多種多様すぎる。こんなものを「民法」とかを筆頭に、法や制度に組み込んだら、例外がぞろぞろ出てくるに決まっているのだ。その無理は承知のことであったろうけど。
2、3が最近のホットエントリにあったのでまとめておこう。

http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20100211/p1
http://d.hatena.ne.jp/steel_eel/20090316/1237182165
http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-07-12

http://d.hatena.ne.jp/font-da/20100217/1266399298
http://sociologbook.net/sb.cgi?eid=463


で、「えーちょっとまてやーおい、『科学的に研究した結果の仮説です』といってもそれが結論じゃ袋叩きやでーおい」と思ったきっかけが、上のリンクエントリでも触れられている、日本版では昨年9月ぐらいの「ニューズウィーク」で紹介された記事でした。
http://www.fujisan.co.jp/Product/5766/b/250424/?ncp=1

ニューズウィーク日本版 Newsweek Japanのバックナンバー
2009/08/26発売号 (2009/09/02号)
2009/09/02号「沈みゆく日本」


【レイプも浮気も遺伝子のせい?】
進化心理学 男の身勝手な行動を読み解いた学説に新たな逆風が吹いている

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 9/2号 [雑誌]

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 9/2号 [雑誌]


たぶん、http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-07-12 で紹介されているものとほぼ内容が一致しているので、この7月の英語版記事がやや遅れて9月の日本版に掲載されたのだろう。
英語を十分にたしなむ人は、日本版を買わなくても
http://www.newsweek.com/id/202789
で元記事が読めるね。

SPONSORED BY:
Why Do We Rape, Kill and Sleep Around?

The fault, dear Darwin, lies not in our ancestors, but in ourselves.
Illustration by Peter Oumanski for Newsweek
By Sharon Begley | NEWSWEEK
Published Jun 20, 2009
From the magazine issue dated Jun 29, 2009


(上のリンク先での翻訳)
 この春ニュー・メキシコ大学に集まった科学者の間ではレイプの話題でもちきりだった。出席していた教授の一人、生物学者のランディ・ソーンヒルが、共同著者の一人として、『レイプの博物学:性の強制の生物学的基盤』を出版したばかりであったからであり、その本はレイプが(進化生物学の言葉で言えば)一つの適応であって、その形質が遺伝子によってコード化され、その遺伝子を所有するものにはアドバンテージが与えられる、と主張しているからであった。10 万年前の更新世末期にさかのぼってみると、レイプ遺伝子をもっている男性は、レイプ遺伝子をもっていない男性に対して、繁殖の点でも進化の点でも優位性をもっていたというのである。それらの男性は、望む相手と子供を作っただけでなく、望まない相手とも子供を作ることによって、より多くの子孫(それらもレイプ遺伝子をもっている)をもつようになり、それらの子孫も、同様に、レイプ遺伝子をもたないヒトよりも生き延び子孫を多く残す確率が高かっただろうし、そしてこのプロセスがn世代くり返されて、今のわれわれが・・・・・


えーー、ええええのえ、だ。
当然論文の研究者も、それを紹介した記事の著者も、それを紹介したブロガーも(笑)「だからそれを肯定する」なんてひとことも言っておらんけんね。
ただ、自分がこの研究者の立場だったら、仮にデータがそろっていたとしても、政治的にちゅうちょした可能性を否定しない。
これが超ドレッドノート級の「良識に反する科学的仮説」の見本だ。神棚に飾りたいような見本だ。


といっても、逆に世が世なら、また場所が場所なら、別のリンクの「同性愛者は一族を助けるから、集団の遺伝子維持を助ける」といった研究のほうが良識に反するものとされていたかもしれない。
ことほどさように難しいものだ。暗黒面に落ちると竹内久美子になるし(笑)。


むかし、UWFインターという団体がだ(笑)、「許せないと思う相手は追放するのではなくリングで倒せばいいではないか」と称して新日本やSWSを追放された北尾光司を団体に呼んだことがあったが、それと同じように(一緒にすんなよ)、なんとか遺伝子も一族内ヘルパー云々も、異議がある(「許せない」ではない。「事実と違う」部分だ)ならそれを論文、反対研究の形で相手をKOする必要がある。


上のニューズウィークでは人類学者のキム・ヒルによる反論・反証があるのだが、この論法がまたなんちゅうか。

・・・もし被害者の夫や他の親戚がレイプ犯を殺すならば、レイプをすることで適応ポイントは失われる。また、もし母親がレイプによって生まれた子供の養育を拒んだり、レイプ犯として知られる(小さい狩猟採集の部族では、レイプやレイプ犯は皆が知っていることである)ために、レイプ犯が食料を見つけるのを他者が手助けしてくれる可能性は低くなるならば、レイプ犯は適応ポイントを失う。

「親や親戚に犯人は殺されたり、それで生まれた子供は養育を放棄されるから進化上、そういう性質はマイナス」
・・・うーむ反論まで「良識に反する仮説」のカテゴリーに入るとは思わなかった。


あと、日本版の後半部分には
「遺伝子も、社会ができてから短い歴史(数千年単位?)で十分変わり得ると分かってきた」といった記述があった記憶が。あとで探します。

この話、その後こういう記事に続く。

「モテと遺伝と国民性」…NHK番組、さりげなく「タブー中のタブー」に触れてるんだが! - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120807/p2