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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

そもそも優先順位とかをつけるのは憲法違反だ!と東京新聞は語った(トリアージ関連)

トリアージ」がはてな内でいま、ホットな話題となっている。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%a5%c8%a5%ea%a5%a2%a1%bc%a5%b8

私は以前からトリアージについては興味を持ってみていました。
このブログ内での、その単語への言及を見ていただくと分かるけど、自分の興味対象としては、この単語を含めた「医学的合理性」というものが、民主主義や人権より、そして文化伝統よりも上位に立つ、まさに「新世界の神」として君臨しているという状況が面白いと思っている。

だからこれについても書ければ書きたいけど、ちょいと今は他のエントリも仕上がっていないのが多いのでざっと要約ね。
議論の流れは、探していけばどこかに(賛否の立場から)まとめサイトがあるでしょうからそれを見てください

【短評】
議論は少しずつ移行して「トリアージは確かに災害現場で必要だ。だがそれを経営学に例示できるのか?」というところが問題の対象になっているようだ。
それについて、大きく言うなら私は是と考えます。リソースが限られている時にどう配分するか、というのは広い意味でのマネジメントであることは間違いが無いし、その体系からはずれているのではなく、その中での非常に純粋な状態だと位置づけるべきだと思う。極端な状態でこそ物事の本質が見えやすいということはある。

そして、トリアージを語っていく中で「・・・の場合はトリアージをしてはいけない」「・・・はトリアージとは関係ない」「・・・ならトリアージを避けられる」というのはむしろ、逆に鮮明になってくる話だろうと思う。
アウシュビッツや「かわいそうなぞう」というのは(両者の性質はまあ、全く異なるのだが)、それらの中で「マネジメント」的に否定論も出せるのではないかと思う。
ただ、それはそれでわき道ですね。
トリアージをしなければ」という時に「先生、この地域から医師をXXX人、●時間で召集できます!これでトリアージはやらなくてもすむ体制が整います!」というのは実際には絶対必要な論点だし準備しておくべきものだが、そのトリアージの本質としてはまた別といっていいでしょう。


それは最初に語るべき講義1に入るのか、その後に細部を詰める講義2に入るのかは分からんし、そもそもは要約だからそのへんも触れているのかもしれないが、最初の講義(エントリ)ではそこも語っておけばなお良かったと思う。
また「かわいそうはプリミティブな異議申し立て」というのもそうだろうが、ならばそのプリミティブ性に対しての批判というのも十分ありえるし、あっていいものだと思う。



さて短評が長引いて短評じゃなくなっちゃった(笑)
本題、タイトルなのだが、災害現場のトリアージに近いもので、インフルエンザ大流行の際に、ワクチンが有限ならどう振り分けるのか・・・という議題がある。
日付を切り抜きに入れ忘れてしもうたが、東京新聞こちら特報部」に、この問題を取り上げた記事がある。予防ワクチンはいま3000万人ぶんしかないそうだ。
で、こちら特報部は、最後にデスクが感想を書く。


憲法違反ってことになっちゃ、やっちゃいかんということでおしまいだろうなあ。
これも上で言えば「否定論ではなく、今から準備して制限しないでもいい状態にしておけという主張だ」って本人はいいたいのかもしれんが、ならば憲法論を持ち出すのもへんだ。
それに財源についても「道路のカネがある」は方向性はともかく床屋政談に過ぎる。
これも「プリミティブな異議申し立て」かもしれんが、やっぱりここまでプリミティブじゃ困るだろう、と思うわ。


思い出した話

同一線上にあるといえばある。
http://tanautsu.la.coocan.jp/the-best01_03_01_a.html
に過去投稿した話。

文春新書「戦争学」を読んでいたら考えさせられるくだりが。
英独戦のバトル・オブ・ブリテンを例に出して、作者の松村氏は論じています。

ヒトラーは・・・・・攻撃目標をロンドン空襲に変更した。・・・ロンドンの市民は、ロンドン防空を軍に要求した、しかしドーデリングは、制空権の奪取を優先して、航空部隊と対空火器舞台を運用した。高射砲の主力は「航空基地防空」に配置された。彼は制空権を失えば、すべての防空を失うと考えたのである。市民の生命を直接守るのか、航空戦力を守って間接的に市民をまもるのかの選択は・・・”


戦争学 (文春新書)

戦争学 (文春新書)