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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

”負け犬”ミルコ・クロコップ、日本から反攻への道は?

エー、ようこそのお運びで。一席お付き合いねがいます。
江戸の昔にミル五郎ってえ男がおりまして、この嫁のおダナと二人でその日を暮らしておりました。


このミル五郎、腕はたいそう立つのですがまァ、気分にむらがあるというのでしょうかネ、天狗になりやすいたちなんでしょうか、ちょっと金が入ったり偉くなると酒くらったり、仕事ほっぽりだして映画出演だ慈善サッカーだと遊んでしまう。
それで嫁のおダナを大層悩ませておりました。


「ちょいとお前さん、起きておくれよ!起きとくれな」
「何だよ。邪険な起こし方しやがって!」
「仕事に行っておくれな。」
「うるせいな。もっと寝かせろい。」


こんなやり取りしながら、オプション契約がどうこうの言われてしぶしぶミル五郎、仕事に出かける。するとアメリカで、思いがけない大金を手に入れたからさァ大変。


「ラスベガスで顔を洗って一服してると落ちてるものを見つけたんだ。拾い上げると、これがUFCなんだ。中を見ると…契約金がはいってるんだええ、いくらあると思う。ちょっと数えてみてくんねえか。」

「えっ、お金だって、ちょいとあんた。大変だよ、こりゃあ。いくら入ってるんだろうね。手が震えちゃって数えられないよ・」

「なんにせよ、これだけありゃあ、一生遊んで暮らせらあな。PRIDEに行かなくたってすむんだ。なあ、釜の蓋でもなんでも開けてくれってんだ。うれしいね。毎日酒飲んでたって大丈夫なんだ。ええ、酒持ってきてくんな。」


てんでドンチャン騒ぎをしました次の日の朝。


「ちょいとお前さん、起きておくれよ!起きとくれな」
「何だよ。また働けってのか?俺はUFCとの長期契約があるだろうが!!」
「お前さん?何を言ってるんだえ」
「昨日もらったUFCとの契約金だよ!」
「そんなものないよ。しっかりしてくれよおまいさん。あんたはね、今無名の柔術家やキック上がりの選手に2連敗して後が無いんだよ。長期契約って、そりゃ夢を見たんだよ」
「えっ、ありゃあ夢?うーんこんな夢を見るということは、心根まで腐ってしまったのかな。だめになってしまったのかなあ。」
「そんなことはないよ。そうやってぐうたらしてたから、そんな夢をみるんだよ。きちんと仕事をすれば、そんな夢を見なくなるようになるよ。」
「おダナ、おらあ働くよ。もう映画俳優も止めるよ。一生懸命やる」


・・・と心根を入れ替えましたミル五郎、元来は腕はピカイチですから仕事のほうがほおっておきません。だれもが嫌がる日本での仕事なんかも熱心にやりまして周囲の評判は上がる、カネもたまるで、再びの大晦日の大会を迎えました。


「おうおダナ、あらたまってなんだい。」
「実はね。聞いてもらいたいことがあるの。実はね。ミル五郎、アメリカでUFCと長期契約をした夢をみたことがあったね。実はあれ夢じゃないの。本当のことだったの」
「ええっ、実の旦那をだましたってえのかい」
笹原圭一さんと相談したのよ、そしたらあんな大金持っちゃミル五郎はダメになる。夢ってことにしようって。騙したあたしを、どうかぶっておくれ」


「なるほど、うーん確かにおれがあんな大金持ってたらダメになったに違いねえ。ぶつなんてとんでもねえ、おダナは俺には過ぎた女房だよ。この通りだ」
「頭を下げられるとこっちがどうしていいかわからないよ。・・・今日はあの日以来おまえさんがきっぱり止めていた、お酒を用意してあるのよ。随分ご無沙汰でしょう、どうぞお飲みよ」

「酒か・・・・・いや、よしとこう。
またDREAMになるといけねえ


ああ、オチの一行を思いついてから、その一点に向けてひたすら準備するのは大変だった(笑)書くほうは結構苦労したが、ただ元ネタをどの程度の人たちがご存知であるかが問題だ。

【元ネタ】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%9D%E6%B5%9C
http://kkubota.cool.ne.jp/shibahama.htm

「負け犬」と書いたが

「丸くて 打撃が通じない オクタゴン
略して「マダオ」と、かのPRIDE無差別級トーナメント覇者ミルコを呼ぶ向きもある。
あるってここだけだがな。

ミルコとUFCの契約について

今回、ダナはミルコの他団体出場を妨害する意図はないという。
じゃあそれは友情なのかそういう契約条項なのかというと、さらにまた「他団体で戦わせて価値を上げさせ、その後UFCに再登場する」という意図があるなんていう複雑怪奇な見立てもあってはっきりしない。

今回、ダナは約束のファイトマネーの減額を突きつけたとも聞くが、結局どんなオプションがあったのかは笹原氏も詳細は話せない、といっていたな。
この場合、例えば社史編纂資料室に出向させたり総務付にして仕事を与えず、給料を減額しておいて「こちらから解雇したわけじゃない」というような悪質だがよくあるパターンなんかもある。

たぶん、推測するなら「ミルコ契約解除を言い出したときは・・・を払わないで済む」とか「UFCが減額をする時は、その後の契約は自由意志に任せる」「他団体出場は、アメリカ以外に限定する」とか、双方にいくつものカードがあり、その組み合わせによっては有利にも不利にもなる。その妥協点がこれだったんじゃないかな。


とはいえ、結果的には日本はかなりいいカードを手に入れた。
ミルコは例のオクタゴンの肘、追い足という弱点がそのまま解消されるだろうし、やっぱり華もあるし強いと思う。
旧HERO'Sヘビー級には四強の一角、セルゲイ・ハリトーノフもいる。
ミルコ・クロコップセルゲイ・ハリトーノフ
個人的にはかなりよさげ。
でもキム・ミンスはかんべんな。

ありえたかもしれない展開を惜しむ

この前、ノゲイラ戦を見て、ティム・シルビアはテイクダウン耐性とリーチが武器で、対ノゲイラには本当にぴったりだったが、逆にミルコは対シルビアにはぴったりだったような気がする。「でかくてそこそこ打撃ができるならノルキアと同じだ」というミルコの毒舌もあったね。
ガブリエル・ゴンザガ戦に勝っていればタイトル戦はほぼ規定路線だったのだからミルコの責任としかいいようがなかったのだが、ミルコvsシルビア戦は見たかったなー。