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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ムハンマド風刺画問題」は終わらない−−NHK番組と漫棚通信より

http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_d132.html

漫棚通信」から。

2007年〜2008年、NHKで放映されたドキュメンタリー

●シリーズ日本語タイトル:「NHK33カ国共同制作 民主主義」
●作品日本語タイトル:「欧州 デンマーク “風刺画事件を追って”」
●ディレクター:カルステン・キエール Karsten Kjær(デンマーク
●日本での放映:2007年11月28日(BShi)、2007年12月23日(BS1)、2008年1月3日(NHK総合

これだこれ。33カ国共同制作で、NHKも参加してます、と麗々しくうたっておきながら地上波放送が1月3日の深夜と言う気合の入らなさっぷりであったのだ。
私は当日気付いて(事前に分かっていればここで告知したよ)、慌てて録画しつつ見たのだが、松の内でもあり実家にこの録画はあるので詳細は語れないままだった。

いずれ見直して語ろうと思っていたが忘却してしまったところに、このように概要をテキスト化しネットの中に提示してくれたのは大変ありがたい。「漫棚通信」というのは意外な気もしたが、よく考えればマンガという文化に関する問題でも有る。



この事件は、ここでブログを始めた以降の話だから、発端からある時期まで一応フォローしている。
多少余計なエントリも混じっているが、できれば古い順から再読していただければ幸いだ。

このブログの「ムハンマド」検索結果


ただ、結論は出ていない。だが天下のNHKをはじめ、世界33カ国の知恵が合わさったこの番組でも結論が出ないのだから当然だ、と開き直ろう。


いくつか知っていたことも映像で見ると迫力があるし、知らなかった事実も有る。

(事件後、ドイツ、ベルリンでは、モーツァルトのオペラ「イドメネオ」の上演を中止。キリスト、ブッダムハンマドの首が並べられる作品)

キャンセルの理由は芸術的な問題かもしれません。しかし風刺画の問題が影響していた可能性は高いでしょう。イスラム教徒が何に怒りの反応を示すか、分かりませんでしたから。

こういう話で言うとダンテの「神曲」があるよね。たしか体を真っ二つにされている。


事件のあと今度は(註:騒動もとのデンマーク誌は)ホロコーストの風刺画を掲載すると発表したが、上司から否定される。「イランと協力はしない。ユダヤであれ、キリストであれ、風刺画は載せない」 新聞社には世界じゅうのメディアから膨大なメールが押し寄せた


イランの大統領の肝いりだったが、論理的な議論の勝敗はともかくヨーロッパではこの一軒で大統領の評判がメチャクチャ低下したんだよな。

イランではムハンマド肖像画も売っていて、監督はこれを手に入れる。シーア派では預言者肖像画が存在するが、スンニ派に敬意を表するため現在は禁じられている


シーア派の教義がちょっと違う、というのはホメイニ師肖像画が乱立したイラン革命のころから一部では言われていたけど、実物の肖像画を見るとやっぱり驚きだ。
レアものだなあ。欲しいや。
実はウィキペディアの「ムハンマド」日本語版にもムハンマドの姿が描かれた絵が転載されているのですね。
大したものだよ。

この絵をモデルにしたような伝記マンガを、ぼくは少年時代に読んでいた記憶が有る。


なんにせよ、興味深い番組と、今回のテキストでした。
どこかで動画が見られるなら御覧なさい。


ただ、このNHK放送で一番衝撃的なのは最後のテロップでした。

※最後のテロップ:
NHKはこの「事件」で傷ついた多くの人々への配慮から一部映像を加工しました


民主主義を高らかにうたうはずの番組で、当のNHKが”自主規制”をかました次第。
まあ、テロはきけんだ。安全優先もやむを得まいか。

いや、皮肉な描き方をしたけど、実際にそういう立場で、放送の当否を自分が問われたら・・・分からないなあ。うーん、やっぱり迷うけど、放送しちゃうかな。あまり考えずに。
でも、じゃあの風刺画をこのブログに転載してみろ、といわれるとやっぱりやめたほうがいいかな、って思うだろうな。
というわけでだいぶん難しいわ。