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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「豪州の反捕鯨は差別と非科学」…批判のYOUTUBEが話題に。豪外相まで公式コメント…「動画革命」ここまで来た&思い出す「美味しんぼ」の1挿話

http://d.hatena.ne.jp/atp/20080107/p3

[ニュース]豪メディア、日本人有志が作成した豪州批判の力作ビデオ「白豪主義…」を紹介。日豪の緊張を警戒
日本の捕鯨推進派がオーストラリアは人種差別国家だと非難するビデオをYouTube投稿した。忌まし

いクロナラ暴動(注1)の映像を使っている。

10分間のビデオは英語と日本語の字幕で、オーストラリア人は白人優越主義、排外的民族主義、人種差別イデオロギーに染まっており日本人に偏見を持っていると非難している。

そこには殺されるディンゴの実態や小型トラックにワラビーを叩きつけて殺している子供、そしてオーストラリア人と思われる男性がカンガルーの母親のお腹の袋から赤ちゃんカンガルーを取り出して足で踏みつぶすという恐ろしいグラフィック映像が映し出されている。そしてまた、クロナラ暴動で怒った若者が激しく襲いかかっている有名な映像も再現している

このユーチューブビデオ「白豪主義オーストラリアと反捕鯨」は
http://www.youtube.com/watch?v=e8lvep0-Ii0


で見られる。映像は記事で言うほどグロテスクなものではない。
また、内容も2、3箇所首をかしげるところが有るが、基本的にはロジカルに語ろうとしているし、これへの反論もロジカルなものになるだろう。
反論、再反論で罵倒しあうようになったらそいつらがよっぽどレベルが低いといえる。
ディンゴの話や、カンガルーをああいうふうなやり方で殺しているというのは知らなかったし。(私は、ディンゴの頭数が再生産可能な水準なら、駆除すること自体に何も批判はない。カンガルーもしかりで、要は生息頭数の問題一点だ。)

ま、内容はどうでもいいというか。
個人的に興味の有る問題は、何度も書いているけど、アマチュアが、既存動画を収集し、それを再構成、編集して作る「アームチュア・ドキュメンタリー」(私の作った造語、仮称です)が、ようつべやニコニコ動画などの発表の場所を得て、既存メディアに匹敵する影響力を持ったことへの驚嘆だ。
これまでの「アームチェア・ドキュメンタリー」の論考を見てもらえると幸いです。


豪州の外相は不快感を表明したというが、会見で公式に触れたこと自体が彼らの敗北、投稿者の勝利だ。「拝啓、豪州外相様」なんて続編ドキュメンタリーを作ったら、それを無視するのも不自然となるし、ディンゴやカンガルーの殺し方についても反応しないといけなくなるだろう。
(註:ちょっと仮定の部分があって、今回の反捕鯨批判動画での映像は、投稿者が独自取材したものである可能性もある。それなら優秀なフリージャーナリストがいた、というレベルの話なんだが)

どっちにしても、米大統領予備選の討論会で、YOUTUBEを通じ送られた動画の質問に候補者が答える光景はすっかりお馴染みになった。
http://www.socialnetworking.jp/archives/2007/11/abc.html参照)
既存動画を組み合わせたドキュメンタリー、以前はFLASH動画だったか、やっぱり世間を動かす力を蓄えている・・・と思う。
私だって技術が有ったら、最初のエントリに書いた「戦極と旧PRIDEとコンプライアンス問題」を動画仕立てで作ってみたいもの(笑)

今回はその力を十分に見せてくれた。
とりあえず
http://www.youtube.com/watch?v=e8lvep0-Ii0
はてなブックマークではどう騒がれているか。

追撃の提案。雁屋哲(豪州在住)原作の「美味しんぼ」”激闘鯨合戦”を英訳・配布せよ。(YOUTUBEで)

これで思い出したのがタイトルにある作品ですね。
自分の名誉のために言っておくが「美味しんぼ」はトータル的に大嫌いな作品です。

そしてこの「激闘鯨合戦」つう作品も、中で展開される個々の事実関係はともかく(まあ基本的には正しいだろう)、反捕鯨の側を不必要なまでに悪魔化し、カリカチュアライズする手法は本当にひどいと思う。
嫌韓流」だってこの流れにはあるんだが、さすがに編集者が「敵役にも美形のキャラクターを入れよう」とか多少は配慮しているらしい。

だから、普通の議論としてはオウンゴールになりかねない、あの「美味しんぼ・激闘鯨合戦」の回は。

ただまあ、上でも留保したように事実関係自体はまあまあ使えるし、漫画というかストーリー仕立てで話を進めるというのは分かりやすいだろう。
あとひとつは、豪州の友人を気取るテツ・カリヤ氏がこういうコミックのストーリーを書いているということが豪州のメディアにバレた後の彼の立場が面白くなりそうだからだ(笑)。
そこで彼が反論するも良し、「男組」の最終回のようにワルシャワ労働歌の調べに乗って敵陣に単身乗り込むもよし(笑)。


私はこれを書くときは、ニコニコ動画にいくつか有る、コマを写真に撮っての紙芝居仕立て(英語字幕つき)を想定していたのだが、

美味しんぼ (13) (ビッグコミックス)

美味しんぼ (13) (ビッグコミックス)

よく考えたら美味しんぼってアニメ化されている。
探したらニコ動ではアッサリ見つかった。激闘鯨合戦・前後編。
 ↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm180385
http://www.nicovideo.jp/watch/sm589106

まあ、僕が英訳できるわけもない。案とURLを提示するにとどまるのみ。
ついでに言うと、実際に見てみるとさっき書いたように「事実関係はともかく、論敵を一方的に悪魔化する手法にへきえきする」というのにたぶん共感してくれると思うよ。
以前、宮崎哲弥はこれをつよく批判したことがあり、処女単行本に収録されていたと思う。

正義の見方 (新潮OH!文庫)

正義の見方 (新潮OH!文庫)

もうひとつ例に挙げると
田中芳樹創竜伝」がどんどん劣化していったようなもんですね。
井沢元彦のフィクションも、結構そういうしょーもない作品が有る。