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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

東野圭吾「容疑者Xの献身」直木賞受賞

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

新聞によると6度目の候補だったそうだな。この人は、筒井康隆「大いなる助走」へのオマージュの意味も込めて、何篇か直木賞候補者やミステリー賞の選考委員をモデルにしたブラックユーモア小説を買いているね。
なんといっても東野氏の作品で個人的にすきなのは、ミステリーの「お約束」を自分で徹底的にギャグにした「名探偵の掟」。


名探偵の掟 (講談社文庫)

名探偵の掟 (講談社文庫)

なにしろ密室殺人になったら、容疑者も刑事も「また密室?」「密室トリックに悩むより、容疑者の背景を普通に洗ったら?」と突っ込み、「ドラマ化」されると主人公は女性になるわ、スポンサーへの配慮で殺人手段が変わるわとなるのだから(笑)
それにいちいち振り回される名探偵。


「容疑者X」はラブストーリーの意味もある、というところに宣伝も集中しているが、むしろ小林信彦のいう「怪人対巨人」もの、敵も知者なり味方も知者なりの、一対一の対決振りが面白かった。
これは「探偵ガリレオ」でキャラクターを確立した刑事が出ているから面白い、という部分もあると思うのだが。