町山智浩ブログより
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20051206
スティーヴン・スピルバーグの新作『ミュンヘン』を観た。
2005年に観た映画ではベストワンだ。
とにかく強烈で、壮絶な映画だった。
ミュンヘン五輪で選手11人をパレスチナ・ゲリラに殺されたイスラエルが報復のため、諜報機関モサドの精鋭5人にパレスチナ人11人暗殺を命じた実話の映画化だ。
(略)なぜ、スピルバーグが今、この映画を作ったのか? その理由はあまりに明確だ。
アブナーに暗殺任務を与えた上官(ジェフリー・ラッシュ)とイスラエルの首相は「テロと断固戦わなければならない。これも中東の平和のためだ」と言う。
そのセリフはどっかの大統領が言ってることと同じだ。
そして、スピルバーグが『ミュンヘン』で象徴的に写し出すのは、ありし日の世界貿易センタービルなのである。
内容も面白そうだが、「イスラエルを悪役にする物語は作れないというタブーが、厳然としてハリウッドに存在する」と言われていたのにどうなったのかな・・・結局は枯れ尾花みたいなもんだったのか?
と思いきや、「この映画は内容が政治的に危険なので今まで極秘に製作されていた」のだそうだ。確かに、あんまり「スピルバーグが制作!」という前宣伝を聞いてなかった気はする。でも、逆にスピルバーグのような超大物は、極秘に映画を撮ろうと思えば撮れるもんなのかと感心した。