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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

浅羽通明

上で出島というネタを書いたので→蘭学岩波文庫「おらんだ正月」→「風雲児たち」→「浅羽」と連想した。これは俺の中での話なので、一般性を問うてはいけない。

で、そこからいくつかのキーワードを経由して検索したら
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/sociology/1078847355
が出てきたのよ。社会学板だったね。
だれかがこのブログからも引用したりしてるが、それはさておき、最近の大学での講義の様子が受講生?から報告されていてこれが面白いですな。

788 :名無しさん@社会人:2005/07/09(土) 15:21:22
先々週の授業(法政)

知らないうちに資本主義に対する分析は終わり、歴史論について、前回までに、
歴史無き文明インドと歴史マニア文明支那に対する分析を終えた模様
今週は絶賛?公開中の戦国自衛隊にかこつけて歴史を変えるとは?について論理
上ありえないと前置きしつつ思索を巡らせる。その素材として小松左京「地に平
和を」(1960)を用いた。時は30世紀、一人のマッドサイエンティストが歴史の
変革を企てる。彼は大東亜戦争における日本の降伏を阻止し、本土決戦を招こう
とする。それは何故か?

大東亜戦争を最後まで戦わない矛盾を彼は修正しようとしたのだ。一夜にして米
帝のポチに成り下がった日本、彼はその修正を企てる。

ここで話は現実に戻る。浅羽は大東亜戦争の「アジアの解放戦争」「自衛戦争
の二つの歴史感を浅羽さんは論理的には可能と一旦肯定した上で切り捨てる。ポチに成り下がった我々に「解放」だ「自衛」だと語る資格があるのかと?
さらに切り捨て御免は続き、朝鮮戦争で復興し、ベトナムで豊かになった日本人に「ベトナムに(今ならイラク)共感する資格があるか!」と『脱正義論』いらい変わらない切味



789 :名無しさん@社会人:2005/07/09(土) 15:23:30
先週

最近あった日韓の歴史認識を巡る協議、実証を求める日本と始めから結論ありきの韓国あの朝日ですらやんわりと韓国を批判した。
しかしである、それは建国神話としての歴史を必要としない日本の強者性のあらわれではないか、我々はその強者性の自覚を持って主張を展開すべきである。
(そこで改めろと言わないのが浅羽さん)


で、どうも前期の最終講義では
浅羽先生がオススメする「余白を埋める夏のブックガイド」
が発表されたらしい。

798 :名無しさん@社会人:2005/07/16(土) 09:58:16
・『風雲児たちみなもと太郎
知る人ぞ知る日本史「物語」永遠の名著。リイド社からも刊行
・『妖星伝』半村良
環境・生命・進化・秩序・知性・幸福などをめぐる物語的思索の一頂点
・『アジアと西欧世界』北川稔ほか
全30巻の『世界の歴史』のうち、最大の異色。文明交代の物語
・『すべての道はローマに通ず』塩野七生
全15巻の『ローマ人の物語』のうち、最大の異色。インフラの物語
・『ロビイスト』小尾敏夫
アメリカはいかなる世界「帝国」なのかを考えさせられる。絶版
・『客家』高木桂蔵
ロビイスト』と続けて読むべき。支那がどういう「帝国」かが見える
・『明治大正史 世相編』柳田國男
そして我々は生活と心身をいかに近代へとカスタマイズしたのか
・『日本文壇史伊藤整
そして我々の知性と美意識のカスタマイズはいかに無様だったか
・『女性に関する十二章』伊藤整
華がない人生論なのに昔、ベストセラーだったのは単に題名ゆえ
・『私の幸福論』福田恆存
「容貌について」から始まる華がない人生論で無論売れなかった
・『貧乏は正しい』橋本治
そして我々はどこからどうやりなおして未来を再構築するのか
・『青空人生相談所』橋本治
そのためにはこういうきびしい言葉を他人事でなく浴びておかねば
・『面白い小説を見つけるために』小林信彦
ハマるとはどういうことだったのかが気品とは何かとともにわかる
・『夢の砦』小林信彦
サブカル誕生に青春をかけた男たちのやがて悲しいプロジェクトX
・『現代人の論語呉智英
知を文化を保有することのやばさとそれを捨てられぬ矜持について
・『妖説太閤記山田風太郎
もてない男は天下一となるまであがいても遂に幸福にはなれない


799 :名無しさん@社会人:2005/07/16(土) 10:03:25
・『修羅維新牢』山田風太郎
結局、人間はどうあがいてもダメなんなんだとしみじみ悟るために
・『わらの女カトリーヌ・アルレー
さらにもっととことん人間に絶望しつくしてへこみきるために
・『プードルの身代金』パトリシア・ハイスミス
さらに絶望させられた上で後味悪いいやーな思いで胸が塞がる
・『柿の種』寺田寅彦
科学を知ると日常のさまざまなデテールの隙間から何が覗けるか
・『うらおもて人生録』色川武大
それでも生きていくしかないからこういう文章もある。西部邁解説

あの人、ブックガイドをつくるのが大好きなんだよね。
思想即読書ガイド紹介、 読書ガイド即思想という形だ。


俺も夏休み向けに、こういうのを作ってみたいとこだな。