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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「政治家の日本語」(平凡社新書)

ちょうど今、サンデープロジェクト野田毅加藤紘一が出演し、町村信孝外相の「ゴマすり」発言を話題にしている。あらためて、政治家は言葉を武器にして闘う商売であると感じる。
もちろん、政治家の言葉は「嘘」の代名詞であり(この本にも「わしは誠心誠意、嘘をつく」という政治家の台詞が紹介されている)、言語明瞭意味不明の見本市である。
特に日本の政治家は言葉だけではないし寝技、人脈、なあなあまあまあで進むのだが「それでもなお」政治家は言葉に縛られる。

そこに着目して、研究したのがこの本だ。それも皮肉や冷笑で、その政治家の「ウソ」を笑うような本は多いが、これは正面からわしづかみにしようとしている。

この本の中で、一番印象に残るのは、戦後もそれなりにいた獅子吼する雄弁家ではなく、名人寝技師・金丸信の名言だ。

「さすっているようで、たたいている。たたいているようで、さすっている。それが政治というものではないだろうか」


「このシャバはキミたちの思うようなシャバではない。親分が右と言えば右、左と言えば左なのだ。親分が右だというのにいやだというなら、この派閥を出ていくほかはない」

この人はかつて「リビアに国の予算をつけるべきだ」と、米国の意志にまっこうから反する発言をし米国筋や外務省に最大級の緊張を走らせたものの、実は「リニア(モーターカー)に予算を」という意味だったという(笑)元祖・意味不明発言政治家だったのだが、このふたつの発言は実にわかりやすい。
都築氏も「たたいてさすって」を「見事なまでに平易な言葉で政治の本質を衝いている」と書いているし、後者の発言は「『シャバ』といい、『親分』といい、極道の言葉である」とあきれながらも、そこに戦後を動かした派閥政治の強さを見ている。


逆に、二人の”鈍牛”政治家の言葉にも興味をそそられた。
大平正芳は、歴代の日本首相で唯一「増税」を掲げて選挙を行った人(結果は惨敗)であるが、その思想的背景をこう説明する。

「私は、政治ができることとできないこと、政治のなすべきこととなすべからざることを率直に国民に訴える」(初閣議語の談話)

ハイエクフリードマンが指導し、その後の民活路線にもつながる「政治の戦線縮小」を視野に入れたこの人はもっと再評価されていい。


あと一人は小渕恵三
引用されている記者とのやり取りはそれだけ読んでもあまり意味が無いので紹介を省略するが、都築氏は「自己を客観視する知性の持ち主」と書いている。
やや読者が納得しないと思ったのか(笑)、著者は小渕が太宰治チャイコフスキー、寅さんを愛好し、接しては涙を流すという話を聞き

「本当に分かっていたのかと疑う人もあるかもしれないが、本人が好きならばそれで十分だろう。
小渕が知的だと言うのは、大平や宮沢や小渕と同世代の加藤紘一がいかにもそうなのと同じ意味ではない。自分の仕事である政治が、人間の多様な営みのごく一部でしかないということを知っていたということである。そうした諸々の価値の多元性の前に自分を相対化できる首相を持ったことは、たとえ短期間ではあっても、国民にとって幸福だったように思われる」

私も在職中の小渕氏を、ちょっと軽く見ていたきらいもあるので、やや反省。

さて月日はめぐり、ワンフレーズ・ポリティックスを武器とする小泉純一郎首相の時代が訪れた。
テロ特措法の今までの法律との整合性を問われ
「確かにあいまいさは認める・・・そこにはすき間がある」と言い放ち、これで政権が立ち往生するかといえば、「今までのほうがおかしかったのでは?」という風に相手が受け身になってしまう独特の気風だ。
この首相は、歴史に今後どんな「日本語」を残すのだろうか。


最後に、ちょっとおもしろい一節を。参議院のボス青木幹雄が発見した?「青木の法則」は
「安定政権の場合、内閣支持率自民党の首相支持率の総和は常に100%である」

だ、そうである。



【メモ】
1〜4歳児の死亡率 日本は先進国の3割増で「最悪」
http://www.asahi.com/life/update/0531/004.html

ゼロ歳

出生前診断

先天性