04年5/25、毎日新聞「宗教社会の底流 米大統領選の土壌」
2つでひとつの記事で、佐藤千矢子、国枝すみれの2人によるもの。
毎日新聞は、この前もアメリカの田舎町でのイスラム-キリスト教の摩擦をルポしていた(このブログでも紹介)が、支局全体が宗教と社会について興味を持続させているのだろうか?
たいそう面白かった。右面はブッシュの宗教観で、マジな信仰心と打算、そして善悪二元論の入り混じったメンタリティを分析している。
これは面白いが、聞いたことある話(CBSが「ザ・ジーザス・ファクター」というこのドキュメントを放送したとか。見たいな)。
あとひとつのほうが大層おもしろくて、グラウンドキャニオンの話。
ここにはたくさんの、同渓谷を案内するガイドがいるのだが、「ここは4000年前(新らしすぎ!だが、天地創造から逆算するとそうなる)、ノアの大洪水の影響で・・・」などと、何ともファンキー、いやファンディ(原理主義的)な解説をするガイドがいて、そして大人気なんだそうだ(笑)。
いや、ツッコミとかじゃなくてマジメなキリスト信者がそのガイドを選ぶわけ。
科学者はそりゃ怒ってさ、「米地質学会」など7団体が公園管理局に書簡を送り「偏狭な宗教観を増長し、広く認められたグラウンドキャニオン形成の歴史を攻撃している」と宗教ガイドに不快感。
普通のガイドにも「ここを造ったのは神でしょ?」というお客がやって来て、対応に困るとか。
この種の話題は、正直「ワハハハハ、やつらはバカだねえ」という冷笑的(と学会的?)な、高みにたった優越感を感じられるから楽しい、という部分はあるのだが・・・しかし、宗教観というのをバカにし過ぎるのも考え物で、それは逆に非寛容になっていく部分もあるわけだからね。
このガイドだって「あんたらはあんたらでやってくれ、それは自由だ」と放置するのが正義で、地質学会のほうが偏狭だ、という立場もあるだろう。
「天地創造を信じる、世界的な科学者」というのが普通にいるのも、米国のあなどれんところだ。
ここで30年近く前に「日本的原理主義について」という考察を表わした(「空気の研究」収録)山本七平の「捕虜収容所の中の進化論講義」という有名なエピソードを思い出した人もいるのではないか。
(この項続く)