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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 報道、記録、文化のために

【メモ】ある事件から…「手紙」は送った側、受け取った側どちらに所有権や著作権があり、公開できるのか、という話。

www.bengo4.com

大阪地検トップの検事正だった北川健太郎氏が部下の女性検事への準強制性交罪に問われている事件で、女性検事の代理人弁護士は5月21日、被害後に北川氏から受け取ったという計6枚の直筆書面を報道陣に明かした。

「今回の事件が公になった場合、私は絶対に生きてゆくことはできず自死するほかない」

「私のためというよりもあなたも属する大阪地検のためということでお願いします」

北川氏は初公判で起訴内容を………

何ともひどい話で、

Aさんはこれまで何度も第三者による調査を実施するよう求めているが、検察庁は誠実に対応する姿勢をみせず、記者会見を開くことすらしていない。

というのを政治(法務大臣)のほうからやらせるようにすべきか、そうでないか、というのが参院選の争点になってもいいぐらいだが、そのテーマは今回は触れない。
このあと、こういう話が出てくる…

「被害者を貶める誹謗中傷が拡散され名誉毀損の被害が続いているため、被害者の権利を守るために、北川被告人の直筆書面を公開します。

これは被害者が北川被告人から受領したもので、被害者の所有物であり、捜査機関が事件に関し作成した書面ではありません。

証拠の目的外使用を問われるものではないと判断しています。

北川の同意誤信に係る弁解は、裁判所に提出済みの客観証拠により信用できないと認定されているため公開しません」


そして弁護士ドットコムが手紙をテキストとして載せている訳だが……ブクマで質問した

ちょっとこの内容から離れて『手紙の扱い』の一般論に興味あるんだが『AがBに送った手紙はBの所有物だからBが公開できる』という考えでいいのね?/※このブクマにブクマがついて、興味深い事例を教えてもらった
https://b.hatena.ne.jp/entry/4770699992995830465/comment/gryphon

そしたらこんなドンピシャな回答をいただいた。

『「恋愛の対象でした」元大阪地検トップの"直筆文書"入手、自殺ほのめかしと告発封じの文言も…部下への性暴力事件 - 弁護士ドットコムニュース』へのコメント

こんな事例がありますね 「頂き女子りりちゃん」がテレビ局に送った「便箋87枚の手記」 誰のものか?<a href="https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5ddf50c063d77d76859402def74616b0b01cd414" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5ddf50c063d77d76859402def74616b0b01cd414</a>

2025/05/21 23:43
b.hatena.ne.jp
 ↓
見てみよう。
おっ、検察官時代にとても有名な事件に関わった人だ。
ja.wikipedia.org

だから今は法律的なことを「書く」専門家になっているのか…
そんな数奇な運命に思いを馳せつつ、文章を読む

「頂き女子りりちゃん」がテレビ局に送った「便箋87枚の手記」 誰のものか?

記者の取材を受け、テレビ番組で「自筆」であることを含めて女性の言い分を詳しく報道させるための長い「手紙」にすぎなかったのであれば、法的にはその手紙の授受は「贈与」にあたる。受け取った段階で「所有権」は受取人のものになる。返還義務はないから、テレビ局側も自由に処分できる。正月にお年玉付き年賀はがきを送ったあと、1等に当せんしていたことが分かり、受取人にその返還を求めたとしても、返す必要などないのと同じ理屈だ。

 それでも、便箋に書かれている文章の「著作権」は、書いた差出人に帰属している。受取人が勝手に公開するのはNGだ。ある作家が三島由紀夫から個人的に受け取った手紙を書籍の中で勝手に公開した事件では、遺族の提訴を受け、裁判で出版の差し止めや損害賠償請求が認められている。今回は女性がテレビで報じられることを事前に了承していたわけだから、テレビ局による報道には何ら問題がない。

「原稿」だったら?
 一方、単なる長い「手紙」ではなく、出版を前提とした「原稿」として取り扱われていたのであれば、権利関係は両者の契約に基づくことになる。トラブルのもとになるので、権利関係の帰属や出版の範囲、回数、原稿料などについて事前に取り決め、契約を取り交わしておくのが本来の姿だ。

 しかし、現実には明確に定められていないケースも多く、そうした場合には、文章の「著作権」だけでなく、オリジナル原稿の「所有権」も執筆者に帰属するというのが裁判所の立場だ。法的には受取人はこの原稿を預かっているだけということになるので、執筆者から返還を求められたら、これに応じなければならない。
news.yahoo.co.jp

文中に出てくる三島由紀夫の手紙の著作権裁判。
jucc.sakura.ne.jp
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://lex.juris.hokudai.ac.jp/coe/lecture/transcript/2007/071003_intro.pdf
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/http://www.jpwa.org/main/images/copyright/togaki38_fukui.pdf


今回の最初の件に引き寄せると、検事はこの手紙の著作権があるけど,「報道目的」ならいいというやつだろうね。これ、けっこう使い勝手がいいので覚えておきたいところ。
ん?だとしたら(時事報道目的の引用なので許される説なら)そもそも、手紙の所有権がどうこう、著作権がどうこうってのは関係なかったんじゃないか???「念のため」に所有権に関して言及したってだけだろうか。


laws.e-gov.go.jp
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国等の周知目的資料は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。


(時事の事件の報道のための利用)
第四十一条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。


そういえばで思い出したが、
たとえば、カウンター運動で発生したリンチ事件について、辛淑玉氏や師岡康子弁護士が関係者に事件直後に書いた手紙なんていうのも、時事的な報道として引用されていたのだろうな。
posfie.com

www.rokusaisha.com

リンチ事件関連 辛淑玉氏の手紙
師岡康子メール リンチ事件

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orion.mt.tama.hosei.ac.jp
www.businesslawyers.jp



あと、「原稿」だと著作権も所有権も自分の手元に置くことができる、そうだ。
これはむしろイラストを描くタイプの人こそ重要かも。どこかに小さくハンコで「これは『原稿』です」と入れておけば、かもだな。


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  • 山田 孝之
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