【続報】先日の「大英帝国」に関してですが、長沼美香子『訳された近代 文部省『百科全書』の翻訳学』(法政大学出版会、2017)第六章「「大英帝国」という近代」に、「「大日本帝国」の成立が翻訳語の「大英帝国」に先行した」(188頁)との興味深い指摘があるのを見つけました。
— 河野有理 (@konoy541) May 30, 2022
つまり、「大英帝国」という言葉が先にあって、それへの事大主義的憧れから「大日本帝国」という言葉が事後的に作られたのではなく、事態は逆であるということです。
これは(無論拙いものですが)私自身の「幕末明治初期の文献にそういえば「大英帝国」表記を見かけないなあ」という実感とも一致します。
著書の議論を私なりに敷衍すれば、明治20年代初頭に「大日本帝国」表記が定着、日清戦争を経て「大韓帝国」成立による東アジアにおける「帝国」の時代が訪れ、他方、英国の方でも『英国膨張論』以降empire意識の高まりを反映して「大英帝国」の語は世紀末に現われ20世紀初頭に定着する。
午後7:22 · 2022年5月30日
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