……朝倉は1回、YA-MANにコーナーに追い詰められると右ストレートを浴び、前のめりにダウン。朝倉が立ち上がり再開されるが、YA-MANは冷静にコーナーに追い詰め2度目のダウンを奪うと、レフェリーが試合を止めた。
試合後、インスタグラムを投稿した朝倉は「全く記憶がなくて、自分が何者かもわからない状態で朝倉未来を調べて客観的に見てみて これはもう引退ですね」と引退を示唆。「何でこんな自分に沢山(たくさん)のファンがいるかもわからない状態ですが、長い間本当に格闘技にはお世話になりました ありがとうございました」とファンにメッセージをつづり、「今の気持ちです」と結んだ。

自分はいわゆるキックぼんやり層で、MMA選手がキックに出ればそれなりには観るけど、興味の度合いはぐっと減る。そもそもこの試合、決まったとか決まらないとか一応活字は目にしてたけど、ほとんど注視してこなかった。「1分じゃあ決着つかないだろうさ」と、ブレイキングダウンルールと勘違いしてたんだよ(笑)
だから、結果はそれなりに驚いた一方、「まあキックルールじゃそうだろうな。YA-MANはMMAに転向するといっても、ほぼ本職なわけだし」ぐらいにしか思わなかった。
だけど、こういううっかりした負けが、選手に肉体的にも商品価値的にも大きなダメージをもたらすことは知っている。
自分が連想したのは、山本KID徳郁がK-1でチョン・ジェヒという選手に敗れた試合だった。あの時はジョー・ウォーレンにMMAで珍しい負けを喫し、その復帰戦として、手ごろなキックルールをやったところ…という点で、今回の未来とかぶる。
なんであんなメリットの無い試合をやったんだ、というのは後知恵で、どっちも本来は「勝てる」と踏んでいたのだろう。
そして今後……
キックはあくまで寄り道といえば寄り道なわけで(だが、そうは「一般席」の外野は見ないから、イメージ低下は深刻な訳だが)、本来的には今もRIZINフェザー級では上位から落ちているわけではない。ライト級から落とした武田光治、本領を発揮し始めた摩嶋一整、そして因縁の平本蓮など、流れ的には落ちた同士での再浮上を狙うことになるクレベル・コイケと、戦うべき相手はたくさんいるのだ。
だけれども、そもそも、「いま引退しても一生、生活に困らないほどの財がある」という前提の格闘者を見ないからな、日本では(笑)。
だから、その前提を置いたうえで「また格闘技に復帰してください」と願うべきかどうか、それは迷う(笑)
そして……これは(笑)をつけられない話だが、けっきょくのところ「メイウェザーにKO負けしたあと、頭痛が続いていた」という話は、今回のKO負けで試合の記憶が無い云々と続けて考えると、かなり警戒をしたくなるのもわかる。
いまだに脳震盪は未知の世界であり…それこそ暫定的なものとして60日は、いや90日は休めとか、そんな基準があるっちゃある。
だけれども「とりあえず決めた暫定基準」でしかない、っちゃない。
日本MMA史は、KO負けの後60日前後で復帰、な話もよくある、これまた。
しかし、「2回、意識や記憶を失うようなKO負けをした。後遺症という未知の領域を考えると、これで十分だと考え、グローブを置く」という考え方も、これはこれであり得るだろう。
いや普通だったら「うーん、さすがにもったいないね。もう少しやってみては」と思うんだが、とにかく「既に一生食えるほど稼いでいる」という前提条件があると、これまた違ってくるんだ……。
というのが、朝倉未来のKO負けと今後について、とりとめもなく思った話であります。
追記 本人は「格闘技界に戻ってくる」ことを宣言。
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