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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

RIZIN雑感2 アーセンに完勝の所英男が、山本KIDの「挑戦を受けて立つ」日はあるか?

★161231:第9試合・所英男 vs. 山本アーセン - 格闘技徒然草 (id:lutalivre / @lutalivre_jp) http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/20161231/1483178052


RIZINは、試合展開自体に懐かしいものがある。或る意味、そういうところのレトロさを商品価値として売りにしているのかな…というぐらい。
アマレスの実績は十分にあるが、MMAについてはまだまだ初心者…なファイターが、万能型のグラップラーに下から一瞬で腕を極められて秒殺タップ…って、フランク・シャムロックとケビン・ジャクソンの時代のリバイバルじゃん!!!、って。

…と、言ったってアーセンは身内にトップの総合ファイターがいるわけで、そういう危険性は一から教わっていただろう。当時とはやっぱり情報量がちがう。
そんな人間を、やっぱり見事に極めて見せた所がすごいというべきだろう。
所英男って、戦績を見るとやっぱり負けが多いのだけど、「勝敗×試合の注目度」で観ると、結構どうでもいい試合は落とすけど、注目を特に浴びるここぞという試合では「勝利」か「負けても名勝負」をして、トータルでは大黒字になっているというイメージがある。
そこは本当にすごいし、また年齢による衰えも比較的少ない。打ち合うタイプや、筋力に頼るタイプではないからだろうか。


さて。
山本KID徳郁との試合ですが。
山本KID所英男を、「これまで成し遂げてきた業績の総和」で比較すると、確かに山本のほうが格上であろう。何しろ本来はフライ級にも行けるのに70㎏の選手と戦ってきた(まあそれは、所もだが)上で、HERO'S王者などになった実績はすばらしい。宮田和幸への、一撃とびヒザKOなどの伝説もある。

されど、「これまでの実績の総和」での比較でなく、KIDを現在進行形のファイターとみなして「今現在の、MMAファイターとしての価値」を比較したら、所英男が今現在は、圧倒的に、山本KIDより光り輝いている。だいたい、アーセンをただのルーキー、所には当たって砕けろ…と送り出したわけじゃなく「アーセンってヤバいですよ」「所には全局面で勝つ」といって送り出したのだから、その「製造物責任」をとらなきゃ(笑)。
「俺がものすごくヤバいと公認したアーセンを、秒殺した所は、超ヤバい相手だと認める」と。

そもそも、この当時から、所はこう言われるほど実績がないファイターでは無かったし、KIDにリスペクトが欠けていたと感じる。
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ただ、逆にいえば「結果次第では俺のスターの地位が揺らぐ試合になる。できるならやりたくない」というKIDの防衛本能もかすかに感じるな…
一方でこれは、佐藤大輔氏ら運営側は「所vsKIDはおいしい!できればやる方向に持っていきたい!」という意欲を感じていたつくりである。
その意識は、まだあるのだろうね。

山本KIDはもちろんUFCの傘下ファイターだけれども。

UFC山本KID、復帰戦はまたも中止 - eFight 【イーファイト】 格闘技情報を毎日更新! http://efight.jp/news-20160527_238917
2016/05/27(金)UP

6月18日のUFCにて、約1年半ぶりの試合に臨む予定であった山本“KID”徳郁 PHOTO=Zuffa, LLC (c) / GettyImages (c)
 山本“KID”徳郁の復帰戦がまたも中止となった。

 6月18日(土・現地時間)カナダ・オタワのTDプレイスアリーナで開催される総合格闘技イベント『UFC FIGHT NIGHT』にて、約1年半ぶりの試合に臨む予定であった山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)の欠場が5月26日(木・現地時間)発表された。

UFCでの戦績は
http://jp.ufc.com/fighter/norifumi-Yamamoto


ぶっちゃけ…なにかこう、転機なのではないか、とも思う(婉曲表現)。
ただ!!UFCだって馬鹿じゃないので、山本KIDが一種のアイコンであり、その知名度に対しては十分に金を払う価値があること、契約試合をこなせないならこなせないで、そのまま”キープ”しておいて、プロモーションにでも協力してもらう方が何倍もお得なこと、そんなことは百も承知だろう。

UFCが愚かだったのは、同様に所英男とは、そのアイコン性という点でも、また現役ファイターとしても契約する価値が十分にあっただろうに、契約しなかったことだ。
直近に微妙な負けやKO負けがあったとはいえど。


そんでベラトールにいって、勝てなかったけど大激戦で、そしてRIZINに…となったわけだけど。

http://sadironman.seesaa.net/article/377487214.html

――あなたはUFCに行くつもりで、それにはカンプザーノに勝たなければいけなかったと聞いてます。これはまだ可能性の段階ですが、UFCに行くためにはもっと勝利を重ねないといけないと思いますか?

所英男:僕はUFCで闘う準備ができてます! ファンを楽しませるファイターが必要で12月に来てくれと言われたら、僕はそこに出場します! 僕はフライ級がとても合ってると思うし、僕の階級です。僕はUFCファイターと真っ向勝負ができるし、彼らを倒して出世街道を駆け上がれると思ってます。UFCファイターのダレン・ウエノヤマさんやブラッド・ピケットさんにも勝ってますしね。僕はそこに行きます。

――ありがとうございました、所さん。最後にこれを読んでる人たちに言いたいことはありますか?

所英男:僕は普段はこんな主張はしませんが、真実を証明せざるを得ない立場になったので、今こうして強い決心のもとで主張しています。また僕のチームはベストだと思ってるので、UFCでの闘いは僕のサポーター、友人、家族同様、どれだけ素晴らしいチームであるかを証明することになるでしょう。2000年9月から良い時も悪い時も共に居てくれた人たちに恩返しをするためにも世界最高峰の格闘技団体で成功したいです。

http://the-big-fight.jp/articles/221

――今回のベラトールとの契約は、近々の試合というよりは、所選手のこれまでやってきたことが認められたわけですもんね。

所 それは一番うれしいことですね。いままでやってきたことを評価してもらって。ずっとがんばってきたかいがあったというか。ここ最近は負けてるのに取ってくれたというのは、すごくうれしいです。

――近年は、UFCを始めとした北米のメジャー団体に進出したいと思ったら、まず連勝を重ねてレコード(戦績)をキレイにしなきゃいけないっていうのが、当たり前したもんね。DREAMや戦極などで、どれだけ実績があっても、ここ数試合で黒星があったら認められない、みたいな。

所 そうですよね。

――だから、今回はそういう常識を覆したという点でも画期的な契約ですよ。

所 なんか、ベラトールも基準が変わったというか。スコット・コーカー新社長の考えで取ってもらえたって聞きました。
(略)
所 あとはやっぱり、今回代理人を務めてくれた石井(史彦)さんが、しっかり売り込んでくれたおかげだと思うんですよ。

――山本“KID”徳郁選手や堀口恭司選手、ストラッサー起一選手などをマネジメントしている石井史彦さんが、今回の代理人なんですよね。

所 はい。

――もともと、石井さんにマネジメントをお願いするきっかけはなんだったんですか?

所 うちの真ん中の兄が、昔から石井さんと親しくて。VTJの(ウィル・)カンプザーノ戦で判定負けになったあと、「英男をなんとかしてやってくれ」って、ガンガン言ってくれてたみたいなんですよ。

――まずは、お兄さんが石井さんに売り込んでくれたんですか。

所 はい。それでじつは今年始めに、石井さんと兄とボクの3人で会う機会を作ってもらったんです。ボクが腐ってたんで(苦笑)。

――カンプザーノ戦の判定問題で、一番腐ってた時期(笑)。

所 腐ってるボクを見かねたのか、兄がわざわざ石井さんを武蔵小杉に呼んで。そこで石井さんに「なんとかならないですか?」って相談して。そしたら「なんとかしてあげるから、腐らないで、頑張ろう」みたいなことを言ってくれて。それでいまに至るんですけど。だから、あの小杉での会談がなければ、この話もなかったと思うんで、感謝ですね。

――でも、石井さんもその時点では、もう一度レコードをきれいにして、なんとかUFCに売り込もうっていう考えだったわけですよね?

所 そうです。だから「まずは、次の試合に勝て」って言われました。

http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar587991
石井 あの頃、所選手は周りの人間を通してUFCに契約の提案をしていたそうなんですね。結局VTJで負けてしまってたことで目標を失ない。格闘技そのものへの愛情も失いかけていたようなんです。私はあるきっかけで所選手と会う機会があってやる気を出させるためにも「もう一度UFCを狙ってみよう!」ということで海外マネジメントをすることになったんです。それで9月のUFC日本大会までに1試合勝てば、契約の可能性はゼロではないと踏んだんですよ。

――ああ、9月のUFC日本大会出場を狙ってたんですね。
石井 所選手の実績プラス日本開催ならマッチメーク後に何が起こるかわかりませんし、実際にUFCに働きかけはしてたんですよ。厳しいコメントではありましたが……(汗)。それで所選手は7月に試合をしたんですけど、残念ながら負けてしまった。そこで私としては軌道修正をしないといけないと判断したんです。

――それが今回のベラトールとの契約に。

これだけUFCを当人が希望したのに、契約しなかったのはUFCの判断だろうが、ベラトールの激闘や、VS才賀紀左衛門、vsアーセン山本(vsクロンはおいとけ)を見て、「ちょっと惜しかったなー」と思うぐらいでないとUFCも危ういですぞ。というか、勝ち負けを超えたショーマンをUFCが喜ぶのか、喜ばないのかはけっこうブレがあるような……


階級的な問題…フライ級は、やや所の減量がきつくなるが可能だよね。
あとはUFCが、どうKIDの契約をアレするか、なのだけど。別にRIZINのために契約選手をリリースしたり、特別貸し出ししたりする義理や人情はなさそうだ。PRIDE買収交渉時の因縁や訴訟もある(笑)
 
逆に、所英男は1試合だけ?UFCと契約を結ぶことは不可能なんだろうか?RIZINとの契約内容はよくわからんが、可能ならぐっと期待は高まる。
ただ、完全に日本でだけ訴求力のあるカードなので、日本大会さえあれば、『日本用カードってことでどうですか?』となるのだけど…まず日本大会があるかどうか、だしね。
逆に、この一試合だけTBS「kyokugen」に売るとか…。

だが!所本人も「”このRIZINで”僕と闘ってください」と言ってた。さすがに所に対しては、ちゃんと契約の今後の縛りがある……のかもしれません。


結局の所、山本KIDUFCと、所英男RIZINがそれぞれ契約を握ってにらみ合い、そして両選手にとって残り少ない時間が費やされ、幻は幻で終わるのかもしれない。
その場合、おそらくは山本KID徳郁にとって、より幸いではあるのではないか。