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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

本宮ひろ志「まだ、生きてる…」1巻がkindle無料。定年会社員が山の自然と廃棄ゴミで自給自足サバイバル…

本宮 ひろ志 (著) 形式: Kindle

第 1 巻 (全 2 巻): まだ、生きてる・・・
Kindle版 (電子書籍)
¥0
今すぐお読みいただけます: 無料アプリ
定年を迎えたサラリーマン・岡田憲三。家に帰ると家族は消えていた。妻が全財産を持ち逃げし、息子や娘は音信不通に・・・。生きる事に疲れた希望も無くした憲三は、60年の人生の幕を閉じようと、故郷・房総の山奥に入り首吊り自殺を図るが・・・。現代人に生きる事の意味を問いかける意欲作、第一巻。


ひとつ前の記事で、いい年して「プロ野球のドラフトで、俺に指名が来るかも?」とソワソワしてる中年男たちの滑稽さを「大人のおとぎばなし」として紹介したが、
m-dojo.hatenadiary.com


まさに本宮のこの作品って「大人のおとぎばなし」を狙った作品だろう。

まずはじめに、いかに定年を迎え、再就職にも苦労する主人公が人生に疲れ、家庭も冷え切っているかが描かれる。

本宮ひろ志「まだ、生きてる…」


突然家族も全財産も失った(持ち逃げされた)その結果、故郷の山奥で自殺を図るが死にきれなかった。
だが…

本宮ひろ志「まだ、生きてる・・・」

そこで開き直って「じゃあ死ぬまで生きてやるさ」と、山奥でのサバイバルを試みるようになる。

本宮ひろ志の「まだ、生きてる…」元会社員のサバイバル
本宮ひろ志の「まだ、生きてる…」元会社員の山奥でのサバイバル


山奥に不法投棄がされていて、そこで生活に必要な資材も最低限手に入る。旨い設定とみるか、ご都合主義とみるべきか…
いや、そんなことを気にしていてもしょうがない。

なにしろその山に同じように入り、自殺を試みたが死ねなかった美しい女性を助けて、一緒に生活するようになるんだから(爆笑)。

本宮ひろ志「まだ、生きてる…」元会社員が山奥でサバイバル


読んでみるとわかるけど、これは本宮ひろ志風の「異世界転生してチート無双」ものなんだろうな、と。
それもかなりの中高年向けの。
「葬送のフリーレン」の設定すら呑み込めない人たち……
異世界、チート魔法、エルフ、ドワーフ」とかの予備知識がなくてその世界に残念ながら入れない、そういう人向けに「山奥、廃棄用品再利用、イノシシ」みたいな形に翻案してる。
「子どもと妻に退職金を持ち逃げされた俺が、開き直って山奥でサバイバル生活してたら健康にも美女にも恵まれたスローライフを満喫してる件」
と、今回のkindle無料を機に改題すれば良かったんじゃないかな(笑)?

いや、これは悪口じゃない、いや半分は悪口だが(笑)、読者の欲望というか夢に忠実に寄り添って、こういう作品をしかも、普通のマンガになじまない層に届ける本宮の手腕は、本当に見習う所が大だ。(実際、自分の観測範囲では本宮ひろ志漫画って「普段ほかのマンガを読まない非オタク層」に圧倒的に届いてる感がある)。


また、以前、芦辺拓氏らが「明朗時代劇」という昔はやっていたジャンルを発掘し、定義したことがあるが、「考証に余り厳密になる必要はない。それは物語の幅をせばめる。もっとゆるい、なんとなくの「お江戸」でいいんだ」、ということを語っていたことがある。
togetter.com
まさに本宮ひろ志はそのドンピシャな明朗時代劇「昼まで寝太郎」というのを描いてて、これもまあ松平定信とかは出てくるけど本当に緩いというか荒唐無稽っぷりを、そういうプラスに生かしていた。


この「まだ、生きてる……」も、まさに考証の緩い<幻想としての”山奥”>でさ。
本当に人生に疲れた、なんの特技も無いと自称する定年直後のサラリーマンをいくら「不法廃棄の粗大ゴミがなんでもある」設定付きとはいえ、山奥に放り込んで、こんなにサバイバルできるか?弓まで使って使いこなして…「自殺島」や「ソウナンですか?」的に、そういう知識やスキルがあるという後付け設定もないし……そして後半のクライマックスとなるあれも、本当に現代医学的に大丈夫なのかなあと。
いや、昔昔から人間はこんなふうにしてたよな、とか今でも医者や病院のない未開社会じゃこんなもんだろ、といえばそうなんだろうけど。


ただ、そういうことを含めてすべてが、いかにも本宮ひろ志流の「大人のおとぎばなし」だということ。


今回、偶然「kindleで1巻無料です」という案内が来たんで、予定外だったが一気に紹介してみた。
ああ、もう一つ特筆すべき点があって、この「まだ、生きてる……」って全2巻だけど、1巻と2巻に特段の繋がりみたいなものはなくて、この1巻は1巻でストーリーが完結してるのよ。
だから、お試しにダウンロードしてみないか?とお勧めしている次第です。

「大人のおとぎばなし」について

このブログ内の特別用語ですが、或る種のテイストを持った物語などを、こういう名称を付けて分類しています。
詳しくは過去のこの記事などを。
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