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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

新谷かおるが「エリア88」と並行し描こうとした「バランサー(旧JAP)」1巻がいま無料

無料は、2023年9月27日現在。

ネーデルランド…広く親しまれているオランダという国名ではなく州の名称。そのネーデルランドに飛騨白羽衆(忍者)の生き残りである「南郷兵衛」、またの名をコードネーム『J』という名で傭兵をする日本人の男がいた。忍者として身についた戦闘術を生かし数々の成果を上げてきた『J』だったが、ある任務を遂行中に外国の地であるにも関わらず宿敵の黒羽衆の襲撃にあい…!!国家の思惑とそこに絡む白羽衆・黒羽衆・赤羽衆の問題を描いたアクション作品!

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上の説明、確かに間違いではないのだが…忍者うんぬんというのは、「路線変更」した結果そうなったので、最初はすごくハードな、(リアルな、とは言わぬ)ミリタリーサスペンスだった。
当時、エリア88が人気の最盛期、絶頂を迎えており、さらにそのエリア88落合信彦が(笑)けん引する形で「傭兵もの」ブームみたいなものも生まれていた。
筆の早い新谷氏や編集部が「もう一本この路線で作品を立ち上げよう」と考えるのは当然だったろう。
それも本丸「少年サンデー」に掲載されたし、タイトルは「JAP」。


子ども心に「このタイトルで大丈夫?」と思ったよ、ファッキン・ジャップの意味くらい分かるよコノヤロー(たけし風)
一方で子供心に「こういうタイトルなのだから、いわゆる綺麗ごとでない世界を描く覚悟があるんだろう」と思ったよ。そういう語彙はないが、確かにそういう意味のことは思った。


ただ、大丈夫じゃなかった(笑)

同誌の看板作品となった『ふたり鷹』の完結後間もなく『ジャップ』の題名で連載が開始されたが、日本に対する蔑称が題名に使われたことからクレームが多発して改題され、この一件が原因で新谷が編集者との確執に至った末に打ち切りの形で完結している。しかし、当時の世界情勢(冷戦事情)[1]と傭兵[2]の綿密な描写や、連載当時には考えられなかったベルリンの壁が崩壊する場面も最終話で描かれている
バランサー (漫画) - Wikipedia


middle-edge.jp


確かインタビューでもいろいろ語ってて…別冊宝島いきなり最終回」シリーズのどこかに、「新谷かおるが色んな自作漫画の最終回を語る」記事があり、もっとぶっちゃけてた(笑)


まあ、そんな路線転換もあって、自他ともに認める大失敗作だが、上のような経緯があるので、1巻は最初に構想していた非常にハードな展開となっていたと記憶している。
ほら、傭兵がターゲットにするのが「表向きは貧しい人たちを助ける偉人」、その依頼をしたのが「同業者が増えると厄介な別の麻薬業者」。
どこまでリアリティラインを保っているかの評価はともかく、「志」というか方向性は感じるでしょう。

新谷かおる バランサー


それが偶然、「1巻無料」戦略によって無料配布されているのだから、この巻だけダウンロードをするというのはありだと思うのです。
この巻だけね。