INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【謎】彼の企画ながら「この曲調じゃない…」と不満だったという「ブロディ入場曲版『運命』」の指揮者は誰?〜名演出家としてのアントニオ猪木

──後楽園ホールにブロディがベートーヴェン交響曲第五番『運命』と共に登場したシーンは衝撃的でした(1985年3月21日・後楽園ホール)。実際に猪木さんとブロディが初めて遭遇したのはいつだったんですか?
猪木 そのときですね。


──事前の顔合わせなどはなかった?
猪木 俺はそういうことはしません。それより、あの『運命』は俺の閃きでね。


──そうなんですか!? あの演出、まったく度肝を抜かれました。
猪木 ブロディが新日本に上がるという話が決まってからね、寝てる時、突然パッと「登場シーンは『運命』だ!」って閃いて。でも、みんなにその話をしたら「そんなのはお笑いですよ」って笑われて。何がお笑いなのか俺にはわからなかった。


──しかし、実際にやってみたら古舘伊知郎さんの実況と相まって劇的な効果をあげていましたね。
猪木 いや、結果的にはそうなったんだけど、同じ『運命』でも「ダダダダーン」と「ダッダッダッダ〜ンッ!」じゃ全然印象が違う! これは感性の問題だからスタッフに理解させるのが難しくて……。リングの上から見ていて「ダッダッダッダ〜ンッ!」じゃないのが不満だったことばかり憶えてます(笑)。


──もっと重厚なオーケストラの『運命』をフルボリュームでかけて欲しかったわけですね。
猪木 演出もそうだけど、音楽もトーンひとつで選手の気持ちが変わってしまうんですよ。客の入りもそう。観客が多いと自然に力が湧いてきて、選手が張り切り過ぎていつもなら5分で決まる試合がなかなか終わらなくなったりする。いつも「いい加減にしろ!」って怒ってたんだけど、大会場での試合時間がどうしても長くなってしまうのはそういう訳なんです。まあ、とにかく、おそらく俺の中のプロモーターとしての自分が、四六時中、無意識のうちに選手の力を引き出す効果や演出についても考えているんですね。
kkimura.exblog.jp

www.youtube.com




ブルーザー・ブロディは野獣の狂乱ファイトながら「元新聞記者」で「インテリ」である、というキャラクター付けが”日本では”広まっていた。だからこそ、高尚なクラシックを冒頭に持ってくるという演出がなされたのだろうが、別に外国ではブロディをインテリ、というキャラ付けはされてないんだそうだ。
そもそも新聞記者と言っても、大学アメフットの有名選手がコラムを書いた、というたぐいだし、大学は留年を重ねて本来は3年先輩なのにハンセンと同期になったというし(笑)

その「ブロディは実は知性派」って一体、誰の主導・演出だったのだろうか。斎藤文彦が実際にインタビューをすると、言葉のチョイス、言い回しから非常に知的だった、というが、そういうレスラーがいなかったわけでもなかろう。それを、読者に伝えようと思った「X」は誰なのか? 最終的に梶原一騎原作にも登場したし、ブロディが新日に来た時に古館伊知郎は最初から「インテリジェント・モンスター」という言葉を使った。

そして週刊プロレスはその後のインタビューで間違いなく、まず「質問のテーマ選定」と、「ブロディの回答を日本語訳にするときの翻訳」「写真の選択」などで知性派ブロディ、を演出していった……この集団演出の歴史も面白いが!!

ブルーザーブロディ新日移籍表明時の週プロ表紙 背広に花束にチェーン

そもそも、後楽園での新日移籍表明の時、パリッとしたスーツに花束とチェーン、というのも「知的で紳士的な面と、狂乱の野獣の二面性を持つ」というキャラをトータルでコーディネートした結果ではあろう。
だが!!
それを受けて!!一番重要である、衝撃の移籍団体登場!!!のシーンに「運命」を持っていき、スタッフ全員の反対を押し切って実現させるアントニオ猪木は、やはりただものではない。

ただ、その演出家としての自信は、ブロディ全体の勝ったり負けたりという試合ドラマにおいても「俺の言うとおりにしてりゃ、もっともっとすごいドラマを生んだのに……」という思いがあり、プロモーターの提示する勝ち負けや内容に「イエス」を言わないことで知られるブロディとの心理的軋轢はやはり大きかったようだ。
結局6戦して、フォール決着が一回もない、ことは有名だ。

「こんな〝でくの棒〟はいない!」っていうのが正直な感想でしたね。相手をどうこうするというより、自分の決められたパターンしか演じないというブロディの〝型〟が出来上がっていて、誰が何と言おうとそれを崩そうとしない。絶対に相手に合わせようとしないんだから、いい試合をしようにもどうにもならない

監督と役者というか、マイク・タイソンドン・キングの関係みたいな、第三者のプロデュースを受け入れることができていたら、ブロディは大輪の花を咲かせたと思うんですよ。あれだけのキャラクターとパワーの持ち主だったしね

ところで、猪木的には「この曲調じゃない!」と不満だった、ブロディ入場版の「運命」って誰のなのか?

再度…

同じ『運命』でも「ダダダダーン」と「ダッダッダッダ〜ンッ!」じゃ全然印象が違う! これは感性の問題だからスタッフに理解させるのが難しくて……。リングの上から見ていて「ダッダッダッダ〜ンッ!」じゃないのが不満だったことばかり憶えてます(笑)。
──もっと重厚なオーケストラの『運命』をフルボリュームでかけて欲しかったわけですね。


まあわかる。
自分の高校だか中学の音楽解説書にはまさに「同じ運命でもこんなに違う!」というコーナーがあって、著名指揮者の第一楽章演奏時間が載ってたのだが、カラヤンが一番早く(7,8分台だったと思う)、カール・ベームが一番遅かった、と記憶している。

それぐらい「運命」の第一楽章、冒頭フレーズは色々違う、というのはわかる。

だが逆に言うとそれ以上は聞いてもわからん(笑)




twitter上では、入場曲研究家で専門書も出している「コブラ」さんという方がいるのだが

twitter.com




最後の喩え、わかりますか?(笑)

シューマンのピアノ協奏曲イ短調


で、やはりこのブログ記事と同様に「作品名と作曲者だけじゃなく、誰の指揮・演奏かも知りたい!」と言う人がおり、「自分で聞いて」どのバージョンか、今ではわかっている、という。


では、新日本でブロディが使った「運命」の指揮は?(ゴングで一応、仮の情報…「当時のゴングには1958年、アルトゥーロ・トスカニーニ指揮、フィラデルフィアフィルハーモニーの演奏とあった」があるわけで、これを頭から疑う必要もないかもしれないけど)

ここで、プロレスが好きであり、クラシックにもメチャ詳しい人の介入と、ご指摘を期待したいところです。


肝心の、新日でブロディが入場に使ってた(特に移籍表明の後楽園で)「運命」が流れる映像を見せたいところだが・・・・・いま、動画サイトがコンプライアンスを強化してごにょごにょ。
この映像も、どっかに…ごにょごにょ。