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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ノンフィクション巡り、石井光太氏に野村進氏が「彼の本って、嘘なんじゃない?」(要約)と疑いを表明した話。(2012年)

これが話題になった。
bunshun.jp


ブクマもにぎわった。
b.hatena.ne.jp


そこにつけた当方のブクマ

直接関係ない話で恐縮だが、石井光太氏の書いたノンフィクションはそもそも恒常的に事実を粉飾してないか?という問いを、先輩ノンフィクション作家の野村進氏が書いてて剣呑→  http://kobe59.blog.fc2.com/blog-entry-360.html
https://b.hatena.ne.jp/entry/4723110162390046754/comment/gryphon

この話、そんなに広まってないようなので、あらためて引用してシェア。

「海外ものなら、どんなに作り話を入れてもバレっこないとでも思っているのかなあ。この手法を認めてしまうと、誰も海外取材はしなくていいという結論になってしまいますよ。取材困難な箇所は、全部創作で埋めればいいわけだから。こうした著作を「ノンフィクション」とか「ルポルタージュ」と銘打って売り出してきた出版社の責任も重大です。」nishimuta62.blog114.fc2.com

kobe59.blog.fc2.com

野村進 この人は、社会的弱者への共感ではなく、むかしの見世物小屋的な指向で題材を選んできたような気がします。しかも徹底的に取材しているわけでもない。とりわけ、海外にいて反論できない社会的弱者を晒し者や作り話のネタにしてもいいのかと私は思いますね。

高村薫「三人称によって物語化した『遺体』のような手法は、ノンフィクションとして違和感を覚えた」。立花隆「これはノンフィクションではなく、ほとんど小説」。さらに辛辣なのは、上掲の野村進。以下、その選評から。

――余談だが、選考会終了後、候補作となった『遺体』の著者と私との公開対談の企画が、その場に立ち会った編集者たちのあいだから、だれ言うとなく持ち上がった。この人物の著書をすでに十冊読み終えていた私は即座に承諾したが、先方はなぜか断わってきた。もし対談が実現したなら、私は事前に以下の三点を先方に依頼するつもりであった。
①私の知人のインド研究者が同席しての、ヒンディー語による即興の会話。
②彼のアジア・中東・アフリカ取材における、すべての通訳の実名と連絡先の紹介。
③彼のパスポートに印字された、ここ二十年間の外国出入国・全記録の開示。

……本書はその冒頭「はじめに―物語るジャーナリズムとしてのノンフィクション」からアクセル全開で読者を引き込んでいく。ここで扱われるのは2012年第34回講談社ノンフィクション賞選考時に、選考委員の野村進が候補作である石井光太『遺体』について疑義を発したいわゆる「石井光太論争」である。野村は『遺体』や石井のその他の著作で描かれているものは事実に基づかない創作なのではないか、そもそも石井は取材を行ってすらいないのではないのか、石井の作品はノンフィクションではなくフィクションなのではないか、というところにまで疑惑の目を向けたのだ。

ノンフィクション関係者にそれなりの話題をもたらしたこの論争も、実は目新しい現代的なものではなく、著者・武田徹は「何を今さら」と感じたという。著者のこの反応は、フィクションとノンフィクションの境界を探るこのような論争がとるに足らないものであるということではなく、これまでも度々立ち現われながらも結論の出ない、ノンフィクションと切っても切れないものであるということだ。例えば、海外取材の会話場面を…
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