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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ジャンボ鶴田」に関する、本人も含めた証言、批評集~特に佐藤昭雄が鋭すぎた。

この前も紹介した、この本から。

永遠の最強王者 ジャンボ鶴田

永遠の最強王者 ジャンボ鶴田

  • 作者:小佐野 景浩
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

前回の記事はこちら

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前回記事では

逆にいろんな記述から、【なぜジャンボ鶴田は、あの才能にも関わらず「プロレス界の頂点に立つ絶対的カリスマ・ジャンボ鶴田」にならなかったのか?】という大きな謎の、【答え合わせ】ができる本

と書いたが、今回はそれを実地に見てみたい。

「オリンピックに行く時の体力検査で鶴田は脚力が馬並みだって言われてましたね」
磯貝頼秀

「3ヶ月もしたらトミーに教えることは何もなくなってしまった。トミーは本当にファンタスティックだったよ」
ファンクス

『馬場もジャンボ鶴田に「ロビンソンから色んな技を学んだらどうだ?」とアドバイスした…ロビンソンと鶴田の練習に参加させられた渕は「 「鶴田さんも最初の頃は”ロビンソンは色んな技を知っててやっぱり凄いな”で様々なテクニックを覚えていたけど”しかし危ないよ”て途中からやらなくなった。まあ普段は対戦相手でもあるしね」。…一緒に練習をしなくなったものの「今まで対戦した中で大和田から小和田までのテクニックを最も多く持っていた実際のレスリングの動きに即した筋肉がロビンソンには備わっていた」と鶴田はロビンソンに一目置いていた』

執筆者・小佐野景浩の地の文+渕正信

「俺は踏み台になっただけ。内心面白くなかったけど、これも外様の宿命だと俺は理解していた」
グレート・カブキ

「俺たちはまだ20代だけど、やったところでプロレス人生はあと20年だぞ。辞めた後の人生の方が長いんだから 当店ちゃんと体のケアをしないと。酒を飲みすぎるのもダメだぞ」
鶴田本人、渕や大仁田に

「俺に言わせれば鶴田は作られた偽りのスターだから別に何とも思わなかったね 。 てめえで苦労しててめえで稼げ!って。 敷かれたレールの上を走ったって、そんなのクソの役にも立たないよ。俺は鶴田と違うんだ」
キム・ドク

「あいつは責任感がなさすぎた。 自分がトップを取ってるなら、トップをとる格好をしてビシッとやらないと。 でも馬場さんがトップだからっていう頭があるから、それ以上のことをやらなかったんだ。
ファンクスの所に半年しかいないで上に入っちゃったでしょ。それじゃあ技のかけ方ぐらいでそんなに覚えないでしょ。 自分のアイデアはないし、試合で機転が利く方じゃなかったね。臨機応変さがないから面白くないの。
メリハリなく淡々と試合をこなすっていう感じだったからね。
すぐにナンバー2に据えられちゃったことが逆にマイナスだったかもね。下にいれば色々考えることもできるし失敗もできるけど 、あの位置じゃ失敗できないからね。だから手堅く教わったことをやるだけなの」

グレートカブキ

「相手はトップの一流選手だからどうしても相手にリードされる 。絶対に彼らは 、彼らのペースで試合をする。それに対応していけるかどうかだからね。
鶴田さんは彼らからしたらひよっこなわけで。 向こうのフィールドで戦わなければいけなかった」

渕正信

「試合作りっていうのは誰にでもできるわけよ。 ところが全体の試合の流れの中で波を作る、ジャンボ鶴田を作るっていうのは、ジャンボの責任なんだよ。 でもジャンボは責任を持たされてやった試合はなかったんだよ。( 馬場さんはそういう立場で自分も作ってきたが)でもジャンボは責任を持たされたことがないから、自分が何をやらなきゃいけないかっていうのを最終的なところでわかってなかった」

「タッグのパートナーがほとんど馬場さんだったでしょ。そうなると昔の吉村道明さんが馬場さんを作ったようなことを、他の連中がジャンボに対して行ったことがないわけ。」


「ジャンボはぽんと売り出されてトントン拍子に行ったけれども、ジャイアント馬場と肩を並べられると不安に思わせるようなところが全くなかった」


「はっきり言って馬場さんは『ジャイアント馬場』という存在は作れても、ブッカーとしてスターづくりをするということができない人だったよ。それまで上位だったレスラーにしっかりした形で勝つことで、初めてファンは新時代を感じるんだから」

以上、すべて佐藤昭雄

「小佐野くんわかるでしょ、あのケリー(ケリーフォンエリック)相手に試合を成立させる俺の身にもなって欲しいよ」
鶴田が、執筆者の小佐野に語る

「俺の記憶では、馬場さんがみんなのいる前で猪木さんの名前を出して、”悲壮感、必死さがない。技術的にすごいものを持っているのに表現力がダメなんだ。 アマレススタイルでちゃんと極めれば相手が動けないのは分かるんだけれども、表情が全然ない。コブラツイストにしてもお前は手足も長いし、ピシッと決まったら説得力があるはずなのに顔が駄目。猪木みたいに必死でしめなきゃ力強さ、迫力が出ないんだよ”って鶴田さんに言っていたことがあるね」
渕正信

「もう一つ足りないのはお客さんのハートを打つ何か。プロレスラーとしてはスマートすぎた。日本人の心を打つ、魂に訴えるものが足りなかった。…仮定の話ですけど猪木に触れていれば、全然違ったものが出ていたかもしれませんね」

原章プロデューサー


「ジャンボは俺(佐藤昭雄)が中(マッチメークやブッカー)に入ったことで、面倒なことに関わらなくてよくなったからほっとしていて。だから年下の俺の言うことを聞いてくれたのかもしれないよ。…いろんなことをやっていく中で、ジャンボからの反感はなかったからね。ある時にジャンボが俺にこう言ったんだよ。”あきおちゃんね、俺はプロレスの会社の社長になろうなんて気は全くないんだよ。でもリングの中では メイン イベンターとしてしっかり責任を持って試合をするから…”って。ジャンボがじゃあ俺やるよって、やる気を見せるまでちょっと時間かかったよ」
佐藤昭雄

「ある時ジャンボに、ルーテーズ張りの本物のバックドロップを見せてくれよ、ってけしかけたらハーリー・レイス相手にすごい角度のバックドロップをやっちゃって、試合の後にレイスが日本側の控え室に怒鳴りこんできて、ジャンボに向かって”お前この場でもう一回やってみろっ!”ってすごんだんですよ。私には分からないけどきっと掟破りの投げ方をしちゃったんでしょうね。あれは悪いことをしました」

原章プロデューサー

「鶴田先輩は本当にすごい。もう全然!やっぱり鶴田さんの方がすごかったですよ。僕はあの人のペースに合わせちゃうと絶対ダメなんですよ。僕は常に動くタイプなんだけど自分のペースには入れさすことが出来なかったですね。それでしんどい思いにはなりましたよね。難しいです。あの人のペースでやっちゃうと、僕はもう完全に自分のキャラはないです」
長州力

「自分は、 例えば普段はメガネをかけた新聞記者だけど、リングに上がる時は強いスーパーマンに変身するって感じだね。 日本で言えば中村主水だよね。リングに上がる時だけ仕事人になる。この二面性がジャンボ鶴田のいいところなんですよ(笑)。いざリングに上がった時にキラッて光ればいいんですよ。 その辺がジャンボ鶴田の良さであり、またカリスマ性がないところかもしれませんね。カリスマ性を出すにはいつも肩を怒らせていないといけないけど、僕は性格上できないと思うんですよ。できる人とできない人がいますからね。僕はこれでいいと思っています(笑)」
ジャンボ鶴田本人談

「そこまで全部揃っちゃっていると努力しなかったんじゃないかなと思う。何もないから俺は人一倍練習したしね。それって何も自分に揃っていないからこそ、そこに追いつくためにしてきたんだけど、生まれながらに全部揃っちゃっていたら努力しなかったんじゃないかなって。もしかして影で努力していたかもしれないけど」

川田利明


ときどきおもしろエピソードを入れたけど、
それは別にして鶴田の人気が出なかった理由の考察はいちいち腑に落ちる。だいたいこういうことだった。
そして、佐藤昭雄の分析の旨さが光りすぎる。G-spiritでも、面白いし、プロレスはこうこうこういうふうにビジネスをしていくんだ、というプロモーター的な大視点も、レスラーはリングの上でこういう動作をすればいい、という小視点も盛っている。
アメリカに行って、アメリカでプロレス団体の裏方、経営、ブッキングにかかわるっていうのは、あまりに有能だったのだろう。
活躍の場がそういう裏方だったので、あまり知名度がないから惜しまれるが、だれか聞き手を立てて気持ちよくしゃべってもらえれば、TAJIRIの本にも負けないぐらいのプロレスの「技術書」ができそうな。


おまけ 個人的にメモ

「私の中ではブロディよりもハンセンよりも、実はブラックウェルが一番美味いと感じている。太っていたからスターにはなれなかったが、本当に上手い人で、才能からするとブラックウェルが一番だったのではないかという気がする」

ビッグバンベイダー