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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「コロナ島耕作」大反響受けて無料公開に。「説明力」の高さは驚異的ではある/漫画の「期間限定公開」手法再論


感染に至る経緯から、療養までの過程はこちら
comic-days.com


まずもって「島耕作がコロナに感染した」というのが、「お話」の中にも関わらず敢えてストレートニュースとして報じられた。島耕作は社長になった&退任した時も、そういう扱いのニュースがあったな。
最近だとあぶさん現役引退も、そうだ。そのチョイスと、そうされる「格」は確かにあるとは思うのだが、考えてみると奇妙っちゃ奇妙である。「よつばがついに、ぼくじょうへ行きました」とか報じられないものな。


それはともかく。
感染するまでの、あれやこれや、その「娘」も絡んで、相変わらずの弘兼臭さと、独善的な人生論だけど、一転してコロナ療養のディティールを漫画で描く場面になると、その「弘兼臭さ」はあっさりと抜け、わかりやすくポイントを押さえた説明になる。ナレーションの多用も、あまり気にならない

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「コロナ島耕作」見事な療養のディティー

弘兼漫画には厳しいはてブ民も、そこはさすがに切り分けていて「療養風景の説明」描写には高評価が多い。
b.hatena.ne.jp

実際、コロナで無症状、体に悪い点は感じないけど療養施設に2週間ってどうなるんだろう?退屈なんじゃないの?タブレットとか本とか持ち込める?間食できる?差し入れ、持ち込みは??とか気になっていたけど、このレベルで実感できるようなコンテンツはなかった。
「これをそのまま厚労省のパンフにできる」とは言い得て妙だ。


逆に言うと、弘兼漫画は、とかくのオヤジ的な思想・感性の不変さや、イデオロギーに物語を従属させる面などが嫌われながらも(といいつつ、初期短編集なども含めそれでは割り切れない部分も多い)、圧倒的に日本の漫画マーケットでトップランナーの地位を維持しているのは、この説明力の高さも必ずあるだろう。スポーツビジネスとかノルウェー漁業の進歩性なども、かなりわかりやすかったし、そもそも結果から見れば進歩派以上に、90年代から「アジア新興国はものづくりでもビジネスでも日本を猛烈に追い上げている。そのうちに逆転があるかもしれない」という警告を語っていたことになるしな。

その弘兼憲史漫画は、あまり評論されない(される時はまあ上記の悪い部分への批判が90%。それもしゃーないが(笑))という印象があるのだが…いや、印象論かな???、その中で、希少な島耕作の漫画としての評価は伊藤剛氏がいろいろやっていた記憶がある。



「世間の話題を受けて期間限定で関連コンテンツを無料公開」手法の定着

あとひとつ、これは何度も書いた話だけど、
話題になる⇒それを受けて、サッと期間限定の無料公開に踏み切る…という漫画のビジネスモデルが、少なくとも講談社(というか、コミックDAYSという部門)では確立した流れになっているようである。
色々、内部でもアクセス分析を売上と絡んでマーケティング分析しているようだから、「そうしたほうが最終的に得になる」となっているのだろう。


これについては以下のリンクを。講談社小学館だけでなく、いろいろなところに広まってほしい手法です。

m-dojo.hatenadiary.com
m-dojo.hatenadiary.com
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…これも書いたけど、その期間限定の無料公開に、そうしたい人物(商品の宣伝でも、訴えたいことがある人物でもいい)が「スポンサー」になって、なにがしかを版元や作者に支払って無料公開させる、ということもできるのではないか。

たとえばファンが、推しの漫画作品を、とか、たとえばハンバーグ店がうちの店をほめてくれたエッセイ漫画を読んでうれしくなり、「1週間ネットで無料公開してください。その費用、代価をうちがスポンサーとして提供いたします」なんてのも普通にできそうだ。
今回のコウノドリ無料公開は、同系列の「現代ビジネス」の記事に「ご厚意」で、作者が公開してくれたから、似ているが違うが、これをほんの半歩進めれば『あなたがスポンサーになって、好きな漫画を無料公開しませんか??』というのを、漫画の版元や漫画家さんと直結でできるのだよ。