元帥府の諸提督はヴェスターラント虐殺見逃しは薄々勘付きつつも証拠がないから目をつぶっていたけど、最後の最後に決定的な証拠をケスラーが持ってきたことで、彼によるオーベルシュタイン爆殺に同意したという解釈をしてます
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月18日
ム、ムッ!!???
このツイート単独では、さらっと前提条件なしで書いてるから一瞬では分からんけど、よく考えると非常に剣呑なものいい……
ワンモアリピート。
元帥府の諸提督はヴェスターラント虐殺見逃しは薄々勘付きつつも証拠がないから目をつぶっていたけど、最後の最後に決定的な証拠をケスラーが持ってきたことで、彼によるオーベルシュタイン爆殺に同意したという解釈をしてます
うむむ、「正史」ではこうだ。
「カイザー・ラインハルト・フォン・ローエングラム陛下崩御の際に、地球教の決死隊がそこを襲撃。それは『皇帝をも”エサ”にして地球教の過激残党をおびきだして殲滅し、代替わりの憂いを断とう』というオーベルシュタイン軍務尚書の謀略。策は結果的には大成功だったが、他は別にしてオーベルシュタインのみがそこでテロリストから致命傷を受けて亡くなるという皮肉な結末となった。人によっては、彼は敢えて”殉死”したという説を唱えるものもいる…」
うーーーーーーーーーーーーーん、言われてみれば、都合がよくねーか。できすぎじゃねーか。なんか、うそくさくねーか…
オーベルシュタインは、そのはるか前の、人類が地球だけにへばりついていた時の小国の歴史を紐解けば、ソ連のベリヤに似た立場だよな。
絶対的権力者たるスターリンの突然の死は、昨日までのそのカリスマに服し、おびえていた忠臣たちの間に、野心と疑心暗鬼をもたらす。
その中で、もっとも(権力闘争では)実力があり、その一方でもっとも人望がない男が、もし生きていればナンバー2からナンバー1に(本人の意思とは別に)なるかもしれない。そして周りは、かつては彼につかみかかったりするまでに憎悪していたものをはじめとした、腕に覚えありの「武闘派」ばかりの……
謀殺と言っても「突発的謀殺」なんてのもあるからねえ。
「銀英伝」偽史として、非常に、よくできておりますですよ。ここからの細部は、さあご想像ください。
参考までに、この動画もご覧ください。
【公式】『スターリンの葬送狂騒曲』8.3公開/6秒+ショート予告
「宙公新書」氏について
実は、銀英伝偽史というか、オルタナティブ・ヒストリーの考察者としては、注目されるべきひとりであります。まだフォローしてないの?
先程のツイートの前後も収録しませう。もうひとつ、最近の連続ツイートで面白いのがあって、同じような事件である「スタジアムの虐殺」と「グエン・キム・ホア広場事件/九月一日事件」で、犠牲者数(の公式記録)があまりにも違うのはなぜ?という話をしている
「スタジアムの虐殺」と「九月一日事件/グエン・キム・ホア広場事件」、どちらも参加者は20万人前後、鎮圧側は救国軍事会議3000人+追加部隊、新帝国軍2万人なのに、死者数は2万人余/4840人と4倍以上の差が付いている。これについての解釈を述べます。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
先に「スタジアムの虐殺」について。作中の論調が救国軍事会議に対し一貫して批判的なことから、事件の経緯は①群衆と鎮圧部隊3000人の衝突②鎮圧側の無差別射撃③市民による鎮圧側の圧倒、までの第一段階、④部隊の追加⑤スタジアムへの無力化ガス弾大量投射⑥完全鎮圧、の第二段階とみて間違いない。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
まず①で将棋倒しが起きていっぱい死んでそうである。②でも死傷者が出るだろうが、市民と鎮圧側の人数比から言ってもそこまでではなさそう。軍側の死者1500人は大半が③で発生しただろうが、当初鎮圧部隊の半分がここで死んだことになる。えぇ……
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
④⑤では市民のうち抗戦派がスタジアムに立てこもる形になったと推測される。本文では「数十挺のライフルが市民に奪われた」とあるけれど、実際はもっとガチの市街戦が展開された可能性もある。救国軍事会議側は第一段階に比べれば抑制的になったようで、市民への無差別殺害はなかったようである。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
そもそも大半の参加者は③〜④の間で逃げ出してそうだし、首都の陸上部隊がそこまで強力な無力化ガス持ってたとも思えないので⑤〜⑥の死者はそこまででもなかったのではないか。(スタジアムという環境を考慮する必要あり?)
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
そもそも大半の参加者は③〜④の間で逃げ出してそうだし、首都の陸上部隊がそこまで強力な無力化ガス持ってたとも思えないので⑤〜⑥の死者はそこまででもなかったのではないか。(スタジアムという環境を考慮する必要あり?)
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
「本文の論調は救国軍事会議に一貫して批判的」と書いたものの、悪行をクリスチアンに押し付けてグリーンヒル大将を良識派として描くバイアスは明確なので、第二段階の経緯については議論の余地がまだある(「スタジアムの虐殺」についてはこれで終わり)。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
というか第二段階にとどまらず、「グリーンヒル大将がクリスチアン大佐に命じた内容の詳細」が闇に包まれている可能性もあり、そうだとしたら俺の手に余る大論争になりそう。 https://t.co/Ju99vxdP2q
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
◆ ◆ ◆ ◆
続いて「グエン・キム・ホア広場事件/九月一日事件」について。まず大前提として、虐殺と言わず「事件」と言ってるとこや死者数が明確にされてる点から見て、事件に関する記述は基本的に新領土総督府の公式見解に沿っているとみて間違いない。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
それによれば、参加者の帝国軍への敵意が高まり、14時06分に投石が開始、同20分に無力化ガスと警棒の使用が許可され、同24分に最初の発砲、その後暴動拡大するも15時19分には鎮圧とのことで、事件自体は1時間足らずで収束している。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
時間的に短い、というのはあるが、それにしたって市民を殺害することに躊躇いのない2万人と群衆が遮蔽物のない広場で衝突したことを思えば、どう考えても死者数が少ない。繰り返しになるが、市民の死者4840人、重軽傷者5万人、兵士の死者118人というのは新領土総督府による公式発表の数値だろう。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
反銀帝の立場から「グエン・キム・ホア広場事件」の死者数を大きめに見積もろうとしたら、巡り巡ってグリーンヒル大将の責任論と向き合わなければいけなくなった。
— 宙公新書 (@ginganoinbouron) 2019年6月10日
作中でスタジアムの虐殺事件は6月22日となっており、その時期に合わせた論考の発表だったとか。
銀英伝偽史・稗史がシャーロキアンに倣うものなら、学会と一覧があればねえ
これ、以前も書いたことがあるのだけど、どこにあるのかな…
あ、これだったか。
m-dojo.hatenadiary.com
もう一度演説しよう。
シャーロック・ホームズの考察…といいつつ二次創作や偽史を紡いできたシャーロキアンは、魅力的な「学説」が出るたびにそれは文献となり、”学会”で発表させ、すごいものはわざわざ日本語に翻訳されて、紹介されていたんだぜ。これで「ワトソン女性説」や「ライヘンバッハから帰還後のホームズ別人説」「ホームズ日本渡航説」などが、ひとつの仮説として共有されることとなった。
銀英伝の考察や偽史も、どこかががっちりと、リンク集でもアーカイブでもいいから「ここへ行けば、過去の主だったものを捜せますよ」的なアーカイブ、ライブラリーがないものか。そういうものができれば、上の2論考も、間違いなく「紀要」に掲載されただろうに。
自分じゃやりませんが(断言)、そんな夢想だけ、あらためて表明しておきます。
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過去の「銀英伝偽史・稗史」アーカイブ(仮設)
ただ、もしそんな「学会」や「アーカイブ」が出来たら、いささか収録してほしいものはある。
上記リンクにもあったように椎名高志氏も驚愕、絶賛した「ユリアンミンツ史観」の謎を追う
m-dojo.hatenadiary.com
これらの、あれこれである。これがまさにアーカイブ作りだが、幅広く情報を追っているわけではない。どこかにもっと奇想天外で、もっと緻密な「銀英伝偽史・稗史」はあるのだろう。
【情報募集】も併せて行いたい。
togetter.com
togetter.com
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gryphon(まとめ用RT多) @gryphonjapan 2015年9月16日
田中芳樹を撃つ!古参兵から、呼ばれてないけど推参。1;ユリアンがのちにイゼルローン自治政府の「唯一指導者」になり、革命の裏切者アッテンボロー一派を粛清、歴史を創作(拙作)。
www.tanautsu.net
2:実は偉大な政治家だったトリューニヒトが後世の捏造によって貶められていた…という偽史。
www.tanautsu.netともにタチ悪いネタだねコリャ(笑)
おっと、そのへんをつらつら発掘してたら、今回のアイデアを以前に書いているかたがいた。
ヒビノノゾム @mei_remist_Noz 2015年12月20日
皇帝崩御の日に軍務尚書が暗殺されたのも相当胡散臭い。それも地球教徒の残党の仕業とか出来過ぎてる。ラインハルト健在の頃から双璧を中心とした軍人と軍務尚書を中心とした軍官僚が対立してたのは有名だったし、次代の主導権争いで先手を取ったのではないか…みたいな。