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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

板垣恵介版「銀英伝」(平野耕太想像す)/あ、思い出した。俺も「餓英伝」書いてたっけ…






いま思い出した。俺も書いてたよ、銀英伝餓狼伝、題して「餓英伝」。

某所の投稿を再収録。

夢枕獏風銀英伝、題して「餓英伝」。
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シンプルな艦内であった。
装飾品の類が、極端にすくないのである。
奇妙な、部屋であった。
ブリュンヒルトの司令室--。
皇帝ラインハルトの、部屋であった。
そこには均整のとれた体に、鋭い視線をたたえた男がいた。
部屋の主、ラインハルト・フォン・ローエングラムがいた。
彫刻のような男だった。
何もかもが、美形だった。
指が、美形。
髪が、美形、
胸も足も肩も美形。
目から放たれている、眼光までが美形だった。


この男が、実戦戦争界のドンである。様々な伝説に彩られ、銀河系の戦争技の頂点に立つこの男が、ラインハルトであった。
「陛下。お呼びした彼が来ました」
ロイエンタールが声を掛けると同時に、ドアが開いた。


一見、どこにでもいそうな男であった。
美男子ではない。しかし、自分の肉体に、何か独特の気配をまとわり付かせている。
不思議な、男であった。
--ヤン・ウェンリー
それが、この男の名前であった。



「まあ、座れや、ヤン--」
ラインハルトが、微笑しながら言った。


「聴いてるぜ、色々とな」
「何をだ」


「だから色々だよ、ビュッテンフェルトの事や、ミュラーの一件とかさ--」
初対面のヤンに、ラインハルトはざっくばらんな口調でいった。
以前からの顔見知りであったかと、ふとそんな錯覚に陥りそうであった。
「うれしいねえ、あんたみたいな人がいてさ--。俺はよう、久し振りに血が騒いだぜ」
皇帝が、にっと笑った。そして、周りを見渡した
「こんなごたいそうなものを造っちまってよ、王朝なんてのを持つようになっちゃお終めえだな。戦争屋じゃなくて、政治家じゃねえか。自分で造ったものに振り回されて、大好きな戦争が、できなくなっちまう--」
「戦争が、好きですか」
「おう、好きだよ。派手な戦争も地味な戦争もみな好きだ。多くて強大な敵軍をぶちのめした時なんざたまらねえな。あんただってそうだろう?」
「好きです」
ヤンの口から、ほろりと出ていた。
「その好きな戦争がよ、最近はやり難くなっちまってなあ--これだけ所帯がでかくなっちまうとよ」


「ところでよ、あんた、帰ったあとで、俺を怒らせるような発言はしねえだろうな」
「怒らせる?」
「例えば、帝国に勝ったとか、帝国は弱いだとかさ。ビッテンフェルトやミュラー程度に勝っただけで、そう言われちゃあ困るんだよ」
「しないよ。ただ、ひとつ訊かせて貰えるかい」
「ほう、なんだい」
「誰に勝てば、帝国に勝ったと言っていいんだい?」
「いい質問だ」
皇帝は答え、ぽん、と自分の胸を叩いた。
「この、ラインハルトにさ---」
言った。



P.S--そして、800万人死にましたとさ(笑)。