INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ある著名な噺家が語った「落語の未来」(うろおぼえ)

ある、たぶん実力、人気、知名度ともに十指に入るような落語家が、マクラとも漫談ともつかない形で高座の中で語った「平成後の落語、どうなる」という話。実名を出さないのは、録音やメモを取ってないでかなりうろ覚え、細部が正確でないからです。(ちょっと間も空いたし)

備忘録的に


・この前、ある人と話した時に、今のドラマは、見せ場はCMみたいなテンポと長さなんですよ。その時間内ごとに、インパクトを残して完結させなきゃいけない。だからじっくりと長い時間のおしばいとかはできませんね


・これは落語と同じ、ポンポンポーンと(床を叩いて音を出す)、そういう感じ、速さで見せなきゃいけないんですよ。


・そういう落語の申し子が、桂三度(元「世界のナベアツ」)。彼は作る方、放送作家でもあったからよくわかってる


【桂三度】青菜【落語の語】


・その彼がNHK落新人落語大賞を受賞した。NHKが、彼が一番若手で面白いと認めたんです。これは大きなことですよ。
www.asahi.com


・実際に面白い。そして客に受けてた。でも彼は、(楽屋の前座仕事のような)「新弟子」を体験してないんですよね。でも、NHKが認めるほど落語が面白い


・となると、落語家ってそもそも何なのか、となる。落語家に弟子入りして、一から寄席の仕事や師匠の雑用をして、寄席の前座に出て…ってそもそも必要なのか。それを経験しなかった「落語家」とは。


・ …みたいな話を一昔前、我々「立川流」の若手が言われてました。寄席に出たくても、出られないんですから。それでどうやっって弟子を育てていくんだ、とは言われてましたから。協会を出るときすでに多くの弟子を抱えていた談志ですけど、そのへんのことを…何も考えずに「俺がいやだから」で出ちゃうんですからね、すごいですよ(笑) それでもこうやってなんとかやってきましたが。


・ただね、俳優さんや声優さん(※具体名が出てたけど忘れた)が落語を(ドラマの中で)やるでしょ。ちゃんと専門家に習う。語る。うまい。実際に公演する。客が支持する。…そうすると、ますます「落語とは何か」「落語の本物とはナンダ。そもそも、そういうのがあるのか」となる。平成後の落語は、この流れが出てくるでしょう。


・むかしは落語家と俳優は仲が悪くてね。俳優は噺家を「あいつらはほんとうに不真面目な連中だ」、噺家は俳優を「シャレがまったく分からない、野暮の骨頂」と思ってましたけどね。自分も今はドラマに出てますけど、ふつうに仲がいいですよ。なじむのに時間かかりましたが(笑)。そしてお互いの芸をリスペクトして学んでる。だからこそ「俳優の落語」が今後、怖いんです。


・ひょっとしたら、新弟子とか前座修行とか関係なく、落語スクールみたいなので教わって、それを演じたって十分に「落語」になるのかもしれない。それでいいのかもしれない。


・寄席ってね、むしろ若手芸人より年寄りの芸人のためにあるんですよ(笑)あるかたが「寄席は年金だ」っていってましてね。「あのな、家にいたら俺はただのジジイだよ。それが寄席にいけば楽屋で師匠師匠だし、話の合う仲間もいる。そして出れば、それなりのものをもらえる。こんないい年金はない」ってね。あたしら(立川流)は、そういう年金がないんですから(笑)



・自分もいい年になって、落語からいろいろもらったけど、何かを落語界に返せるのか?何かを残せるのか?弟子のことも含めて、そんなことを考えるようになってます。



ーーーーーーー以上、かなり行間を自分の曖昧な記憶で改変してることを断っておくけど、ある落語家が考えている「平成後の落語」でした。

赤めだか (扶桑社文庫)

赤めだか (扶桑社文庫)