この話、少し前に記事にしようかどうか迷って、見送った経緯があったのだが、あるきっかけで再論します。
そのきっかけとはゴン格の最新号における、格闘技選手の代理人シュウ・ヒラタ氏のインタビューの一節。聞き手:堀内勇。
P87
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「(略)…こっちのテレビって普通にネットにつながるので、人々からみればもう一つのチャンネルって感覚なんですよ」
―米国のテレビって現在、ネット接続が主流なんですか。
「そうなんです。スマートテレビていうのが流行っていて、テレビを買うともうNF(ネットフリックス)などのチャンネルがついているんですよ。アップルTVみたいなもので、一番はじめに設定するときに自分のパスワードとIDだけ入れておけば、あとはボタンを押すだけでNFとかHULUとか選べるんです。地上波やケーブルじゃなくネット回線から来ているものですが、視聴者にとっては普通のテレビ局とかわらない。だからこそ近年、NFがすごい力をもっています。」
―NFなどのオンラインストリーミングというと、タブレットやスマホで見るというイメージがあるんですが、ちがうんですね。
「ほとんどの場合はそうじゃないと思います。今テレビを買えば、みんなスマートTV機能がついていて見られるし、アップルTVを使う人も、自分のラップトップを繋げて見てる人もいます。基本的にはテレビ画面で見ているものなんですよ。」
―送る形態がIP(インターネットプロトコル)に変わっただけなんですね。
「そうです。だから僕は…DAZNとかabemaTV等も地上波を食うくらいの脅威になるのではと思っているんです。ネットのひとつの強みは『いいね』とか視聴者数とか、しっかり数が出るところですよね。(略)広告主も予算を通して社内で承認とるのに、しっかり数字があるほうが全然いいじゃないですか…(かなり略)…このコンテンツにはこれだけ視聴者がいますよと示せば、広告スポンサーがつきやすくなる…実際にWWEのケースを見ても(ネットの無料コンテンツに力を入れて)しっかりスポンサーが付き続けていますからね。ネットテレビ局も、ちゃんとした視聴者世帯数を出せば広告につながるんです」
(後略)
スマートテレビに関しては、当方いろいろと語りたいことがある。
だが、骨子は以前の記事にまとまっているなあ。
なかなか紹介しても過去記事は読まれないもんだが、今回はちょっと手間でも、ざっと目を通してほしい。
そもそもこれらの記事も、さらにその過去の記事をまとめた部分があるし。
中国が既に、世界トップの「スマートテレビ先進国」である件。その理由は…(朝日新聞)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131106/p2格闘技はスカパー、ケーブルからネット中継に移るか…現状を断片的にまとめる。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140207/p1「スマートTV」の”チャンネル”に、主要配信サイトが組み込まれる日…UFCファイトパスも
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140207/p2
生中継ありのネット映像と、大画面・高音質のテレビがこんな小道具で合体?Chromecastは「スマートTV」を飛び越え、サムライTVにとどめを刺すか…
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140530/p1
あと、こんな本を読んだのだけど、出版年からみても、いまではちょっと情報が古いかな?
あまり参考になったとは言い難い。
スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場 (アスキー新書)
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2004年から当方このブログをはじめて、格闘技の動向をずっと追い続けていた。すると自然に「地上波」→「CS、BS」→「ネット配信」・・・・・・にコンテンツの配信方法が変わっていく歴史の記録になっているのだった。
だが、その一方で、2005年に「Gyao」を論じたこのくだりが、まだ有効性を持っているというのはなんともかんともだ。
GYAOの今後の発展のためには?http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051020/p3
ただし、ジジババがGyaOを見られるか。見られるわけがない、今では。
クリックだ接続だ、あーだこーだはまだまだややこしい。
やっぱり今のような状態でであっては、やはりパソコンをいじるという壁、デジタル・ディバイドが存在する。
(略)
要は……リモコンをぴっと押せば、テレビ画面にGyaOの画面がぱっと出て、あとはリモコン操作でふつうの番組やチャンネルを見るのと同様にコンテンツを見られる・・・・・・というようなテレビは作れないだろうか。
ディバイド、壁部分はメーカーのほうで乗り越えてもらい、ジジババは普通に見比べるだけでいい、こうなればGyaOは完全に競争相手として確立するんじゃないか。
一応GyaOは無料放送で、広告によって稼ぐというスキームは同じなんだから、「ほう、1チャンネルこのテレビは余計に見られるのか。ばあさんや、次の年金でこのテレビ買うべい」てなことになれば・・・・・・・。
こちらが望んでいることは、結局この程度の話なんだわさ。
やっぱりテレビのほうがみんな扱いなれていて、お茶の間に鎮座している。朝の慌ただしい中、帰宅後につけるのはパソコンじゃなくテレビだ。
そのテレビで、「なんか面白いのやってないかなー」とチャンネルサーフィンをするとき、ぴっとボタンを押してchが切り替わるその中に「youtube」「ニコ生」「Gyao」「abemaTV」…などなどが、ふつーに並んでいてほしいの。
ここに有料の「AmazonTV」「Hulu」「ネットフリックス」「dアニメストア」「バンダイチャンネル」「UFCファイトパス」「WWEネットワーク」「NHKオンライン」「新日本プロレスワールド」…などの「チャンネル」が並んでいれば、さらにいい。
しかし、自分が知っているのを並べるだけで、すでにこんなにあるのかよ……
2年前に「OMASUKI FIGHT」さんが既にこういうことを言っているんだぜ。
http://omasuki.blog122.fc2.com/blog-entry-1573.html
アメリカで販売されるサムソン製のスマートテレビには、今後WWE NetworkやUFC Fight Passのアプリがインストールされた状態で出荷されるのだそうだ。そうなると、リモコン操作1つで、地上波放送とUFC Fight Passが切り替わるということになる。J-MMA各団体も、スマートTVでの配信を検討してみてはどうだろう。衛星放送チャンネルでは需要が小さすぎてもはやビジネスにならない、しかしPC中継だけではどうも物足りない、その点スマートTVなら、見る側もPCにかじりついていなくていい……
(略)
…われわれのテレビ選びもそろそろ本気で、サムソン製とかLG製にしておいた方が無難なのかもしれないという気がしてくる。別に回し者でも何でも無いが、どう考えても、世界で一番普及しているのはこれらのメーカーだと思うから、そりゃWWEだってサムソン対応を一番に考えるだろうと思う。それに、日本のテレビメーカーって、いかにもこういうことへの対応が遅そうな気がしてならない。スマートテレビ機能が付いていたとしても、国内コンテンツしか見えないような代物ではこちらも困る……日本国内で売られているLGのテレビはやっぱり国内コンテンツしか見えない設定になっていますよとか、そんな事情はいろいろあるのかもしれないが、その辺は僕の知識もまだまだおぼつかない
こんな形で、国産メーカーへの信頼が失われていく昨今です。
そして中国。すでに2013年時点で、国内出荷テレビの半数が「スマートTV」であり、規模が日本の倍以上だった!!もとは朝日新聞の記事。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131106/p2
から抜粋。
■スマートTV中国席巻 緩い著作権、ネット動画見放題
http://www.asahi.com/articles/TKY201311030024.html
中国で、ネットに接続して見る「スマートテレビ」市場が急成長している。今年は、中国で売れる薄型テレビの半分以上に上る見通し・・・(略)2010年ごろから、スマートテレビの発売が本格化。地元大手のTCL集団が力を入れ、11年には韓国サムスン電子など外資勢も参入し、市場規模が一気に広がった。…中国のスマートテレビ市場はすでに日本の倍以上だ。
別にテレビに、何かを繋げる形式のやつでも全然いいんだけどね。
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「今手元にあるスマホを無線HDMIでつなげば、大画面で上のようなネットコンテンツふつうにみられるんじゃね?」という指摘もある。
Poet 2014/02/07 15:04
アーリーアダプターなもので、まさに液晶テレビを早く買いすぎて、今苦労しているのですが・・・・。
スマートテレビの先駆けとして、日本のテレビには2007年スタートのアクトビラとか、さらに前段階のTナビとかがあったけど、全然はやりませんでしたよね。レスポンスが遅くて専用サイトが少ない、一応一般のサイトも見られるけど、ポインティングの操作性が悪い。
自分は、大画面テレビに専用のWindows PCとワイアレスキーボードを繋げているけど、これも操作性が今ひとつ。
そう考えると、すでに動画を含めたサイトが充実していて、ユーザーインターフェースも使いなれたスマートフォンを無線HDMI(Miracastとか)でテレビに繋ぐのが一番実用的なんじゃないかと思ってます。
いや、しかし、こまけえこたあいいんだよ!!
こういうあれかこれかの袋小路に入る前に、すでにシュウ・ヒラタが言っているように、或いは朝日新聞が報告するように、
『テレビには「既にデフォルトで」有名ネット動画サイトへのチャンネルが組み込まれている。あとはボタンをおせば、ふつーのテレビ局とまったく同じように見ることができる』
これがまず前提の社会で、そのおまけ、傍流としてさまざまな工夫や代用品がある、ってかたちになってほしいですよう。
いや、この前日本のテレビをみたら、一応youtubeと、あと何かに行けるアイコンは入ってたけどね。
完全に手をこまねいているわけでもなく、一応youtubeと……なんだっけかな、ネット動画へ飛ぶアイコンはあった。
ただ、たとえば「abemaTVはどうやってつなげるの?」「それはちょっと…」と、4月に始まったばかりとはいえ、そういう新しいものに対応はむつかしいらしい。
というか、まだそもそも「スマートテレビ」という概念自体が普及していない。
家電うり場にいって「スマートテレビどこ?」ときけば「へ?」という感じというか…要はそういう新しいテレビがある、という概念ではなく、従来テレビにネット関係の新機能が付加された、という感覚なんだな、家電売り場ですら。
これが2011年に「スマートテレビ」を特集したニュースだ。
この記事、いつのころのだろう?
http://www.toha-search.com/pc/smart-tv.htm
にしても、堀内氏も少し前まで米国暮らしをしていたわけで、それがヒラタ氏から「今、アメリカで流行ってるスマートテレビは…」とレクチャーされ、それで新鮮な驚きをもっているということは、いかにこのへんの流れが速いかだろう。
日本は地デジ化の2007年、2008年にテレビを買い替えた人が多く、その結果優秀なる日本のテレビはまだまだ壊れたりもせず、不満を持たれるような明確性能の遅れもなく、そのおかげで買い替え需要があまりない(笑)、というハンデがある(笑)。
そしてテレビの中でネット動画サイトが地上波局とイコールになるなら『社会的位置づけ』も重くなる。だが……
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93
パナソニックのスマートテレビCM自粛騒動[ソースを編集]
日本でも各メーカーが上記の様にスマートテレビを発売している。2013年7月、パナソニックが発売するスマートテレビのテレビCMの放映を民放各局が自粛していることが明らかになった。自粛の理由についてARIBの規約違反で自粛ということになっている。 ARIBは日本の携帯電話やデジタル放送に関する標準規格策定を行っている業界団体であり、通信業界、放送業界、製造メーカらで構成されている。
スマートビエラはなぜ、CMを拒否されたのか? - ASSIOMA(アショーマ) http://bit.ly/1aOdk1s
…テレビ放送とは公共性が高く、テレビに映し出されたものは「テレビ放送」と誤解してしまう視聴者の数はまだまだ多い。従って「テレビ受像機」として販売するならば、まず電源が投入されて表示れる画面は「テレビ放送」が好ましく、その後ユーザが「明示的な操作」によってyoutube等の外部コンテンツを表示するのは視聴者自身が「テレビ以外のコンテンツ」であると認識しているわけなので、それは問題無い(ニ画面表示等)ということなのである。
現在のスマートビエラの表示方式では、テレビ放送とyoutube等のテレビ外コンテンツがユーザ操作に関係なく同時表示されてしまうので、視聴者に誤解を与えてしまう恐れがあるというのが、CM放送出来ない理由である。
テレビ業界の考えが古いという意見には確かに私も賛同する部分が多いが、テレビの視聴者の大半は「シニア」であることを考えると、今回のような措置は仕方ない部分があるとは考える。
こういう自粛やしがらみで、進歩が止まり諸外国に後れを取っているとしたら残念だーーー。
そして、テレビの中で、地上波やBSと、ネット番組が互角になったあとの「社会的影響」、これを見てみたい気持ちはすごくある。
活気に満ちた時代がきそうね。
もっとも、少々騒がしいけど、沈滞しているより
はるかにましだわ。
(〜 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ)
ま、いろいろと言いたいことはあるし、実のところ自分のPCは、テレビをみることも可能なのであります。
だからスマートテレビを買う前に、パソコンの方がテレビ化していて、モニターはやや小さいながら、そんなに現状に文句があるわけではない。
が、やっぱり「UFCファイトパス」や『abemaTV格闘技チャンネル』Tの映像を、そのままテレビ画面で見させろい!!という欲望はやっぱりある。
https://abema.tv/timetable/channels/fighting-sports
今後、スマートテレビの将来はどうなっていくのでしょうか??
(了)