井上達夫『リベラルのことは嫌いでも・・・』を読んでしまった | 中東・イスラーム学の風姿花伝 http://ikeuchisatoshi.com/%e4%ba%95%e4%b8%8a%e9%81%94%e5%a4%ab%e3%80%8e%e3%83%aa%e3%83%99%e3%83%a9%e3%83%ab%e3%81%ae%e3%81%93%e3%81%a8%e3%81%af%e5%ab%8c%e3%81%84%e3%81%a7%e3%82%82%e3%83%bb%e3%83%bb%e3%83%bb%e3%80%8f%e3%82%92/
あー、このURLの表記の仕方キライ。だけどしょうがない。
リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門
- 作者: 井上達夫
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2015/06/15
- メディア: 単行本
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安保法制、憲法改正、歴史問題、朝日新聞問題・・・真のリベラルは、今いかに考えるべきか。
リベラリズム論の第一人者、「怒りの法哲学者」井上達夫東大教授が、右旋回する安倍政権と、欺瞞を深める胡散臭い「リベラル」の両方を、理性の力でブッタ斬る!【本書の内容から】
「自由主義」にあらず/「憲法九条」削除論/「護憲派」の欺瞞/「平和主義」の論理的破綻/安倍政権「集団的自衛権」の愚/リベラルからの「徴兵制」提言/「悪法」も法か/「主権国家」の必要/「白熱教室」の功罪/「世界正義論」への道/「哲学」の死【著者「あとがき」より】
いま、「一強多弱」と言われる自民党の圧倒的優位の下で、安倍政権による政治の右旋回が急速に進む一方、野党勢力は民主党も他の諸党も党派間・党派内で右から左まで分裂し、リベラルな対抗軸は結集されていない。
それどころか、慰安婦報道問題等での不祥事を契機とする朝日新聞へのバッシングに象徴されるように、「リベラル嫌い」が、「右翼」や「ネトウヨ」の枠を超えて、一般の人々の間にも広がっている。しかし人々に迷いもある。たしかにリベラル派を気取るメディアや知識人は胡散臭い。でも強引に右旋回する安倍政権とそのシンパにも危うさがあり不安だ、と。
リベラリズムの哲学的基礎を解明し、その観点から法と政治の問題を考察してきた私には、まさにいま、この状況下でこそ、リベラリズムの原理とは何かを一般社会に対して説明し擁護する知的・実践的な責任があるのではないか。いつやるのか。いまでしょう。(中略)本書は、現下の政治状況に対する応答を動機としているが、単なる時局論ではない。時局的問題にも論及しているが、主たる狙いは、時局的問題を読者が自ら筋道を立てて原理的に考察するための哲学的視座を提供することである。
池内氏はこう評す。
…緻密・濃厚・時にデモーニッシュに論を進めるこの先生の文章は、一般的に言ってそれほど読みやすいとは言えない。
しかしこの本はタイトルでも十分すぎるほど明らかにしているように、一般向けに、誰にでも分かるように書いてある。
第一部では憲法改正とか従軍慰安婦問題とか安保法制とか、今現在議論が沸騰している問題に、リベラリズムの思想から応えてみせる。
第二部では主要著作の要点をかいつまんで話してくれているし、思想的・学問的な歩みを振り返っているところも、単なる読者であってこの先生の「学派」には接点のない私にとっては知らなかったことが多く、興味深い。「井上達夫思想への入門」として非常によくできている…
とまぁ、池内恵氏がこんだけ推薦すれば、話題になることは保証されたようなもんだけど、検索して見つけた情報があったので、もうちょっと「燃料」を追加。
Yuichi Goza @goza_u1 6月16日
私はこの辺り全く疎いのですが、井上達夫さんってのは大屋さんの師匠ですかね?→憲法第9条を削除せよ http://agora-web.jp/archives/1645385.html …
https://twitter.com/takehiroohya/status/610937556276871168
Takehiro OHYA@takehiroohya
そうです。何かインタビューを中心にまとめたものだと本人から聞きましたが、ぜひよろしう。
はてな的(限定)には「池内恵推薦!」もいいけど、「おおやにき・大屋雄裕先生の師匠が、一般向けの本を出す!」というキャッチコピーのが、さらにとってもキャッチーだと思うので、ここにかいておこうと(笑)。
ついでに
自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書)
- 作者: 大屋雄裕
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 単行本
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もよむべし。
師弟のキヅナを発見
論文…か??
http://www.nomolog.nagoya-u.ac.jp/~t-ohya/_userdata/N_Relativism.pdf
ポジティブな相対主義に向けて
·µ¸¶
「……大屋さん、なに書いてるんです?」
む。いや、「共同体論の諸問題」というゼミのレポートだが。
「そうは見えませんが」
うん、当のゼミで読んだ本が Comunitarianism and Its Critics1というのだが、これが会話形式で書いてあって。これが許されるくらいだから、ここはひとつ、小説形式で書いてみようかと。
「……小説形式の論文ってのは矛盾した表現のような気がしますけど。そもそも、それでなにを問題にしたいんです? 前にある本は日本語のようですけど」
これか? これはゼミの井上先生の本だよ。結局、またこの本にかみ付くことになりそうなんだけどね。「また…… そんなに気に障ることがあったんですか?」
む。あんまり、ない。少なくとも結論に関する限り、この本は非常にまっとうだと思う。ある意味ではその雄々しい姿勢は感動的ですらある。もっとも、川本隆史には「その『逞しさ』の内実は不明」3だと言われてるけど。
「じゃあ、なにが気に入らないんです?」
結論が同じならいいってもんじゃない。むしろ重要なのはそこに至る道筋だとも言える。そして僕にはこの本の論証過程が極めて不満だ。…
追記 ジャーナリスト・今井一氏が「全面支持」。
Hajime Imai〈今井 一〉
@WarszawaExpress
https://twitter.com/WarszawaExpress/status/611730209977401344
井上達夫さんの新刊。内容はカバーにあるコピー通り。深い、鋭い、面白い。
全面的に賛同します。