INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「城(要塞都市)」というのはやっぱり攻略が難しいらしい、という話(塩野七生)

「征服なき十字軍」を成し遂げた皇帝の手腕とは〜「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」(塩野七生) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150613/p2

にて紹介した、

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下

の中から、ちょっと枝葉の部分を。
どうも西洋の中世史というのは、あまり派手派手しいところがなく、特に武将に関してはギリシャ、ローマ、ヘレニズムの武将より見劣りがするんじゃないか……という、ちょっと思う人は思うような疑問に関して、塩野七生氏がこう答える。
要は攻城戦だからだ、と。途中で長いんで省略しており、原文そのままではありません。その省略の記述も略した、要約です。。

古代には 名将が数多く出たのに対し、なぜ中世に入ると名将が出なくなってしまうのか。

結論を先に言えば古代の戦争は、両軍が草原で相対した会戦が主であったのに対し、中世ではそれが城壁で守られている都市を外から攻める形の攻防戦が主になったからである。

古代の名将たちは、アレクサンダー大王でもハンニバルでもカエサルでも…会戦で勝利した人々であった。
広大な平原が戦場ならば 戦略と戦術を駆使できる。それが中世に入ると 会戦によって一気に勝負を決することが難しくなる。中世の都市は どこでも城壁を巡らせていたという事情、加えて兵は金で雇うのが普通だった時代。

 中世では一個軍団程度の兵力で戦う場合の方が多かった。会戦よりも城壁を挟んだ攻防戦が多くなってしまうのだった。西洋史上最高の名将 でも 都市を攻める戦いとなると 会戦のようには行かなかった。
守る側は屋根の下で眠れるのに、攻める側にはそれがゆるされない。
長期にわたる攻防戦を続行するのは、総司令官の戦略や戦術の能力を超える問題なのであった。(下巻 24P)


時々は日本の城跡を、ちょっと登ってみる。
西洋の城と日本の城は大いに違っている(その話も塩野本には載っている)し、平城、山城それぞれに違うけど、たしかに城壁の上から、あるいは山城の二の丸三の丸から、攻め寄せる敵を迎え撃つとすると、重力を味方にしたその地形差だけでも、確かに銃無き時代の軍隊では守る側が圧倒的に有利で、攻める側は大変だろうなあ、と思うです。「一夫関に当たれば万夫も開くなし」とはよく言ったもの。

シビライゼーションでも、結構都市攻めには苦労したような気がするが、それでもあれはゲーム補正がかなりあったような気がしまして(笑)、少なくとも銃や大砲が頻繁に使われるようになるまでは、さらにさらに城、一都市を陥落させるというのは難しかったのではないか。
まあ、難しいといってもそれでも陥落例は中世の歴史上に多々あるんだろうが、それにしても「要塞都市を力攻めで落城させるのは基本的に無理ゲーであり、それをやらかしたら本当に名将認定、名球会入りしていい」ぐらいの評価軸のほうがいい……のかな??

追記 大西巷一「乙女戦争」4巻収録の解説記事より。

この巻は「フス戦争」における、難攻不落のヴィシェフラト城攻防戦を描いている。

石造りの城はとても堅牢で、驚くほど少人数で守ることが出来ました。小規模な城だと平時には2−5人ほどしかおらず、戦時でも20-30人ほどで防衛にあたりました。
(略)
城を攻め落とすには大変な苦労が強いられました。
主な攻略法は、城壁や城門を壊して侵入する、壁をよじ登る、地下道を掘るの3つ……



(この画像は「シュトヘル」で描かれた金vsモンゴル)


だからなんだかんだと、ルシタニア軍の王都エクバターナ攻略は「快挙」だったといえましょう。(いきなりそれが例か)。

世界軍事史で、巨大要塞都市の占領の規模などをランキングにしたりするマニアも必ずいそうだけど、どんなのがあるか。


サラディンエルサレム攻略
リチャード獅子心王のアッコン攻略
モンゴルのサマルカンド攻略、
メフメットのコンスタンチノープル攻略
豊臣秀吉の小田原攻略…

…などなどを、どんなふうに位置付けるかはちょっと手に余る。おまけに上の例は、火薬や銃器が戦争に使えるようになってからの例もまじってますし。



ただですネ、今度は逆に「城、都市は基本的に力攻めで陥落させることはかなり難しい」というのを「ゲームのルール」として見ると、これはこれで面白い。形式上の臣従だけを結んでおいて、ほぼ自治を認めるとか、その場合、対外戦争用の税金だけは聴取出来るとか……いわゆる中央集権前、絶対王政前の、各地域の小領主や自治都市を、交渉や駆け引きによって「統治」「支配」するような、そんなふうな王権のあり方が面白そうである。

僕がやっていた時代の、古いバージョンの「シビライゼーション」(「3」までやった)は思えば結構中央集権的というか…城は陥落させて完全な支配下に置くか、敵に取られるかの二者択一だ。

そこを変えて、さまざまな都市が、なかなか完全占領とまではいかないけど、たとえば「攻撃するぞ」と脅迫したり、ちょっと力攻めをしてから和睦したりすると、一応、「支配下」にはおける。

だけどその内実は、、形式上だけその国の傘下となるけど、普段は税収が上がってこなくて、徴収できるのは軍役用の臨時税だけだったり、あるいは騎士団二部隊だけその都市から参陣させて自軍隊に組み込めるとか……

で、別の国が同じように脅迫するとあっさり寝返るとか(笑)、そういう状況を取り入れたゲームとかできないもんですかね。中世都市の「城攻め」の難しさ、あるいは「○○王の傘下にある」というののグラデュエーション グラデーション、そういったものの面白さを少し取り入れてほしい、と思ったことでした。
(自分はゲームに疎いので、既にあるかもしれませんが)



そんなことを考えたのでした。