INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

水玉螢之丞さん逝去。女性で「SFやPC好きな、趣味のマイノリティたる私の悲喜こもごも」を描く先駆けだった。

イラストレーターの水玉螢之丞が死去「まおゆう」キャラクター原案など手がける(東スポWeb) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141216-00000000-tospoweb-ent


イラストレーターの水玉螢之丞が死去「まおゆう」キャラクター原案など手がける
東スポWeb 12月16日(火)1時14分配信

イラストレーターの水玉螢之丞が死去「まおゆう」キャラクター原案など手がける
水玉氏がキャラクター原案などを手がけた「まおゆう魔王勇者
 女性イラストレーターの水玉螢之丞さん(みずたまけいのじょう=享年55歳)が13日に亡くなっていたことが分かった。15日、水玉さんの夫が妻・螢之丞さんのツイッターを通し発表した。


 水玉さんの夫は15日、ツイッターを通し「12月13日、妻・螢之丞が入院先の病院で永眠いたしました」と妻の死去を発表……(略)

【訃報】水玉 螢之丞氏 死去 2014/12/13 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/758153 @togetter_jpさんから

自分はそれほど氏の作品を目にしていたわけではない。
ただひと目見て「あ、彼女の作品だ」とわかるような絵柄、それも押し付けがましくないのにそういう個性が生まれるイラストは見知っていたし、イラストエッセイ「こんなもんいかがっすかあ」は、いしかわじゅん氏の「漫画の時間」で紹介されて知っていたのかな。
というか手元にある。

はっきりいって右側は分かりやすいが、左側の4コマのディティールはよくわからん(笑)。だがここからやはり普遍的なおかしみはじんわりとにじみ出ているではありませんか。


もう1枚。

なにがあった(笑)


……で、なにげに、「男の子の趣味が通じる女の子〜⇒『オタサーの姫』」も「趣味を周囲に隠したり、あるいは開き直っておおぴらにしたりする人々の、悲喜こもごも」も、彼女がさらりと描いたイラストエッセイや4コマがかなりプロトタイプになっていたのではないかな。

・かわいいあの子の趣味は、実は意外なXXX
・かわいいあの子と趣味が同じで嬉しいな
・世間には一般人のふりして、隠れてマニアックなXXXを楽しんでいたらうっかり…
・もう開き直ってXXX趣味だと公言したら…


とか、水玉イラストエッセイですべて見たような気がする。

※あまり体系的な読者じゃないので、仮説と考えてください。特に、他作品との時系列などはあまり比較してない……

のだが、たとえば

となりの801ちゃん+3 (Nextcomics)

となりの801ちゃん+3 (Nextcomics)

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)

トクサツガガガ (1) (ビッグコミックス)


などのコンセプトは、水玉氏はがーっと走り抜けてきた…と思う。もちろん分野は厳密には違うので、先行争いをしてもしょうがない。ただ、上のような作品が楽しめる人はたとえばSFマガジンに掲載されていた水玉イラストエッセイ「SFまで100000光年」は楽しめたはずだ。


彼女は「自分の作品は残る必要はない」と言っていたそうだ。されど……

水玉氏の兄である岡部いさく氏は軍事・航空評論家として有名。というか「オタクのサラブレッド」一家育ちだったらしい。

父親は「きかんしゃ やえもん」の挿絵などで知られる漫画家岡部冬彦
長男が軍事・航空評論家のいさく氏。
長女が漫画家のおかべりか氏。
次女がイラストレーターの水玉螢之丞さん…という。

その兄の追悼ツイートも収録されている。

http://togetter.com/li/758153
岡部いさく @Mossie633 2014-12-16 00:57:22
ずいぶん前だけど妹が、自分の仕事は画集や単行本として残らなくていい、消えてなくなるものだ、と言ってた。ご大層なものにならない、祀り上げられるようなものにならない、という自分と仕事に対する矜持は、私なんかよりもっと強かった。妹は私にとって航法参照点でもあったんだよ。
 

岡部いさく @Mossie633 2014-12-16 01:06:20
自分が偉くなったり、自意識を満足させるより、「ぎゃはは、こりゃおかしい」「こりゃ面白い」と人様が、自分が感じる瞬間だけのために絵を描く、っていうのを妹は目指してたんだろうな。そのために妹はいつも”橋を焼いて”描いてたんだろうと思う。我が妹ながら恐ろしい奴だったよ。

されど、
  されど、である。
自分はtwitterにこう書いた。

本当に、彼女の残したSFマガジンのエッセイイラストなど生前の仕事は「残る必要は無い」のだろうか…当人の意思はともかく、読者やファンの意見は。
今は電子書籍もあるのに。

歴史の忘却に抗うことを至上の目的とする「内なる図書館魂」が、こういうのを聞くとうやっぱりやだなあ、と思うのだ。
SFや読書をテーマとしたイラストエッセイが、一般的な書籍としての商業性がどれぐらいかは分からないが、今は電子書籍というオルタナティブもある。


本人が「残らなくてもいいんだ」と言ったって、悪いが読者は「はあ、それじゃしょうがないですね。忘れます」というほど性格は良くないんだよ(笑)


手塚治虫ですら、石ノ森章太郎に「自分の作品は、漫画という文化は残らない。時代を風のように吹き抜けていく。それでいい」と語った。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130630/p1
マンガは残りませんよ
「そうかなあ」(石ノ森)
 
作者と一緒に 時代と共に
風のように 吹き過ぎていくんです
それでいいんです
「・・・風のように―ですか」(石ノ森)

大ハズレだった(笑)。


水玉氏の作品も、そうであろうと予測する。
すでにいろいろなところから追悼のツイートがあり、それらのtogetterまとめもいくつか出来ている。

http://togetter.com/t/%E6%B0%B4%E7%8E%89%E8%9E%A2%E4%B9%8B%E4%B8%9E