INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

UFC21年の歴史が「ウォールウォーク」という言葉と概念を生んだ…新技術や概念はこう生まれる。

ゴン格とかの興味深い文章は、その時のタイミングで書いておかないと絶対忘れちゃうよね。ぎりぎり先月号だが、記憶の片隅とメモに残していたのでここで書いておく。
先月号、11月号ですよ。

ここで、私が見ないで書くといつも、ベン・アクスレンと書いてしまう、本当はベン・アスクレンのインタビューが掲載されている。ダナ・ホワイトいうところの…過去記事を紹介したほうがいいか。

ダナ・ホワイトの”退屈ファイター”Disがもはや詩の世界 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140831/p2

「眠れない時にはベン・アスクレンが必要だ。彼はMMA史上最も退屈なファイターだから。彼の試合を見るくらいならハエのファ◯クを見た方がマシ。ベンを見ているとジョン・フィッチですらヴァンダレイ・シウバのように見える」

しかーし!!!
これはライバル団体の激強王者にして、時々UFCファイターを挑発する目障りなヤツだからこう言っているということもあるのだ。
そして、そもそもなぜ「退屈」かというと、米国でもっとも実践的なフォークスタイル・レスリングで鳴らしたこの選手は一度相手のテイクダウンをしたら、あとはまったく立たせる気配もなく、そのグラウンドゲームが延々と続くからなのである。
たしかに以前はそのまま判定だったのだが、今では肩固めなどで仕留めるフィニッシャーになっているし(4連続一本勝利)。

で、フォークスタイルの教則ビデオなども出し、そんなふうに寝技には一家言もあるアスクレンに対して、柔術の実践者でもあるひねリンこと堀内勇記者はさまざまな技術面の質問をしていて面白い…のだが、その中で、さらっとこういう質問をしている。

近年のMMAにおいては、レスラーがテイクダウンを奪っても、相手のウォールウォーク(ケージに背中を押し付けながら立ち上がる動き)を許してスタンドに戻ってしまう場面が目立ちます。しかしあなたは一度上を取ったら非常にキープ力が強い。違いはどこにあるのでしょう?

これへの答えは上で述べた「フォークスタイルレスリングの練習」ということになるんだそうだが、そのやり取り以上に、既に「ウォールウォーク」という新語、新概念が生まれて、それが普通に使われたことに深い興趣を覚えた!!

……おれだけかな?気にしないかな皆さんは?
まあこんな新語、いちいち気にしないで受け流したり、取り入れるな何も考えず取り入れるほうが能率的な人生なのだが、気にするほうが一面では人生楽しい(笑)。


に、してもね。
おそらく、ギリシャ・ローマのパンクラチオンから、なんとかスクネの相撲から、合気柔術、カラテの源流「手」、弥生時代に起源を持つ骨法まで(笑)、おそらく……「相手にテイクダウンされ押さえ込まれた状態で、床と垂直に立っている壁、金網をうまく利用して、ずりあがるように立ち上がる」という技術体系は無かった!!そんな練習をしているところも無かった!!!
ある?あったらすいません。あったら教えてくれ。
でもないだろ。
しかし、しばしば語られる「路上の現実」「実戦護身術」的には、こういうシチュエーションはあったはずなんだ。場所が室内で、近くに壁がある状態での攻防は想定されていたんだ。しかし、実際にそんなシチュエーションで役立つ技術体系を生み出し、そこに名前まで付くようなことになったのは、まず最初に戦う場所として「金網」を発明し、そこに柔術家からキックボクサーから酒場の喧嘩屋、腕相撲世界一まで(笑)投げ入れて、勝手に闘わせた結果だった。寝技のスペシャリストたる柔術家だって、当初からウォールウォークという言葉や、その練習が道場であったとは思えない。


新発見とは、こうして生まれていくのだ。


自分はしょっちゅう、言葉や概念などの「はじめて物語」を記事にしているけど、そこの考察からは、やっぱり新しい地平が見えてくる…と思う。だからやめられない。



というわけで、UFCに興味のある人も無い人も、寝技で押さえ込まれた下の相手が壁や金網を利用してずりあがるようにして挽回する動きを「ウォールウォーク(”WALL WALK”)」というのだと覚えて持ちかえってください。
たぶん9割のひとが、生涯この知識を使う必要ありません(笑)。


ただ、安易に外来語、英語を直で使うのも考え物だな…福沢諭吉などの啓蒙知識人にならって、翻訳語を考えてみるか……
「壁ドン」があるから、「壁ズリズリ」だな(笑)

追記

https://twitter.com/fishbone_BJJ/status/528079082890596352
おさかな
‏@fishbone_BJJ
@gryphonjapan あるレスリング出身の方に教わったのですが、レスリング(たぶんカレッジ)では、肩のストレッチ・背中のエクササイズとして、すわって壁にもたれてから肩で起き上がるワークは前からあるみたいです。
名前は私も初めて知りましたが、MMAが起源ではなさそう。

(コメント欄)
BackDrop 2014/10/31 14:04
ケージウォークとは言わないけど、グレイシー柔術には壁に押し込まれたときの攻防とかの練習はありますね。

これ最初からリンクを張ろうと思って忘れてた。

文系MMA技術論 グラウンドゲーム解体新書■MMA Unleashed http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar650281 #blomaga
 
MMAにおけるグラウンドの考え方は、サンボやレスリング、柔道といった競技と同じように、対戦相手をピンフォールしつづけることが勝利への近道であるとする風になってきているのだ。では、こうした近年の進化に適応して(あるいは逆手に取る形で)現れてきたファイトスタイルを検討してみよう。

【ラフライダー型】
【ヘッドハンター型】
【バックこだわり型】
【ヒット・アンド・ラン戦術】