【トンガ噴火お見舞】INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ナニワ金融道」の青木雄二氏も、絵にすごくこだわった人だった/そして彼も、いしかわじゅん氏に怒ってた(笑)

漫画家と絵の話で、最後にムリしてひとつだけ。
すでに故人となって久しいが、「ナニワ金融道」の青木雄二氏の伝記漫画が、「青木雄二プロダクション」の手によって描かれている。
この前2巻が出た。

新ナニワ金融道青木雄二物語 1 (SPA COMICS)

新ナニワ金融道青木雄二物語 1 (SPA COMICS)

新ナニワ金融道青木雄二物語2 (SPA COMICS)

新ナニワ金融道青木雄二物語2 (SPA COMICS)

この人の伝記というのも少々「格」的には違和感を感じないではなかったのだが、伝記と漫画家の「格」にこだわるのは不毛とはさっき述べたとおりだ。それに彼の場合「波乱万丈」の度合いがそれを埋めてあまりある。

・金持ちなのにジャージに自転車で新地(大阪の高級歓楽地らしい)のバーに来る
・だが平気でドンペリを開けまくる
・だが最後までドンペリでなく「ドンブリ」と言い間違い続ける。
・そこのホステスを好きになり求婚するが、プロポーズのやり方は預金通帳の残高を見せること(笑)
・お店の顔であるそのホステスさんが辞めたらお店が…という店主とホステスに、現ナマの山を見せて「このカネでその子をわしにくれや!」女性が激怒(笑)
・車の免許は自分はなく、結婚した奥さんも免許取り立てなのに最初はベンツ、次は黄色いポルシェ(笑)
・アシスタントのご飯は「ホタテ、フグ、シャケ、マツタケ」の鍋…豪華だろうが統一性が…

などなど、ある意味「いかにも大成功した漫画家のそれっぽさ」と、青木氏らしい偏屈さが並んでいて読ませる。カネを持ちつつ貧乏くさい感覚なところも含めて。
また、あれだけ金融の裏の裏をかいておきながら、自分も詐欺にひっかかったり、「本当はマルクス主義を語りたい!」という葛藤があったり…という部分も興味深い。


しかし、今回はそこでなく、彼は「絵」にもこだわったという…
いや、そーだろうというのも知っていました。
背景から、背広の柄、畳の目に至るまでぜんぶ手描きで描く、とか、フリーハンドにこだわるとか、繁華街の看板もいちいちこだわって描き込む…とかね。

実際「背景が白い漫画は気合が入ってないんと違いまっか?」というインタビュー記事を読んだ記憶がある。
 
だけど、その結果生まれた青木氏の絵は「奇妙な味わい」には満ち溢れているけど、上手いというべきかどうか…これも、うーーーんな絵柄だったでしょ。背広の柄を手描きするのも、黒澤明が「セットの江戸時代のたんすの中に、江戸時代の着物を入れさせた」みたいに、すごいことがすごいけど、ほんとにそれで変わるんかい?な疑問を持たざるを得ない。
前のコマと次のコマで背広の柄の大きさが違う、というのも、トーンを張っていれば解決するのにね(遠近感にまでこだわると違うかな?)
 
その背広の柄の描き込みは、鎧や刺繍を描き込むのと同じ…筈なのに、森薫かわぐちかいじとはやっぱり別のポジション感が漂うではないか(笑)


青木氏は漫画をやる前はデザインの会社もやっていたそうだから、やっぱりプロの技術はあったのだろうけど…逆に言うとそれでもああなるのだから、やっぱり「漫画の絵」は何か特殊なものがあってすごいんだなあと思いました。

「人気絶頂で引退、その後は講演や文章で儲ける…」漫画家の理想形!!

関係ないけど、ここでは青木氏の「漫画家卒業」の場面が語られる。
年齢、遅いデビューのことがあるから一概にはいえないけど、ほとんど「ナニ金」一作で富と栄光をつかみ、その後はそこから派生したエッセイ、講演、それに同じような金融・法律漫画の「監修」とかをやってきた。正直、ナニ金の続編をやってたのは知ってたけど「青木雄二プロダクション」がまだ続いてたなんてことに驚きだったり。権利をある意味がっちり持ってるんだろうな。
 
しかし、一作大ヒットを飛ばしたら、こういうふうに悠々自適…でもないか、仕事自体は猛烈にその後も忙しかったようだが、とにかく漫画には一区切りをつけて、そこから派生する何かで食っていく、ということも出来る人は出来たはずだ。ただ実践するのは、非常に珍しい例。
こうやって見ると、田中芳樹だ、富樫義博だにやっぱり寡作だ遅筆だサボりだ…というのは間違いではないか、と思ったりもちょっとだけする(笑)


追記 ブコメより。

id:big_song_bird マンガ, 漫画, 青木雄二 この人、いしかわじゅんに「ヘタクソ」と酷評されて、「手塚賞のパーティーで殴る」とか「ワイは昭和のピカソや!」と言ったとか。

あったあった、その騒動!!!この「へたくそ」もBSマンガ夜話発端じゃないか?全方位にけんかを売る漫画家にして評論家&番組だな。こりゃ人気でも取り潰されるわ(笑)

※「漫画と絵」シリーズ、関連記事
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141025/p2
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141025/p3