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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

流血の大悪役人生の果てに―。アブドーラ・ザ・ブッチャー、「C型肝炎を移した」責任で2億円以上の賠償命令。

http://omasuki.blog122.fc2.com/blog-entry-1603.html
の情報経由で
http://slam.canoe.ca/Slam/Wrestling/2014/06/03/21714631.html
へ跳ぶ。

ハンニバル」ことデボン・ニコルソンは火曜日、アブドーラ·ザ·ブッチャーに勝利しました。 -リング外、つまりオタワの法廷で。
オンタリオ州上級裁判所の裁判官、ジョヴァンナ・トスカーノ・ロカーモ氏はアブドーラ…本名ローレンス・ロバート・シュリーヴに、 2007年の試合中、ニコルソンにC型肝炎をうつしたとの責任を認め、損害賠償及び手数料230万ドルの支払いを命じたのです。
シュリーヴは30日間の間、控訴する権利がある。

「4年間も、私はシュリーヴ氏に嘘つきと呼ばれてきた、彼は私を剃刀でカットなんかしていない、ともそもそも肝炎を持っていない、とか偽っていたんだ。それでこちらも悩まされたけど、結局のところ、やっぱり持っていたよね。これまで、彼は公にそれを言え中田のだろう。(略)」

その2007年の試合で、シュリーヴは隠したかみそりの刃でニコルソンをカットし、両方のファイターの乱闘は、リング外に拡大した。

Devon Nicholson, who wrestles as Hannibal, won a decisive out-of-the-ring victory over Abdullah the Butcher on Tuesday -- in an Ottawa court room.

The Ontario Superior Court judge Giovanna Toscano Roccamo ruled that Abdullah -- real name Lawrence Robert Shreve -- gave Nicholson hepatitis C during a match in 2007, and owes $2.3 million in damages and fees.

Reached after the verdict, Nicholson was relieved and vindicated, though recognizes that Shreve can appeal the ruling during the next 30 days.

"For the past four years, I've been called a liar by Mr. Shreve publicly, and obviously that really bothers me, because not only did he lie about saying that he didn't cut me, but he lied about not having hepatitis C, which he did have and it wasn't really able to come out publicly until now,
(略)
In that 2007 match, Shreve cut open Nicholson with a concealed razor blade, and both wrestlers bled during the out of the ring brawl.

現段階の判決を紹介したこのニュースを聞く限りでは、そりゃ悪いのはブッチャーということになるのだが、やはりこれまでの日本での戦いを見てきた立場からは、ブッチャーびいきの視点で同情的に見ざるを得ない。


ブッチャーは2年前、70歳で引退した。プロレスラーの引退なんて「遊女の誠と四角い卵、あれば晦日に月が出る」のたぐいではあるが

http://www.sponichi.co.jp/battle/news/2012/01/03/kiji/K20120103002356720.html
最近は骨盤を痛め、尾てい骨を手術。この日も補助歩行器を使わなければならない状況で、3日からの新春シリーズ(〜15日)を欠場することになった。帰国せず試合会場でのファンサービスは行う。

と言われていた。
しかし、プロレスラーという特殊な仕事についた人で、70歳までリングに上がれる体調をキープし、ダメージが腰だ膝だのに留まった上で引退できたのなら、ある意味で…あまりいい言葉じゃないが「勝ち組」であると思われていた。
数年前か、少なくともアトランタ五輪のあった1996年(もうそんなか…)には、アトランタにある、息子が経営するステーキ店「アブドーラ・ザ・ブッチャー」が紹介されていた。副業もそれなりにはやっていたのだ(まあレスラーの飲食店副業が、生活を支えるまでになった例は日本じゃ少ないほうかも…)。

もう、人生の晩年はタイガー・ジェット・シンのような大金持ち(「列伝」レスラーの中ではシン、ハンセン、ホーガン、猪木が大金持ちでの余生だ!!ただし後ろの二者は債務もややこしいが(笑))ではないものの、穏やかで安楽な生活が過ごせるのでは、とはたから見てもほっとしていた。

しかし、そんな時に2億5000万円近い支払いがあっては……。
ひろゆきさん的に「賠償命令?払わないよ」ともいかないだろう。家や店を手放す人生があるかもしれない。それも仕方ないか。

2007年に、対戦相手が感染? ほかの試合は? 日本の選手は??二次、三次感染は?

いや、支払い以上に「ブッチャーがC型肝炎に感染していた」ことがショッキングだ。
あの流血試合、ブッチャーのおでこのギザギザ傷はその試合スタイルで観客をヒートさせてきた代償だった。
相手も自分も、切り傷を作ってきた。ブッチャー引退の報道を聞いたときは確かに「ああ、あのスタイルで感染症にならなくてよかったな」という意識もあった。
だが感染していたとは。

この書籍名(良著です)も、いまでは皮肉に聞こえる。

ブッチャー 幸福な流血―アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝

ブッチャー 幸福な流血―アブドーラ・ザ・ブッチャー自伝

プロレスラーと肝炎といえば、ジャンボ鶴田の病もあった。
ハニバル氏もブッチャー氏も、病気を治療して症状を抑えつつ、これからもお元気でいてほしいと思う。だが、ブッチャーの現役最晩年に流血試合を戦った他の選手は…


プロレスも、さらにいえばまったくジャンルの異なるMMAやキックボクシング、ボクシングも「ブラッドスポーツ」と言われることがある。このへんの健康管理は、事前の診断書提出も含めて慎重に。慎重すぎることはない。