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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「3Dプリンター銃」、本当に怖いのは、実物以上に(アメリカの)開発者の”思想”だ…昨年の記事を再掲載。

http://www.asahi.com/articles/ASG582W74G58ULOB002.html
3D(3次元)プリンターで自作した銃2丁を所持していたとして、神奈川、兵庫の両県警は8日、湘南工科大職員の居村(いむら)佳知容疑者(27)=川崎市高津区=を銃刀法違反の疑いで逮捕し、発表した。居村容疑者は「警察が銃と認めたのであれば仕方がない」などと話し、容疑を認めているという。
 神奈川県警の説明では、3Dプリンター製の銃の摘発は全国で初めて。
(略)
 居村容疑者は、自作した銃を撃つ様子や設計図をインターネットの動画サイトに投稿。「銃を持つ権利は基本的人権だ」などと書き込んでいた。県警は1月、この動画を見つけ、捜査を進めていたという。

ついに来たか。
ここで昨年5月19日の記事を再掲載したい。リンク貼ればいいだけかもしれんが、やっぱり読んでもらいたいので。
自分は3Dプリンターで銃を作ったという昨年のアメリカの報道に接した時、その物理的な事実より、それを作った人々の「思想」にこそ戦慄したのだ。

「3Dプリンターで銃製造」データ、製作&配布はやっぱり「リバタリアン系反政府」の人

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130519/p6

これ重要記事。
朝日新聞2013.5.15、「ニュースQ3」・・・だが、製造者の名前「コーディ・ウィルソン」で検索すれば類似の発言は出てくるか。
(略)

テキサス大学院生のコーディ・ウィルソンさん(25)。国家が武力を規制することに強い疑問を持つといい、今回の銃製造を「抜本的な平等を得るための手段」と話す。
(略 米国の規制論を見て)
「政府が作ってほしくない物を作れることの証明だ。情報が自由に流通できるかが問われている」と話す。

いや・・・検索しても開発者の「思想」に触れた記事は少ないか。ほかに語るべきこと多いものな。
 

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34057
熱心な自由主義者のウィルソンは、「人は人を傷つけるが、それは社会の残酷な現実。それが他者の権利を奪う理由にはならない」と、同計画を擁護する。

これは朝日より詳しい。

http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXBZO54574920R00C13A5000000&uah=DF230220130997
 「だが、そういう議論をする人々は、権利(武装権)を乱用して人に危害を加える可能性は、誰にでもあるという事実と向き合いたくないだけだ。危害を及ぼす可能性の有無にかかわらず、与えられている権利は守られるべきだというのが、我々の立場だ。さらに言えば、危害を受ける可能性があるからこそ、権利は保障されるべきだと思う」
(略)
シリアのアサド大統領らとともに「世界で最も危険な15人」に選ばれたことについて、ウィルソン氏は不敵な笑みを浮かべながらこう答えた。「買いかぶりすぎだと思うが、ほめ言葉として素直に受け止めたい」

「世界でもっとも危険な15人」? 日経記事によると米ワイヤード誌が選出したもののようだ。
この「世界で最も危険な15人」の資料を知っているひとは教えてください。(日本語だとたいへんうれしいが)
・・・いや、元記事(英語)は検索でみっかった。

■The 15 Most Dangerous People in the World
http://www.wired.com/dangerroom/2012/12/most-dangerous-people/

この記事に関連する、当ブログの過去記事にもリンクを張ります

憲法記念日に「天賦人権」の一挿話を思い出す

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130503/p5
「天賦人権」・・・で思い出すひとつの光景が、アメリカのある男性が答えたインタビュー。銃犯罪についてのニュースだったが、何年前の、何の事件に絡んでかは、あまりにあっちでそういう事件が勃発するので忘れてしまった。
とにかく、複数の銃規制賛成、反対論が通り一遍に並べられたインタビューだが、そこで銃規制反対の中年男性が語った言葉(記憶による大意)

銃規制には反対だよ。そもそも銃を持つ権利は、われわれが捨てたくても捨てられない、天賦の人権だからね

たしかふき替えの「てんぷのじんけん」が耳で聞くとちょっと変換に手間取って「えっ?」というか「こなれてない言葉をつかうなあ」と思ったので印象に残ったのがひとつ。あとひとつ、このごく短い言葉を覚えているのは
「それを『違いますよ』と説明して、証拠を出す論理が・・・少なくとも俺には見つからん!!」
と白旗を・・・

日本においてはよくも悪くも良くも良くも良くも、ここまで徹底的に反権力、反政府な権力不信の思想の系譜は無い。ありがたいことに日本の反政府、反体制派はもっとぬるくて、根本のところで政府も権力も信用してくれて、甘えてくれている。日本の治安がいいというのはそういうことも込みだ。

だからアメリカのリバタリアン系、さらに進んでサバイバリスト系の人々の思想の極端さは、逆に遠方から眺めるとSFじみた感覚に感じる。そして実際のSFがそうであるように、突飛だからこそ考えさせられる何かがある。



んで、
今回逮捕された容疑者も、この種の思想をどこかでまなんで、実際に主張していたのだという。では、その思想を本当に貫いて「拳銃を自作できないことこそが人権侵害」と裁判で主張するかな?アメリカの団体が証人として呼ばれたりして。


もうひとつ、これについては過去の記事がある。

「武器によって、強者と弱者(例えば男女)は平等になる」という、とある信念 -

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131109/p4
 
「神は男を作りました。更に神は女を作りました。そしてサミュエル・コルト(=※拳銃)は彼らを平等にしました。」

なんでも銃の米俗語には"エコライザー=equalizer(平等化するもの)"というのもあるそうだ。
「ピースメーカー」という名前の銃もある。
そして、3Dプリンターで作れる銃の設計図を公開したリバタリアンは、まさにその銃を「リベレーター(解放者)」と命名していた…という。

続報!!アメリカの設計者(リバタリアン)が日本の摘発について声明!!!

http://defdist.tumblr.com/post/85127166199/i-have-often-been-asked-who-the-first-person-to-be

I have often been asked who the first person to be arrested for 3D gun printing would be. My answer was the creative and curious.

Yoshitomo Imura is a person of strong character and virtue under unfavorable circumstances. He expressed with his work only virtue, but this virtue is ostracized by his society. He performed his work in the open, without suspicion, fear or dishonor. That he must harvest persecution and calamity for his creative and intrepid instincts is an indictment of his tame and mediocre society. Yoshitomo Imura is trying to say something profound.- is trying to be profound.

I hope Mr. Imura’s attitude to his instincts is not reversed by the tomb-like atmosphere which will now cloud his life.


私はしばしば、「3Dガンの製造によって、最初に逮捕されるのはどんな人でしょう?という質問を受けていた。私の回答は「クリエイティブで、好奇心に富んだ人間が、だろうね」だった

ヨシトモ・イムラは強烈な個性と美徳を、非常に不利な状況の下で持ち続けた人だった。彼はその美徳―それのみに基づいて、自分のやったことを隠さず、公に示した。しかしその美徳によって、彼は、彼の社会から追放された。
彼は、疑念や恐怖、汚名などをふりきって、自ら行ったこと、能力をオープンにした

そんな創造性と勇敢な本能があったがゆえに、彼は飼い馴らされた人々による社会からは、迫害され、苦難を受けることを免れないだろう。
ヨシトモ・イムラは今、きわめて深い何事かを語ろうとしている…あるいは深い思想に到達しようと努力しているのだ。
私はイムラ氏のその本能的な姿勢が、社会の重苦しい”空気”の圧力によって、覆されることが無いよう願っている。