この発想は無かった！「人間界と魔界が戦争…そしたら近代兵器のある人間界が圧倒的に強い世界」（笑）。「ゲート」

こちらの書評を読んだのです。
この作品、どこかで教えてもらった記憶はあるのですが、そのまま調べたり実際に読む前に再び忘却してしまったようです。
あ、この話（基本設定）教えてもらったっけ…と思いながら再度詳しく書評を読む。

http://yamakamu.com/archives/4049569.html

20××の東京・銀座に異世界への門が現れ、中から中世ヨーロッパのような軍勢とドラゴンやオークやゴブリンといった化け物達が突如襲ってくる。それを自衛隊が制圧。銀座に「門」のみが残され、この門は異世界へと繋がっているのであった。この時、北条総理大臣（どう見ても小泉元総理）は、地図に載っていない門の向こう側の異世界は未確認の土地で、特別地域（異世界、以下特地）は日本国内と強弁し、自衛隊の派遣を決定するのであった。

異世界と日本の異世界戦争が勃発した！

圧勝してしまった。

「ゲート」は、自衛隊が戦国時代にタイムスリップした「戦国自衛隊」や大東亜戦争にタイムスリップした「ジパング」と同系統の作品ではある。異世界の文明はテンプレ的な中世ファンタジー世界であり、ドラゴンや魔法などがあるけど所詮は中世の戦術である。ハッキリ言って現代の自衛隊の前には為す術がないのである。

特地の連合国の連中が無慈悲なミサイル攻撃で壊滅させられ「これは戦ではない！こんなものが戦であってたまるか！」と叫ぶ

ラスト・サムライみたいだね（笑）
いや19世紀後半から20世紀初頭、世界のそこかしこで、勇気と智謀と肉体的壮健さに満ちたあらゆる”未開国”のサムライに相当するものたちが、二等兵が引き金を引く炸裂弾や機関銃によってなぎ倒されていった。日本はなぎ倒される側になったことも、なぎ倒す側になったこともある。

こういう方面にはあまり詳しくなく、この種のアイデアの歴史や類型も断片的にしか知らないけど、上の書評でも語られているように、「戦国自衛隊」や「ジパング」も同じように近代兵器を持った武装集団が、もっと装備の古い過去に行く…という話はある。平野耕太「ドリフターズ」だって、戦国時代の種子島があるだけで戦況が一変するような世界だ。だが、そこには「補給が無い」「圧倒的な孤軍」というハンデがあった。

ジパング(1) (講談社漫画文庫)

戦国自衛隊 ブルーレイ [Blu-ray]

「ゲート」はそれが無いみたいですね。とすると豊田有恒「タイムスリップ大戦争」か。あれは日本国が丸ごと過去（太平洋戦争直前）に移動したっけ。

タイムスリップ大戦争 (角川文庫 緑 377-17)

さて、そんなふうに魔界に人間界が完全勝利したとする。
そうなると「植民地支配」という話になるのか、ならないのか。豊田有恒の上の作品は、たしか過去の反省の上に民主的に振る舞おうとしてたはずだ（その努力もむなしく攻撃され、仕方なく反撃…というつごーのいい話だった記憶。）

この「ゲート」はどうでしょう。

圧倒的戦力の自衛隊に異世界は歯が立たない。
もはやただの蹂躙であり、戦争に成り得ないんだけど、むしろそこが面白いのである。自衛隊の戦力を目にして、異世界の帝国は日本と講和を結ぶしか道はないのであるが、そこに至る政治的プロセスやうごめく内政などが非常によく作り込まれており、世界観の深さを際立たせてくれる

このとき、お話の中での日本はエゴイズムたっぷりに振る舞うのか、それともかっこよく振る舞うのか。魔界の種族への人権は認められるのか。
魔族が人間に虐げられる存在、という設定もけっこうあったかもしれないなあ。

まあとにもかくにも、書評を読むとこの作品は面白そうだ、と思いました。

ゲート 1―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)

ゲート 2―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)

ゲート 3―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)

ゲート 4―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (アルファポリスCOMICS)