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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

会津敗戦をうたった漢詩(「八重の桜」によせて)【敗将列伝】

【敗将列伝】
土日は多忙にて、「八重の桜」は録画しただけでまだ見ていません。
なんでも会津敗戦”から数年後”が描かれているそうで・・・自分は明治になってモダンな夫人として活躍した八重、にはあまり興味が無いので、このへんで離脱する可能性が大だな。だけど幕末を描く前半、たいへん面白うございました。
これだけ「敗戦」を本格的に描いた大河ドラマって何かあるかな。もちろん太平洋戦争が舞台のものもあったし、直江兼続だって「関が原の敗者」だけどやっぱりまるで違うでしょ。
 
さて、今偶然、古い資料を検索していたら、会津敗戦に際し、当時古い教養人が多かった会津藩士が敗戦をうたった漢詩がみつかったので紹介させてもらいます。

http://www.asahi-net.or.jp/~de3m-ozw/kansi/17akizuki/akizuki1.htm
有故潜行北越帰途所得 会津 秋月胤永
行無輿兮帰無家 行くに輿無く 帰るに家無し
國破孤城乱雀鴉 國破れて 孤城雀鴉乱る
治不奏功戦無略 治は功を奏せず 戦は略無し
微臣有罪復何嗟 微臣罪あり 復た何をか嗟かん
聞説天皇元聖明 聞くならく 天皇元より聖明
我公貫日発至誠 我公貫日至誠に発す
恩賜赦書応非遠 恩賜の赦書は 応に遠きに非ざるべし
幾度額手望京城 幾度か手を額にして京城を望む
思之思之夕達晨 之を思い之を思うて 夕晨に達す
憂満胸臆涙沾巾 憂は胸臆に満ちて 涙は巾を沾す
風淅瀝兮雲惨澹 風は淅瀝として 雲は惨澹たり
何地置君又置親 何れの地に君を置き又親を置かん

これを歌った人はのちにラフカディオ・ハーンの同僚となり、ハーンは彼を「神様のような人」と慕ったという。

内容(「BOOK」データベースより)
熊本の五高で同僚のラフカディオ・ハーンが、神様のような人と讃えた会津人。昌平黌に学んで学識が高く、戊辰戦時は軍事奉行添役を務めた。降伏を取り仕切ったため、裏切り者に等しい扱いを受けてきたが、本書はその汚名をそそぐきっかけとなった労作。明治に耐えて生きた秋月は後生に何を伝えようとしたのか。秋月と交流があった奥平謙輔論を併載。
 
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)松本/健一
1946年(昭和21)群馬県生まれ。東京大学経済学部卒業。法政大学大学院在学中に『若き北一輝』(現代評論社)を発表。以後、日本の思想・政治・文学についての評論活動を展開。現在、麗澤大学教授。著書に、『北一輝論』(講談社学術文庫)、『近代アジア精神史の試み』(岩波現代文庫、アジア・太平洋賞受賞)、『評伝北一輝』(全五巻、岩波書店毎日出版文化賞司馬遼太郎賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

秋月って、今回のドラマに出てきたっけ?


最初の詩と一本だぶるけど、のこり2本を。
http://www.asahi-net.or.jp/~de3m-ozw/aizukans/sanzetu/sanzet00.htm

安部井政治(あべいせいじ)弘化2年〜明治2年(1845〜1869)会津遊撃隊士
 
海潮到枕欲明天 感慨撫胸独不眠 
一剣未酬亡国恨 北辰星下送残年
 
海潮枕に到り 天明かなるを欲す 
感慨は胸を撫し 独り眠れず 
一剣未だ酬いず 亡国の恨 
北辰の星下 残年を送る

永岡久茂(ながおかひさしげ)天保11年〜明治10年(1840〜1877)思案橋事件の首謀 会津藩
 
独木誰支大力傾 三州兵馬乱縦横 
羈臣空灑包胥涙 落日秋風白石城

読み下し文はなし。どう読むのかね。