昨年、フランスで一番売れた、話題だった日本の漫画は「予告犯」だったそうです。
インターネット動画投稿サイトで犯行予告動画を投稿する謎の男。果たして予告された事件は起きるのか…!? 高度に情報化された現代のテロリズムを描く、緊迫のサスペンススリラー開幕!!
- 作者: 筒井哲也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/04/10
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 104回
- この商品を含むブログを見る
犯行予告とその遂行を繰り返すテロリスト集団“シンブンシ"の次の狙いは過激な環境保護団体。ネット内で共感と支持を集める彼らに警視庁サイバー犯罪対策課の追跡が迫る! ネット社会を揺さぶる衝撃のサスペンス!?
- 作者: 筒井哲也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/12/10
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
自分はこの作品、なんか記憶にあったんだけど、書店の「お試し一話」冊子を読んでいたんだ。その時は「本当にいろいろ、インターネットをにぎわす話題を盛り込んでいるなあ」という感想を持っただけだった。
あと「でもこの主人公がテロ、犯行を行うとなると、現実世界との接点が出てくるからそれなりの組織や基盤がないと難しいよね。ネットも身分確認、本人追跡の関門はいろいろあるし。それをどこまでリアルに、ご都合主義的でなく描けるのかなあ・・・」とやや懐疑的だったかもしれない。
でも、そのフランスの評判を聞いて逆輸入的に読んでみたら、そのへんの説明、理屈付けはやはり描きこまれていて面白かった。2巻最後にはグループに亀裂も入り、どうなることかと気になるし。
・日本ではすでに、1人1台以上の携帯電話が普及している
・それで公衆電話をつかうやつは・・・通話記録を残したくないやつ(もいる)。
・非合法を含め、なにかある(かもしれない)。
・公衆電話は敢えて残すが、そこに監視(防犯)カメラを向けて使用者を監視、記録すれば・・・犯罪捜査や治安維持のデータになる!
あー…!!!!
諸葛孔明じゃないが、包囲をしたときに一箇所だけ囲みを弱くして、そっちの方向に相手が逃げ出したら、そこにも先回りで罠、伏兵が用意されてましたー!なんてのはお決まりの戦術。
プライバシー、ビッグデータ、すべてを記録・・・の社会の包囲網に一箇所だけ開けられた匿名の出口「公衆電話」には・・・実はそんな伏兵を潜んでいるのかもしれない。記録されたくないから公衆電話を使ったら、顔を含め一番記録されていたと(笑)。
ふつうの、「撮られる側」からみたら冗談じゃない!という理屈だが、治安当局からみたら、実にそそられるオプションだろうなあ・・・。
もちろん上のコマは、1スリラー漫画の1セリフである。現実にそうであるかは当方知らないし、もし現実でそうでなかったら「予告犯」の想像力、サスペンス演出が優れているなあ、という話だけである。
それにいま、公衆電話が残っているとしたら相当な大繁華街や大きな駅に限られるだろうし、そこは防犯カメラが普通に設置されていてもおかしくない。結果的に公衆電話と防犯カメラは同じ位置になるだけで、特に公衆電話を重点監視はしてませんよ・・・というのが公式な説明になるかもしれない。
ただ自分は、「はあ、なるほど。さもありなん、ありなん」と大いにひざを打ったのであります。