INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「となりのビッグブラザー」最新問題3題。AV出演歴も「誰がこの広告を見たか」も、銃製造も…

※「となりのビッグブラザー」とは?
 
当道場本舗の造語です。
(1)技術が進歩しまくり、
(2)そして普及しまくることで、
(3)「フツーの人」にかつては権力機関や専門家など少数の人しかできなかったことができるようになり、
(4)その一方で、そういう少数限定の時には可能であった歯止めやブレーキがなくなってしまう・・・
という、諸々の社会現象のことをそう呼んでいます。
この語で当ブログ内を検索してみてください

(1)「顔画像をもとに似た顔の人が出ている AV を検索するツールを公開しました」

http://parosky.net/wordpress/?p=1341

顔画像をもとに似た顔の人が出ている AV を検索します。検索対象の顔画像は35万枚です。使い方としては「この画像、AV 女優なんだけど誰だかよくわかんない」「このアイドルに似た人が出てる AV を探したい」など考えられます。「Facebook で流れてきた画像をとりあえず放り込む」「卒業アルバム」などはいろいろアレなのでやめましょうね!!

あ!自分はこの状況を予測するSF小説を書いていた!!

■あと3、4年で、コミケでコスプレしてる人たちとかは、顔写真検索で特定できるようになるんじゃないの?…というSF。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110818/p2
  
・・・お互いの格好を見やりこれは奇縁、同じコスプレ参加者でしたか、てな話で盛り上がります・・・
(略)・・・ミドリさんは寝てもさめても立っても座っても、その子のことが頭から離れない。(略)・・・会場にも一緒にいた友人がこんな情報を教えてくれました。
「『三千里」というサイトがあるのよ。ここに自分が持っている画像の顔部分を登録すると、ネット上で同じ顔の人をSNSからブログから検索してくれるんだって!横顔でも斜めからでも大丈夫で、精度は既に99.999%だってさ」
 
おぼれるものは藁をも掴む、でミドリさんは、記念写真の男の子の顔部分を拡大して登録、検索し・・・

まあ、こういう使い方を「やめましょうね」と製作者がいってるんだから大丈夫でしょうけど。根拠は無いけど大丈夫でしょうけど。
自分はこうブクマをつけた(ちなみにブクマは1000を軽く突破している。)

自分が「となりのビッグブラザー」と呼んでいる一連の話題の一つだ。これが有名人などの「過去の経歴の調査」に使われたりするのだろうな。しかし技術やデータベースそのものを「悪」とは呼べないというジレンマ。


これに対し「ネタにマジレス」だと断りつつも
有名ブログ「発声練習」は警鐘を鳴らす。

http://d.hatena.ne.jp/next49/20121127/p3
・・・こういうサービスを作れる技術および実行力は素晴らしく、尊敬します。一方で、こういう種類のサービスは注意深く実現し、運用しないと法的問題および倫理的問題で悩まされると思います。最近議論対象になっている「忘れられる権利」および、誤検知による各種トラブル・・・

これへの自分のブクマ

これを読むと「根本的な部分で、こういうものが生まれる・使われることを悪と見なすことも、止めさせることも(現行の考え方では)できない」ということが逆に分かる。

(公開)データがある。
それを検索する。
何が悪いか、って悪いところは、ここにはない。図書館で1ページずつ新聞の縮刷版をめくることと原理的には変わりは無い。しかし・・・なのである。やはり、現実として人力の100万倍、1億倍、この「検索」力が発達したら、それは別の現象が発生したと思ってなんらかの「法、社会」の措置をとることが必要なのだろうか。
ただし個人情報保護法制定・運用がそうだったように、公開されないことをいともたやすく公権力が自己防衛などに使ってくる可能性もある。
どうしていくべきか・・・

「顔認識」無断で客撮影…首都圏の商業施設など

読売新聞のスクープ。すばらしい。
書かれているように違法性はというと微妙だ。
しかしそこに問題意識を持ち、そういう事実を暴いたところがすごい。
そして、こんな使い方は「となりのビッグブラザー」な話題をずっと追い続けていた当方にとっても正直予想外・・・いや、そうでもないか。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121128-OYT1T00237.htm

通行人などの顔を自動判別する「顔認識」方式のカメラが増えているが、このうち首都圏の商業施設や大規模マンションの29台で、断り書きなしに撮影が行われていたことが読売新聞の調べで分かった。


 広告用ディスプレーに小型カメラを埋め込み、視聴した人の性別や年代を分析して顧客分析に利用するのが目的だ。設置業者は「個人を特定しておらず問題ない」としているが、専門家からは「ルール整備が必要」などの声が上がっている。

 東京都江東区の大型商業施設ららぽーと豊洲」。店舗案内を流している高さ約2メートルのディスプレーの上部に、小型カメラが設けられている。外観からは分かりにくいが、終日、客の顔を撮影し、どの広告をどんな客が見たかを分析している。ららぽーとを運営する三井不動産グループによると、2009年11月に同店で10台導入し、10年3月からは新三郷店(埼玉)でも8台稼働させているが、いずれも撮影は明示していない。

 このディスプレーを開発したシステム開発会社によると、撮影した顔の映像から性別と年代を推測し、「10歳未満男性」「10代女性」など10属性に分類。録画はしていないが、属性情報は毎月、ららぽーとと広告主に提供。豊洲店では週に1万〜2万人分のデータにのぼるという。

 このほか、この開発会社では昨年12月以降、東京・秋葉原のパソコン店10店で同じディスプレー各1台を中央区タワーマンション敷地の屋外でも1台をそれぞれ稼働させているが、いずれも客や住民に撮影は通知していないという。

 一方、スーパーの西友も昨年6月から北区と神奈川県横須賀市の2店舗で同じディスプレー計6台を撮影の明示なしに導入していたが、同8月に中止した。

 個人情報保護法の指針では、個人が判別できるカメラ映像を個人情報と規定。同法では個人情報を取得の際、目的を通知・公表しなかった場合、所管官庁から是正命令を受け、従わないと6月以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

 開発会社と三井不動産「録画せずに性別や年代だけの情報に変えており、問題ない」とし、西友も「個人情報には当たらず、問題ない」としている。(後略)

遠からず、書店に導入されたりしてな。
どっかの図書館がTポイントの貯まるアレに委託するってときも「40代、男性」ぐらいの情報しか集まりませんから大丈夫ですよ、という話がなかったっけ?
あった。
■図書館貸出情報の扱い、ご安心ください!
http://hiwa1118.exblog.jp/15827483/
それへの反論か。
■図書館の貸出し履歴から個人を特定できるケース
http://d.hatena.ne.jp/fut573/20120507/1336411983


これへの感想は、ひとつ上の話題と基本的に同じ。「この広告を設置した看板が、見られている」という情報は公のものかどうかしらんが、外部からその状況を観察することを妨げる方法は(今のところ)ないよな。

ただし、この報道で「ららぽーと豊洲」に対して「なんか気味わるーい」ということで来客が減る・・・という「市場の淘汰」や、たとえばこういう個人情報取得の制限が、選挙の票につながると思えば知事や市長区長、国会議員が法的な規制に当たるという「民主主義の淘汰」もありえるだろう(この種の問題を国会時代に追っていた保坂展人世田谷”解放区”長はいかがか)。もちろん、その裏に、情報公開を規制したい官僚の思惑が・・・というパターンもある。

さらに、ここにて再紹介したいが・・・上の「看板を見ている人間の撮影けしからん!」と感じた人に。「では、悪質訪問販売員の撃退のために『撮影』を利用しするのは?」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121003/p3

その続編
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121007/p2
セールスマンは自分から来るんだから、ちょっと違うかもしれないし、今のところそのデータベース化は空想の産物だけど…「撮影しました」ということが持つ『パワー』が影響していることは間違いない。

『【マジキチ】 アメリカ人 「銃のCADデータ全世界に発信するよ。3Dプリンタで作って実弾も使えるよ」』

http://himasoku.com/archives/51752990.html
むかし
「ザ・殺人術」という本が問題になったことがあってのう・・・

ザ・殺人術

ザ・殺人術

第三書館ちう出版社名に覚えがあるかね?辻・・・まあいいわ。
完全自殺マニュアル」という本もあってのう・・・
完全自殺マニュアル

完全自殺マニュアル

毒、爆発物、武器・・・・・・こういうものの前ではさしもの「表現の自由」も立ち止まる、ところがある。
銃のCADの公開・・・はある意味、筒井康隆「アフリカの爆弾」を思い出したわ。
アフリカの爆弾 (角川文庫 緑 305-2)

アフリカの爆弾 (角川文庫 緑 305-2)

それより、「3Dプリンターは画期的すぎる発明!これによってものづくりは劇的に変わる」という議論をよく見るようになった。
てか「3Dプリンター」で検索するだけで、興味深い事例が続々・・・

http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2012/10/1030.html
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kobayashiakihito/20121114-00022436/
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121106-00000005-sasahi-ind

上の「AV検索」「広告看板見る人を撮影し顔認識」っていうふたつの話題も藤子・F・不二雄度高いけど、この3Dプリンターも、えらくドラえもんひみつ道具度高いわ。
つうかこういう話、どっかで読んだぞ・・・

あ!「ミニチュア製造カメラ」だ。「ゆめの町ノビタランド」だ。
大人向けのSF短編集「夢カメラ」にも同じ機能が出てくるな。

では、ひみつ道具を手にした人類、のび太君以上に賢明であり得るか?

過去の関連記事

いままでも関連記事にはこの言葉を使ってきたので「となりのビッグブラザー」で検索してみてください。これもまた、過去の記事の検索、一覧をみたほうがよくわかる。