そういえば上の「買い付けをめぐる冒険商人」的な話にも通じるんだが、
■「ノンフィクション新世紀」という本には『戦争広告代理店』『大仏破壊』の高木徹ロングインタビューが載っているらしい
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120908/p5
で紹介したこの本、買って読みました。

石井光太責任編集 ノンフィクション新世紀 ---世界を変える、現実を書く。
- 作者: 石井光太
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/08/18
- メディア: 単行本
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twitterの記述を中心に、再構成。
石井光太氏(@kotaism)責任編集「ノンフィクション新世紀」を購入した。
NHKの組織人なのでなかなか肉声が聞きにくい高木徹(「戦争広告代理店」「大仏破壊」)が目当てだったのだが、それ以外でも「カラシニコフ」の松本仁一インタビューがあり、年表の記録性も充実・・・。
そして、ノンフィクションを売る側の「書店員座談会」がおもわぬ拾い物でした。
まあ書店員の裏話って、「本の雑誌」でも「暴れん坊本屋さん」でも、あとは各種のブログでも、面白さがもともと保障されているようなもんだ。本の人気投票、世論調査の結果を握っているようなもんだからね。だれがセンターにいくか、とかそういう興味も煽るし。
で、その座談会を一部抜粋。
現在、最前線のノンフィクションを取り上げるということで、それならこれはどう論じられるかな?と思っていましたが・・・
増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』これはスタッフ同士で、発売前から絶対にいけるだろうと話し合っていました。この本が出れば吉田豪(@WORLDJAPAN )さんや水道橋博士(@s_hakase)さんが紹介するに違いない、そうしたらうちは当たる、そういう確信がありました 。案の定、売れましたね。
- 作者: 増田俊也
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/09/30
- メディア: 単行本
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・・・・石井光太さん(@kotaism )の『遺体』も紹介されていた小島慶子さんのラジオ「キラ☆キラ」など、売上を跳ね上げさせる媒体がいくつかあります。その媒体でのパブリシティが出そうかどうか・・・
・・・『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』は予想以上に売れました。売り切れてしまい、結構な冊数を売り逃してしまった。だから『大山倍達の遺言』では繰り返さないように気をつけよう、となる
といった話が次々に出てきて、興味深い。
ひとつの本がベストセラーや受賞作、話題作になると、類似の隣接ジャンルも「じゃあこの本を出そう!」「じゃあこの本を多めに仕入れよう!」という連鎖反応がつながっていくわけか。今が「格闘技本」を出す、チャンスなのかもしれないな。
しかし、つくづくこの座談会で感じたのだが、「この本は50冊注文だ!」「うちは100冊だ!」とかやってる書店員というのは、どうも本質的にカタギじゃない気がするぞ(笑)「『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』は売り切れた!!ほんとは5倍儲けられたのに、ふいになった!!くそっ、『大山倍達の遺言』を大量に仕入れてそれを取り返してやる!」

- 作者: 小島一志,塚本佳子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/04/01
- メディア: 単行本
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「倍達と香辛料」か。
さらに非カタギな書店員の逸話…
乙武洋匡の『五体不満足』は最初数千部でした。ある先輩社員がいきなり100冊注文したんですよ。その時の彼の言葉を今でも覚えています。『この人がこのタイトルで本を書いて、売れると思わないのがおかしい』と。
- 作者: 乙武洋匡
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/04/04
- メディア: 文庫
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うん、書店員のやってることはやっぱりカタギじゃないと思う、と。冒険商人とか山師とか、船場の米相場師とか・・・・むしろ、ヨルムンガンドな系列の人に属する。
そういうつわものたちの、現場の声。
「ノンフィクションは、作者別に置くのがいいのか、テーマごとにするのか。実力派のノンフィクション作家ほどあらゆるジャンルを調べて書く。最相葉月さんの

- 作者: 最相葉月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/25
- メディア: 文庫
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- 作者: 最相葉月
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/09/05
- メディア: 単行本
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- 作者: 最相葉月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/03/26
- メディア: 文庫
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「本を置く棚の場所に、正しい位置はない。しかし、間違った位置はある」(野村克也か!!!)
「その本を、どの編集者が作ったか?も重要です。ジャンルは別々でもこの編集者なら、と期待させてくれる人がいる」