【創作系譜論】
上のエントリで最後に富田常雄の「姿三四郎」を取り上げたとき、ついでに「この方の没年は?」と経歴などを観た。けっこう長命な方だった。
それで、さらに連想して「戦前人気の大衆読み物の書き手で、代表作は今でも名前ぐらいは知られている人」・・・という連想で長谷川伸のことを思い出して調べてみた。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C4%B9%C3%AB%C0%EE%BF%AD
1884〜1963
小説家・劇作家。横浜生まれ。本名、伸二郎。雑誌「大衆文芸」などに股旅物などの小説・戯曲を多数発表。大衆文芸の隆盛をまねいた。戯曲「瞼の母」「一本刀土俵入」など。
オウチ!!来年、彼の著作権が消え、作品は人類共通の財産になるのだ!!!
自分は<歌舞伎・講談的教養の消滅>ということをけっこう長く考えている。自分自身がモデルケースで、そもそも「忠臣蔵」は漫画「のらくろ」で猛犬連隊が軍旗祭の余興でやったり、蛸の八ちゃんが戦地慰問で演じたからストーリーを知ってるようなもんだしね(笑)。
上の「一本刀土俵入り」「瞼の母」などは80年代、70年代の漫画や漫才、コント、映画でもけっこう、みんなが知ってることを前提にしたパロディがないわけではない。そういうパロディ経由で薄ぼんやりと知ってるというパターンもあるよね。
しかし、実際にそういう世界のお話を知ってみるとパクリとかなんとかじゃなく、やっぱり世の人情は同じ。そしてやっぱりお話づくりの中には受け継がれるものもあるのだろう。「え?このパターン知ってるよ」「こんな昔から、このネタあったのか!!」と驚くこともないではない。これは幕末に活躍した仏のデュマ作品を読むときも感じることだけどね。
だからイブニング誌ではベテラン小林まことが(アレンジしつつも)直球で長谷川作品を漫画化している。実際にあれも十分に、他の作品に伍す娯楽性、ドラマ性を見せています。
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ともあれその小説群が来年、著作権フリーとなる(はず)。気の早い話だが、どんな作用をもたらすか楽しみではある。
1962年没の有名人
http://www.d4.dion.ne.jp/~warapon/data04/year/death_1962.htm
1963年没の有名人
http://www.d4.dion.ne.jp/~warapon/data04/year/death_1963.htm
ん?映画ってたしかこの前黒澤明監督作品の裁判でで『監督に著作権アリ』となったはずだが・・・その是非はおくとして、来年川島雄三の
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力道山も、(ゴーストライターがいたとしても)力道山名義で書いたり談話を起こした文章は来年から自由に使えるのだろうか。
【追記】コメント欄より
狩野宏樹 2012/11/22 18:12
長谷川伸の著作権が「2013年に消滅する」というのは正しいのですが、
2013年12月31日の24時なので、2013年いっぱいは著作権が存続しています。
公有になるのは2014年1月1日からです。