上の関連で仏教用語のはてなキーワードを追っていたら、こんな本をみっけた。
http://d.hatena.ne.jp/ajita/20110727/p1
人はいかにすれば救われるか。法然と明恵――鎌倉新旧仏教を代表する両者の思想対決は、私たちを根源的な問いへと誘う。現実か理想か。他力か自力か。そして、生と死の究極の姿とは。最新の宗教学の成果を踏まえ、2人の対決の彼方に宗教のアクチュアルな「力」の再生の可能性を探る、宗教のポストモダン。
- 作者: 町田宗鳳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は気になっていて、図書館にあったので借りた。ここのところ仏教本はあまり読んでいなかったが、大河ドラマ『平清盛』なんかの時代かなどとも思い。そしてまた、なんとなく浮世離れ系の明恵と、教団作ったような法然でどんな対決が? と。
と、この試合は、明恵から法然に仕掛けたものだった。『摧邪輪』いうの書いて、専修念仏批判したというわけ。でも、年齢差あって・・・
この本を読む準備運動、とっかかりとして
逆説の日本史5 中世動乱編(小学館文庫): 源氏勝利の奇蹟の謎
- 作者: 井沢元彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1999/12/03
- メディア: 文庫
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を読んどくといいかも。
「法然、親鸞は一般的に知られたヒーローで、特に親鸞は知識人好みでもあるため、それへの批判者はどうしても頑迷固陋で人格的にも劣っているように書かれてしまうが、明恵はその学識、修行への真摯さ、そして実際の言行などが、『日本人のイメージする高僧」に一番近いような人である、その人がいう、法然(浄土宗)への批判とは・・・」
というテーマで井沢元彦は書いています。
鎌倉仏教については実はこのシリーズ、主には次巻の
逆説の日本史6 中世神風編(小学館文庫): 鎌倉仏教と元寇の謎
- 作者: 井沢元彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/06/06
- メディア: 文庫
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で書かれているんだけど、明恵は「北条泰時の政治顧問」として登場しているから、一つ前の巻に出てくるの。
さて、明恵と泰時の出会いは・・・
明恵の凄さを示すエピソードと名言。
・・・承久の乱の時、落人をかくまったとして幕府から目を付けられ、秋田城ノ介というさむらいが栂尾の山中を捜索したあげく、明恵上人を捕らえて六波羅の北条泰時のもとへ連行した。
北条泰時は上人のことをよく聞き知っていたので、驚いて上人を上座へ移した。そのとき上人は次のようなことを述べている。
「私は若い時に本寺を出てあちこちとさまよい、習い覚えた仏法のことばや理論さえ思い出すのが嫌になった。まして世間のことは、最近は考えたこともない。
だから、どちらか一方の味方をするといった気持ちは全くない。たとえ心の中にそのような念がきざしたとしても、二念と相続することはない。
だから、たとえ知っている人に祈祷をたのまれても引き受けたりはしない。一切衆生の地獄の苦しみを救う事が急務であって、特定の人だけを特別に祈祷するようなことはこれまでしなかったはずである。
とは言え、高山寺は三宝に寄進された殺生禁断の地である。鷹に追われた鳥や、猟師から逃げてきた獣は、皆ここに隠れて命をつないでいる。ましてや敵から逃れてきた軍士が木の下や岩のはざまに隠れているのを、とがめられたら自分が難にあうからと無下に追い出すことが出来ようか。
釈尊はその過去世に、鳩の身代わりとなって全身を鷹の餌とされたり、飢えたる虎に身を与えたりしたこともあったという。
それほどの大慈悲心には及ばなくとも、困っている人々を追い出すようなことはしないし、出来ることなら袖の中にも袈裟の下にも隠してあげたいと思っている。また今後もそうするつもりである。もしもそれが政道のために難儀な事ならば、即時に愚僧の首をはねられよ」