http://mainichi.jp/select/opinion/yuraku/news/20120218k0000e070158000c.html
憂楽帳:「国名を変えて」
甘口ワインで知られる旧ソ連のグルジアが、国名表記を英語読みの「ジョージア(Georgia)」に変えるよう日本に要請している。きっかけは08年のロシアとの軍事衝突。語源は同じキリスト教の聖人とされるが「グルジア」はロシア語の読み方。「敵の言葉で呼ばれたくない」というわけだ。
東京のグルジア大使館によると、世界の9割の国が「ジョージア」と呼んでいるという。(略)ちなみにグルジア語の正式国名は「サカルトベロ」。グルジアもそこまでは求めていないというが、日本では国名表記の変更には法改正が必要とあって、外務省は頭を悩ませている。
何より「ジョージア」では米国のジョージア州と混同されかねない……
まず最初の一文が気に入らんな。「チタオバで知られる」「リングス・グルジアで知られる」となぜ書かないっ(笑)。
ま、それはそれとして国名、しかも読み方に関して、ときました。現政権が強硬な反ロ政権で、武力衝突も起きたことも当然影響しているだろう。この政権の意向、に過ぎないんじゃないか?と思わないでもないが、その国を代表するのは基本的に政府である。
2009年から既に要請はされていたんだって。
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009032101000580.html
で、結局のところは「官の正式文書、その国あての外交文書」と「民の慣習、その人や出版社それぞれの表記」が共存する…というのがほぼ一択の正解であって、それでいいんじゃないだろうか。
前も書いたが呼称は、自称、他称が違っているのがある意味自然なところもある。平均よりも湖が多い「湖の国」と自称するA国は、多くの国から見ればその通りなので、自然にその呼び名も定着するだろう。…だけど、その国の隣にさらに湖が多いB国があるならば、B国民だけはA国を「湖の少ない国」と呼ぶだろう。それが自然だ。
「よつばと!」で、よつばがお隣の3姉妹のうちふたりを「きれいなほう」「きれいじゃないほう」などと他称したことがあったが。
セイロン、フィンランド、支那、台湾、英国・・・基本、そういう考え方で通じたり、一部通じなかったり(どの国までを「正統政府」とみなすか?という大問題もある。つまり「ミャンマー問題」だ)。
第4章 「支那」はわるいことばだろうか
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「・・・だれもあなたに「中国をやめて支那を使え」と言いはしない。「支那」に不快を感じ「中国」に愛着をおぼえるあなたの選択をわたしは尊重する。それなのになぜあなたは、「支那」に愛着を持ち、もしくはこの語の使用に合理的理由があると考える者に対して「やめろ。中国と言え」と要求するのか。」
「支那を『支那』と呼んで何が差別なのか」ホントの話―誰も語らなかった現代社会学 全十八講 (小学館文庫)
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この関連のまとめサイトも見たのだが
http://d.hatena.ne.jp/matter1518/20120219/1329623272
759 : 名無しさん@12周年 :2012/02/19(日) 07:50:47.26 id:il2TjnpO0
CNNやBBCでは
アイボリーコーストって
言ってる国を頑なに
コートジュボアールって
言い続ける国、日本
765 : 名無しさん@12周年[sage] :2012/02/19(日) 07:53:44.32 id:Ph1WnqaHO
象牙海岸だっけ?正式な国名読みだから仕方なくね。
781 : 名無しさん@12周年[sage] :2012/02/19(日) 07:58:05.07 ID:4QiAudgH0
オーストリーも全然定着しないな※オーストリーとはこういうことです
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AA%A1%BC%A5%B9%A5%C8%A5%EA%A1%BC
そうか、CNNとかは翻訳しての「象牙海岸」をまだつかっているのか。これこそ植民地支配が絡んだり「他称じゃないか」という話が出たりしかねないものなのだが。「定着してこなれた用語なので使います。それが?」みたいなスタンスなのかね。(※コートジボアールも「象牙海岸」の意味であることは変わりません。ただフランス語の読みにしてくれ、というのが同国政府のスタンス)
アジア二千年の知恵「ひとつの字を、それぞれの読み方で」。
「中国嫁日記」より。
http://blog.livedoor.jp/keumaya-china/archives/51408718.html
実は月はすべての力士の名前は
中国語で認識しているです。
なぜかというと……
広州にいるお姉さんも大相撲ファンなので、
中国語で語り合ううちに、
名前も中国読みで覚えてしまうらしい……。
これが中華大帝国が、言葉という障壁を越えて巨大な大陸を支配した、武器の一つであった。前も書いたかな。エスペラント的な世界統一言語を夢想していた哲学者が、ひとつの提案として「(ヨーロッパも含めて)みんな表記は漢文にしようぜ。我愛汝をI love you とかそれぞれに読んで、で筆談すれば世界中で意思疎通できね??」と。
そう、自称・他称問題はともかく、さらに絞って今回のグルジアのように、漢字なりアルファベットなりを「こう読んで発音します」は、相手から「こう読んで欲しいですネ」と提案を受けるのはありがたいし、ひとつの基準となるから歓迎する話だが、最終決定権は当方(読み手)にある。
これがアジア二千年の共通ルールであり、おそらくはグルジアに適用してもバチは当たるまい。
だから一橋大のクォン・ヨンソク准教授のいう
http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2010/07/post-205.php
日本で帝国主義あるいは植民地主義的意識を捨てきれない人たちの中には、いまだにあえて、中国を「シナ」と呼んだり、金大中を「きんだいちゅう」、金正日を「きんしょうじつ」と読んだり、ソウルを「京城(けいじょう)」と呼ぶ人もいる。石原慎太郎東京都知事は公式会見でも、いまだに国際空港のある仁川(インチョン)のことを「じんせん」と呼んでいる
は石原のパーソナリティに基づく個別例はともかく(爆笑)、全体の論旨は大間違いだ、と言わざるを得ない。
クォン氏が月さんの「琴奨菊」を”ちんじゃんじい”と呼ぶなんて、あなたは帝国主義意識が抜けてない!と論難する前に言っておかないと。
でも、「ちんじゃんじい」ってなんかおいしそうな呼び方だよね(笑)
参考リンク
■もう一つの「王家(or暴力装置)」!学術用語「東鮮海流」「北鮮海流」はこうして抹殺された
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120115/p4
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/headlines/20120223-00000021-spnavi-fight.html#
……デイナ社長は日本で「デイナ」と「ダナ」、2つの表記が見られることについて「ダナは女の子っぽくなるのでデイナにしてください」