今日はそんなわけで遠方へ足を運んだため、かく時間が取れない・・・ので、利用して久しぶりに毎日新聞の書評を紹介。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2010/10/20101003ddm015070014000c.html
今週の本棚:池内紀・評 『熊−−人類との「共存」の歴史』=ベルント・ブルンナー著
◇池内紀(おさむ)・評(白水社・2520円)
◇地上から追われ、夢の中では愛されて
- 作者: ベルントブルンナー,伊達淳
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2010/08/25
- メディア: 単行本
- クリック: 36回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
二つの正反対の見方がある。…ながらく畏敬(いけい)と感謝の対象・・・恐怖と憎しみの対象・・・・・・それは日本にかぎらず世界のいたるところでうかがわれる現象だった。古くは守護精霊として崇拝されていたのが、やがて人間の敵となり、追われ、殺され、イギリスやドイツ、スイスのように、もはや動物園以外では見られなくなった。
力強く、利口で、魅力的なこの動物は、地上の領分からは追われる一方で、神話や伝説、文学、美術などの分野ではひろく愛されてきた。テディベアの縫いぐるみとともに育った人もいれば、いまなお『くまのプーさん』を忘れない人もいる。(略)
調べるのが大好きなドイツ人らしく、実に丹念に古今の書物や記録、報告にあたっている。世界の熊が八つに分類されていることから始まって、ヒグマ、ホッキョクグマ、アメリカクロクマ、メガネグマ、ツキノワグマ、ナマケグマ、マレーグマ、そして人気者ジャイアントパンダ、それぞれの「辿(たど)ってきた道」、変異や謎、個性、声や感覚や動作……。熊好きには興味がつきない。「推奨文献目録」だけで百冊をこえる。その分が一冊につまっているわけで、数多くの珍しい挿絵を手引きに一読するだけで、たちまち熊博士に・・・
……百科全書的知識にもまして、そのあいまに洩(も)れるユーモラスな意見や見方である。熊とバッタリ出くわしたケースのレポート、また武勇譚(ぶゆうたん)は世界中にわんさとあるが、ついてはアドバイスが書き加えてある。一番いいのは……
くまが身内にいるとかいないとかもあるが、佐野哲也vs熊(できればヒグマ)も次回OUTSIDERで見てみたいものだ。
つうかこの本、えらく表紙がごきげんだよな