「SFが来たわ」と、トラネが言った。
「早くお立ちになって」メケハが市谷にささやいた。「SFが来たから」
市谷が顔をあげ、ソファに戻ると、またSFよと唇を歪めドドミが呟くうしろを五人の編集者に取り囲まれて、SFご三家と呼ばれている中ではいちばん若い作家が奥の席へ案内されていった。若いといっても四十歳は過ぎていて、前髪など垂らし若造りをしているだけである。
「この頃毎晩ね」カチコが反感をあらわにそう言った。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/10/07
- メディア: 文庫
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そんな時代もあったのですが。
そして冲方丁さんは改造手術で体を入れ替え?みごと時代小説家として生まれ変わり、今回の「天地明察」で吉川英治新人賞をお取りになられた。
この「天地明察」、この前売れすぎてまた品切れになったそうですよ。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/01
- メディア: 単行本
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これをみると2月にも品切れだったそうですが、最近の書店というか配本会社のtwitterでもそうなってたもの。
http://heiho-go.seesaa.net/article/140865879.html
さて、こうなると過去が問題になってくる。
ハヤカワの編集者がたぶん、冲方丁の自宅に押しかけて
「旦那、ご成功おめでとうございます・・・へっへっへ。さぞかし印税もたんと入ったんでしょうね。元をただせば、ハヤカワ文庫でSFなんてものをお書きになっていた貴方が・・・」
とかいえば、冲方丁も
「・・・・・・・・・いくら欲しいんだ?」
というしかない。
松本清張の小説みたいですね。
いや冗談冗談。
ちょっと時代錯誤のSF自虐ネタを書いてみたかっただけで、めでたく冲方丁氏の出世作「マルドゥク・スクランブル」は映画化されるんですよ。知ってましたか皆さん。
知ってますよね。
http://eiga.com/buzz/20100109/1/
作家・冲方丁(うぶかた・とう)のサイバーパンクSF小説「マルドゥック・スクランブル」の劇場アニメーション化が決定した。
03年にハヤカワ文庫から全3巻が刊行された「マルドゥック・スクランブル」は、シリーズ累計50万部を売り上げる人気作で、同年の第24回日本SF大賞を受賞。
舞台となるマルドゥックシティで、とばく師シェルの陰謀により炎の中で命を落としかけたものの、人命保護を目的とした緊急法令「マルドゥック・スクランブル09(オー・ナイン)法」により救出され、特殊な力を与えられた少女ルーン・バロットが主人公。言葉を理解する相棒のネズミ型万能兵器のウフコック、捜査官ドクター・イースターとともに事件に立ち向かい・・・
映画コムなんてサイトあったんだ。
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
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「天地明察」も日本の出版・映画界を牛耳るドン・角川歴彦が大絶賛しているので、テーマの難しさはともかく映画化もあり得るかも。
http://book.asahi.com/author/TKY201004140191.html
「会長はいつ、そんなに本を読んでいるのですか」と社員に問われるくらいの読書家。「近ごろ読んだ中では冲方丁(うぶかたとう)さんの『天地明察』。中盤以降は泣けてしょうがなかった」
映画制作の総指揮者として活躍が目立つ。「沈まぬ太陽」「人間失格」。夢は「源氏物語」の映画化だ。「大衆が千年も残してきた傑作。でも映像化で成功した例はない。『私の世界を勝手に変えちゃだめ』という紫式部の呪縛を感じるほど。だからこそ、私流の『源氏』を撮ってみたいんです」