ふたつに分けたほうが読みやすいな。
■礼拝所不敬罪(第188条第1項)、説教等妨害罪(第188条第2項)
神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処せられる。また、説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処せられる。
だ、そうよ。
わたし、宗教施設へのこういうのは各自治体の条例関係で制定されていると聞いた記憶があったが、ちゃんと法律にあるんだね。
今年1月、こんな事件もあったそうな。
http://sachihiro.com/wordpress/?p=572
棺を落とし遺品散乱…「葬式妨害」で会社役員を逮捕
2009.1.19 18:54
知人男性の母親の葬儀で、棺を床に落として遺品を散乱させたとして、警視庁世田谷署は葬式妨害の疑いで、世田谷区内に住む会社役員、新保修洋容疑者(42)を逮捕した。「足元がふらついただけ」と容疑を否認している。調べでは、新保容疑者は昨年10月中旬、東京都品川区内の斎場で行われた知人男性の母親の葬儀の最中、突然大声で叫びながら祭壇に近づき、棺を台から落として花などを散乱させ、葬儀を妨害した疑い。(略)
刑法188条は、葬式妨害について、1年以下の懲役または10万円以下の罰金などと罰則を定めている。葬式妨害容疑での立件は極めて異例で、同署幹部は「棺を落とすなど聞いたことがない。亡くなった人を冒涜(ぼうとく)する考えられない事件だ」と怒り心頭だった。
まあこうやって実際の例を見ると、この法律がなくても別の法律が適用できるような気がするし、また「公然と不敬な行為」とはそも何ぞや、というのも気になる。ただ、これによって神社もモスクも教会も、平和祈念碑のたぐいも「不敬な行為」からは免れる効力があることは間違いない。
ただ、
これは以前からの興味に引き付けるが「大声」だとか「本殿に無理に上がろうとした」とか「職員ともみ合った」とか「花などを散乱させた」というのは他者への危害でいいんだろうが、プラカードとかポーズとかだとどうなんだろうね。
境内だと敷地や施設の管理権があるということなのかな。
個人的には高氏が「靖国神社は軍国主義の象徴!」と書かれたTシャツを着て境内を練り歩くのは、かまわないんじゃないかと思う。中指を突っ立てるとか「ちんぴょろすぽーん」のポーズを境内でとって神社を侮辱・批判してやるぜ!というのもOKかな。(とうぜん批判は周囲から受けるだろうが)
もちろんそれは教会において「キリスト教は排他的 BY小沢一郎」と書かれたTシャツを着て練り歩くのを認めるのも、渋谷のモスクで「ムハンマドは9歳の(以下テロの恐怖から自粛)」というTシャツを着て練り歩く自由でもある。もし認めるならね。
施設の中、外という区分けもあるし。
とゆーか、そもそも「礼拝所」を特別にそうやって扱うのがおかしい、って議論のほうが筋がいいような気がする。
だから今回、批判するなら「そもそも礼拝所不敬が表現の自由に反した憲法違反だ。他者に迷惑にならない範囲で不敬したっていいではないか」
ってう論法はどうだろう。
結局、礼拝所では特別に「不敬」を取り締まられるというのは、自由の原則が「伝統」に屈した一例なのではないかと思うのですがどうですかね。
「外国国章損壊罪」と類似していると思った。
「外国国章損壊罪」とは?
http://www.houko.com/00/01/M40/045.HTM
第4章 国交に関する罪
(外国国章損壊等)
第92条 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない
以前、下のブログに書いたのだけれど、
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080421#p4
これって素朴に読むと、表現の自由を侵害しているような気がするんだけど、まあずっと存在しているんだからいろいろ理屈があるんだろう。また無いと色々実際的には困る部分もありそう。「礼拝所不敬」もそうなんだろうね。慣習と伝統が、自由の原則の上に立つ。