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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

手塚治虫関連話。「手塚作品には、暴力的性関係から恋愛や夫婦関係になる話多いよね」

上のいい話(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150406/p1)と一緒に書く事でもないんだが…togetterまとめの時にtwitter検索をしていたらこの話題が引っかかったのでね。

https://twitter.com/t_kawase/status/582627604978528257
https://twitter.com/t_kawase/status/582629663383519232
Kawase Takaya @t_kawase · 3月30日
深夜まで残業して、脳が変に活性化しちゃって、帰宅してから手塚治虫のダークな作品群(いわゆる黒手塚)をパラパラ読んだ。『きりひと賛歌』『奇子』『一輝まんだら』など。最後のは未完なんだよね。北一輝よりも中国人の方が描写されていて、これから北一輝の事も、というところで終わっている。

(承前)実は最近、『陽だまりの樹』も読んで改めて気づいたのだが、結構手塚治虫のダークでシリアスな作品は、無理矢理女性を襲って、その強姦によって人間関係が変化せざるをえなくなる、というパターンが多いな。誰かがとっくにその辺りは分析しているとは思うけど。

かいてる方は、はてなでブログもやっている。
http://d.hatena.ne.jp/t-kawase/


それに対して当方のリプライ

gryphonjapan ‏@gryphonjapan 1 時間1 時間前
あとで一覧表にしたいと思ってるぐらいですが、しかもかなりの部分でそれ(暴力的な性関係)が恋愛関係、親密な関係に発展します

【例】
きりひと讃歌
アドルフに告ぐ(※主人公・草平のドイツ時代の話)
陽だまりの樹
昭和新山を描いた短編
火の鳥鳳凰
鬼丸大将(※主人公の父は、母を「さらってきた」と台詞で)

夏目房之介氏は恋愛も「ひとめぼれ」が圧倒的に多い…とも指摘してました

gryphonjapan ‏@gryphonjapan 52 分52 分前
この「手塚治虫作品は暴力的性関係から恋愛になる描写が多い」は、はだしのゲン閉架騒動時、パロディ架空記事で指摘したことあります。

「『アドルフに告ぐ』、性描写に女性軽視」抗議受け、学校図書館での取り扱い検討へ〜 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130822/p2

上にあるように、これはずっと前から、具眼の士や熱心な手塚マニアは知っていたことでした。フェミニストが知っていたかは分からない(笑)。
自分がこれを本格的に書かなかったのは、探せばまだまだありそうだったからだ(笑)!!
それをもっとずらっと一覧にして、できれば画像も添付して「スモーキン・ガン(動かぬ証拠)」を提示したかったのだが、まあネット上で有名人がこの話題を語り始めたので、先行しておきたいと思ったのと、これはもう「公開捜査」に乗り出したほうがいいんじゃないかな?と思ったのでね。

というわけで、上に挙げた手塚作品以外で、「暴力的な性関係が恨まれたり裁かれたりせず、むしろ恋人関係や夫婦関係につながる」という例をご存知でしたら教えてください。

MWもか

「そうなるべき」話でなく「そういうこともある」話なのか??

何百年も続く慣習「誘拐婚」って? http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120222/228157/?n_cid=nbpnbo_nbotw_top #日経ビジネスオンライン
  
「誘拐」された女性が、結婚を受け入れる本当の理由  :日本経済新聞 http://s.nikkei.com/1u3CWlt
 
「おっとい嫁じょ」の検索結果

その「おっとい嫁じょ」を漫画化した作品

狐筋の一族 武富健治実話作品集 (ミリオンコミックス)

狐筋の一族 武富健治実話作品集 (ミリオンコミックス)

かつて社会的に弱い立場に置かれていた女性は、強制的な「略奪婚」などの被害にあっても、慣習や力関係によってその立場を受け入れざるを得なかった。その伝統の中で幼いころから育ったり、その後男性と長く日常生活を営み、子供も生まれたら…その中で幸せを感じたり、親しみを後天的に男性に持つことも「ある」といえばあるだろう。というかそうでないと、生きていくのが難しい場合もある。


そういう「こともある」という状況を、べき論で覆い隠さずに描いた…のかもしれない。まあ、その議論で言い訳できる作品とできない作品があるんだけどね…。

ポリティカル・コレクト」や「図書館」の問題

それは上で紹介した

「『アドルフに告ぐ』、性描写に女性軽視」抗議受け、学校図書館での取り扱い検討へ〜 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130822/p2

というパロディ架空記事(ですよ、念押し)で既に書いている話なんだが、こういう描写がポリティカルコレクト的に正しいかどうか、手塚作品はむしろ未成年に対しても「推奨」されている現状を思うと、この議論を進めていけばアレがアレするかもしれない、という気はする。

ただし、作品としての完成度は…やや男女関係の進展がご都合主義に振れる部分であるが、この「反ポリティカルコレクトネス」な描写があっても低くはなっていない。さすが神様である。


ま、これはこれでしょう。

非実在青少年」問題で記者会見にも出た呉智英氏は、同一方向でさらに過激な主張もしている
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100322/p3

再引用してみる

(「ザ・ワールド・イズ・マイン」は)ある意味けしからんマンガなわけですよ。そういうものをどう考えるかっていうときにね、ふつう言論の自由とか表現の自由なんて言うけど、俺ね、そういうバカなこと言いたくないから(笑)、いつもね俺、本居宣長のこういうのを引用するのね(笑)。
本居宣長の歌論、文化論ですね、うた論。

(歌の中には)
政のたすけとなる歌もあるべし、
身のいましめとなる歌もあるべし、
また国家の害ともなるべし、
身のわざわいともなるべし

って言ってるんだよね。で、そういうものがあっても人間の真実が描かれているものは芸術であり文化であるって、本居宣長が言ってるんだよね。

 

たとえば朝鮮人虐殺のおもしろさ、を表現した漫画があって、その表現に見るべきところがあれば、その文化的な価値は評価する、というのが私の立場だ。

深刻さは大きな差があるが、「壁ドン」の是非も同じカテゴリーだよね

何しろ外国の新聞には
「猟奇的だ」とまで
言われたのだ。

「壁ドン論」序説〜その起源や、正当性を巡る議論を中心に - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141030/p2

刑法229条って……

これって、自分はミスター梅介法律漫談で知った知識なんだが

カネやテロ目的でなく結婚目的等誘拐のほうは親告罪にした刑法229条…。

第224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。


親告罪
第229条
第224条の罪、第225条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪並びに同条第3項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的による場合を除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない


http://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC229%E6%9D%A1
これって一種、国が公に「誘拐で始まる夫婦愛もある」と認めてるようにも思えるんだが…? かなりの可能性として「おっとい嫁じょ」的な何かを想定していたのではなかろうか。ひょっとして、奥さんは誘拐した相手との結婚だった山県有朋が入れさせたのかもしれん。