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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

性犯罪の「二次被害」(セカンドレイプ)は、近代裁判においては不可避なのでは?という疑念(+ゲーム規制論)

ずうっと流れがあるので、ここだけ切り取ると分からないかもしれないが


http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20090609/1244484026
のコメント欄投稿をここにも再録しておきます。

要約すると、テーマは
・性犯罪の被害者が好奇の目で見られたり、詮索を受けたりするという現状がある。
・それを恐れて被害者がそもそも届け出ない「暗数」がある。
・それを解消するには「社会意識の変革」が必要では?(いや違う)
・それには性暴力を肯定するかのような?ゲームなどを規制すべきか(いや規制すべきではない)
といったテーマの議論が続いていたと思いねえ。



コメント欄の、Gryphon投稿

1・性犯罪の被害者が好奇の目で見られたり、友人とぎくしゃくしたり詮索を受けたりすることを解消するため、社会意識を変革したいと。それによって暗数を減らしたいと。
その目的、方向性は正しいが、そのHOW、処方箋として「A:レイプゲームのような暴力的性犯罪を(肯定的に?)描いた表現を規制すれば社会風潮が変わる」という主張と「b:強姦和姦関係なく、世の中のみだらな性描写をまとめてすべて規制すれば社会風潮が変わる」という主張、どっちが正しいか今のところ証明する証拠はないのではないでしょうか。もちろん「C:その種の表現を規制しても社会風潮は変わらない」という主張も含め。前コメント欄では「お互いに裏づけを取りながら言論で闘うしかない」との返事をいただきましたが、たぶん現状は、どれも決め手なしという感じでは。

2・二次被害、三次被害の話では、実は最近深く悩んだのですが「御殿場事件」の高裁判決ありましたね
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E6%AE%BF%E5%A0%B4%E4%BA%8B%E4%BB%B6
この事件、冤罪か有罪か、少なくとも今、国家は有罪と認定した状態なのですが、このご晴れて冤罪となるならよし。
だが、もし有罪のままだとすると、「被告は冤罪だ」という信念、推定のもとに活動している人たちのやってきたことが「悪質なセカンドレイプ」であるということになりかねないのではないか!と。
これが本当に悪意ならいい。
だが、信念のもとにやっていた場合は(おそらくそうでしょう)・・・・

実は、社会風潮も重要ながら、むしろ本質は「有罪無罪は原則公開の裁判で争われ、推定無罪の原則の下、被告側は検察の瑕疵をあらゆる面から探し、主張する」という、近代的な裁判の構造自体が 必 然 的 にセカンドレイプにならざるを得ないのではないか? という部分です。
痴漢容疑の後半もしかり。「被害者の勘違いじゃないか?」「示談金ほしさのでっち上げじゃないか」etcを、冤罪を主張する側はどうしても言う。それが痴漢被害者を傷つけることにもなりえる。

3・そして性的な問題が、ジャーナリズムの材料や第三者の噂話として上るとき、不特定多数から下劣な興味をもたれる・・・というのも、どんなに教育や表現規制で社会を変えても、根本は解消不可能なのではないかと。
多少なりとも減らせるのなら幸いではあるでしょうが。

おそらく減らすのにより効果的なのは犯罪報道・容疑者逮捕報道・裁判などの公開性を制度として減らすことですね。性犯罪の傍聴制限とか、レイプ発生記事そのものの非掲載・非発表とか。
それは冤罪の恐れや権力の横暴を、多くの目で監視しよう!という原則からは後退ですが。


2の話題について補則すると、最近、某大学で泥酔した女性を相手に?集団暴行があったとかの容疑があり、それだけではなく、その友人がミクシィで「あれは合意の上だった」的なことを書いて批判されたりしたらしい。


だが、あえてだな、
一般論として限定していう。
御殿場事件じゃないけど、性犯罪の被害者が「実は合意の上のものだったんだろう」なんていわれるのは、
事実無根であれば、典型的なセカンドレイプ
だが、
事実であれば、それは勇敢かつ誠実な、冤罪から冤罪被害者を守る行動。

になる。
映画「それでもボクはやってない。」で、主人公は無罪を訴え
(※以下ネタばれあり注意)




結果的に主張が認められず有罪となる(一審で)。
その女性が痴漢に会ったこと自体は主人公の弁護側も否定していなかったとはいえ、「勘違いで赤の他人を痴漢あつかいした粗忽で思い込みの激しい子だ」と彼らは主張したのと同様になる。
もし、その女の子の視点から映画が描かれれば、主人公や主人公の母親、元彼女、友人、弁護団たちはそろってセカンドレイプをその子にしていたことになるのではないか。


漫画「弁護士のくず」でもあちこちで、真摯で効果的な弁護活動は、相手側の人格否定や、プライバシーの侵害と表裏一体であることを示唆している。

それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!

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弁護士のくず 7 (ビッグコミックス)

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