http://mainichi.jp/enta/sports/general/sumo/news/20090326k0000m050057000c.html
大相撲春場所(大阪府立体育会館)は11日目の25日、白鵬は稀勢の里の奇襲をあわてずさばいて11戦全勝。前日手痛い黒星を喫した朝青龍も千代大海を降して1敗で追う。
てなわけで、いずれが龍かいずれが虎か、星の差わずかにひとつ、両横綱相譲らず12日目を迎えます。
そんな折、何度目の読み返しで、高島俊男のお言葉ですが…を読んでおりました。文庫の三巻目。そういえばこの前、文庫の最新刊が出てましたが、売れないことを理由に連載と単行本化が終わったこのコラム集を、ちゃんと文庫化してくれるのは文春の懐深さと素直に感謝したい。高島文庫は「あとからひとこと」というコーナーが充実するのでお得なのだ。
そんな中、三巻には、高島俊男がとっても感心したという昭和天皇の御製が紹介されていた。
ひさしくも 見ざりし相撲 ひとびとと
手をたたきつつ 見るがたのしさ
高島評。
「一読三嘆、よくもまあこんなに平明で、すなおで、大らかな歌が作れるものよとほとほと感にたえた。感心した証拠にいまだにおぼえている(略)。一言で言えば機心がない。うまく作って人をあっと言わせてやろうとか、感心させてやろうといったたくらみ心がない。思い邪(よこしま)無しである。育ちがよいというのはこういうことかと思った。」
今、何巻か調べてみたら、「お言葉ですが…」3巻収録のようです。
http://hiroomikes20120501.blogspot.jp/2012/09/3-2007216.html
(リンク先の単行本から、タイトルは改題)
多少からかいの成分が入っているような、いないような気はするが、高島という人、自分がつまらんと思ったら李白や杜甫の詩や幸田露伴の文章ですら「この詩はへったくそだねえ」「漢文くずしをすれば格調高いと思ってくれるだろうという程度の低い文章」と言い放つ人なので、この御製に感心したことは確かなのであろう。
格闘マニアのわしからは、「そういえば、こういうふうに試合だけを、手をたたきつつ楽しむことがあったかなあ」とちょいと反省しました。この試合でプロモーターはXXに勝ってほしいと思ってるだろうなあ…その後のビジネス展開は?とか、この選手、今回の価値を手土産にアメリカに行きたいだろうから硬くなってるよな、とかそういう見方はそれで楽しいわけだけど、「ひとびとと 手をたたきつつ 見るがたのしさ」も忘れちゃいかんね。
昭和天皇が最強のマークだったということかしら。
関係ないけど、浅羽通明も昭和天皇御製からベストワンを選んだことがある。これ。
いまついでに思い浮かんだ話。
【メモ】昭和天皇、皇太子時代の訪英は1921年。シャーロック・ホームズの生年1854年説に立てば、ホームズ67歳。
昭和天皇(当時皇太子)はロンドンでお忍びで街に出かけ、そのときに乗った地下鉄の切符を、終生大事にしていたという。
ホームズと会った可能性大。いや、会ったのは事実。
(※と思ったら、地下鉄に乗ったのはパリ?要調査。このときアルセーヌ・ルパン47歳)
http://www.all-tama.co.jp/akitama/museum/tachikawa_showa_emperor_sp.html