単行本はとつい5巻も出た「ヒストリエ」と
今回大きな展開があった「ヴィンランド・サガ」であります。
以降、ネタバレは自己責任で。
ヒストリエと鐙
今月の「ヒストリエ」はストーリー的には大きな進展はないのだが、馬に乗らざるを得なくなった主人公が「鐙(あぶみ)」を開発(正確には遊牧民族出身の彼が、幼児の記憶をおぼろげに思い出す)するという展開。
「あぶみ」か。
司馬遼太郎だったか江上氏だったか、だれだか忘れたがとにかく「あぶみ」の開発は軍事史、政治史、交易史その他もろもろの一大技術革命だったと。「世界を変えた発明ランキング」みたいなお遊びのランキングがいくつかあるけど、ベスト10には軽く入りそうな発明だ。
鐙が出現するまで、騎乗者は両足の大腿部で馬の胴をしめつけて乗馬していた。当然姿勢は不安定であり馬の激しい動きに追従するのは難しかった。特に軍事目的で馬を利用する場合、不安定な姿勢で武器を使うのは極めて困難であり、それを行うのは特殊技能であり、幼い頃からの鍛錬が必要であった。
(略)
鐙を使用することで馬上から武器を扱うことが容易となり、騎兵の戦闘力は著しく高まった。また幼い頃から馬に親しんだ騎馬民族の騎兵に対し、農耕民族の国家の騎兵であっても対抗ができるようになった。鐙が登場すると馬上で踏ん張ることができるため、騎士は敵に向かって突撃をすることができるようになった。高い軍事力を持つ騎士は社会的にも認められ、騎士の発言力を増すようになる。
こういうところに着目してストーリーを作る岩明均氏は、相変わらず勘がいい。もともと技術史に関心が高いっぽい感じはしてたが。
ヴィンランド・サガ
あれだけ老獪で戦略眼に富み、冷徹な計算をできるはずのアシュラッドだが、自身の故郷と母親に関してだけはその「計算」を行うことが不可能になり、今回、あまりにも予想がつかない”暴発”をしてしまいます。
これは王子にとって幸運か災厄か?
この場においてアシュラッドが逃れられるとも思えないし、逃れたら王子のほうはどうなってしまうのか。そしてトルフィンは?